よく聞く「特養」って、どんなところ?-カイゴのガイド01
介護・福祉
記事公開日:2016/04/26、 最終更新日:2017/10/23
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法律でかわる施設名称。
今日は初めてなので、今、私の勤めている特養についてお話ししたいと思います。
特養は、特別養護老人ホームの略で、介護保険での名称は指定介護老人福祉施設です。介護保険の中で施設(介護保険施設)と呼ばれるのは、指定介護老人福祉施設、指定介護老人保健施設(老健)、指定介護療養型医療施設(療養型病床)の3つです。
なんで呼び名が2つあるかと言いますと、特養は老人福祉法と介護保険法と2つの法律に則って運営されていて、老人福祉法上の名称が特別養護老人ホームで、介護保険上の名称が指定介護老人福祉施設だからです。
特養は、今までは、要介護度をお持ちの(要支援は不可)常時介護を必要とする方が入所できる施設だったのですが、2015年の改正により、要介護3以上の方がお入りいただく施設となっています。
また、特養には従来型特養、ユニット型特養、地域密着型特養と種類があります。
従来型は、大部屋で高齢者同士が交流。
従来型特養というのは、介護保険前~制度開始直後から運営されている、大部屋のある施設です。大部屋は、多数で過ごすことで、高齢者同士のコミュニティができたり、お隣の入所者のお世話を焼いたりすることで、持ちつもたれつの関係がうまくできると、そこから入所者の方が役割を見いだすことができたり、職員が入所者の皆さんの見守りがしやすいなどのメリットがあります。
もちろん、ベッドとベッドの間はカーテン一枚で仕切られているので、プライバシーの面で言うと十分ではありません。感染症が発生しようものなら、大部屋では隔離も十分にできないので、蔓延しやすいというデメリットもあります。
仕切りをカーテンではなく、お一人用のクローゼットなどを置くことによって、お一人の空間をつくっている施設もあります。
ユニット型は、プライバシー保護の完全個室。
ユニット型特養は完全に全室個室で、ダイニングやリビングの周囲を10室ほどのお部屋が囲む形式で、一つのユニットが少し大きめの家族のような生活になります。プライバシーは守られる形になり、より密に関わることができますし、一人で過ごしたいとき、みんなといたいときなど、ご自分の意思に従って選択できます。
感染症発生の際なども個別対応が可能です。
ただ、介護で何らかの対応をする際に、お部屋に入りこんでしまうと、ほかの方の見守りができなくなります。このため、従来型特養に比べると、多く人数配置をしなければなりません。
ユニット型は、その分、介護報酬も高くなっています。
掲げられている基本方針も、従来型は「(前略)入所者の意思及び人格を尊重し常にその者の立場に立って処遇を行うように努めなければならない(後略)、ユニット型は、(前略)入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続となるように配慮しながら各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自立的な日常生活を営むことを支援しなければならない(後略)(参考:介護報酬の解釈2指定基準編 社会保険研究所平成27年6月版発行)」とユニット型の方が質の高さを求められています。
ユニット型の方は単位数が高く、当然お金がかかりますので、低所得者の問題はついて回ります。
社会福祉法人の運営する特養なのに、実際に年金でご夫婦二人、細々暮らしておられる方で、ご主人が入居してしまうと残された奥様の生活が成り立たないということで契約に至らなかったケースがありました。限度額認定は第3段階の方です。
介護現場では、低所得者対策ということで、大部屋のある特養の整備を…という声もありますが、厚労省の考え方はあくまでもプライバシー保護の観点から個室ユニットの特養が主流です。なんとなく矛盾を感じるところです。
地域密着型は小規模、他施設と連携して運営。
地域密着型特養とは定員は29名以下、小規模でより地域に密着した居住環境の下でケアを行うことになっています。
本体施設があってのサテライト、デイやショート、小規模多機能居宅介護事業所との併設など、他事業所と連携を取りながら運営されていることが多いです。
単独では運営が成り立たないので、そのような形になっているのが本当のところだと思います。
要介護2以下になれば、特養から退去。
また、要介護3以上の方しか入れないということは、特養に入って元気になって、介護度が下がると、退居しなければならないことになっています。
ご家族関係や介護力の問題で施設に入られて、やっと特養に入れたと安心したのもつかの間、介護度が下がって出なければならないことになると、施設探しから契約など、ご家族が少なからず動かなければなりません。
何より環境の変化に適応しづらい高齢者の方が、何度も環境を変えなければならない現実が付きまといます。認知症の方はその都度進行するリスクは大ですし、出られた後、また介護度が上がったときに、その施設に戻れる保証はありません。
介護の質と、介護現場の厳しい現実。
そして、質の高い介護を提供できるはずのユニット型特養も、介護職不足と定着しないことにより、かなり少ない人員で、低い賃金で(処遇改善加算のおかげで少し改善はしているものの…)、重度の要介護者を看なければならないという過酷な職場環境になっている施設もあります。
私の勤める施設も、いつ職員が辞めてしまうか…明日は我が身と、他人ごとではありません。
せめて私の施設で働く介護職の人たちが、介護の現場でなりたい自分になれる、自己実現のできる職場にしていけるように、私の施設に入居されているご利用者のみなさんに安心して余生を過ごしていただけるようにと、私なりに日々努力していますが、このままでは明るい未来が待っているような気がしません。
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