中高年ドライバーのジレンマ。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十三回
介護・福祉
記事公開日:2017/06/07、 最終更新日:2018/12/28
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農村コミュニティでの介護生活。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十二回
地方のマイカー事情。
こんにちは、ミチルです。今回は、田舎にありがちな「中高年ドライバーのジレンマ」についてお話します。
現在アラフィフの私ですが、少し前から「若いころのように車を運転することはできなくなった」と実感しています。
夜間視力が落ちましたし、高速も怖くて乗らなくなりました。一般道でも、たまにヒヤッとすることがあり、助手席のルミコさん(姉)に「いま、怖かったね」と、冷ややかな声で言われたりすると、(もう、あと何年乗れるんだろう–)と、落ち込んでしまうこともあります。
とはいえ、私の住む埼玉農村部は、絶望的に交通機関が発達していません。ですから、たとえ年を取って車の運転がおぼつかなくなっても、嫌でもマイカーをころがさなければ死活問題に直結するのです。
ニュースで高齢者ドライバーによる事故が報道されるたび、「80すぎまで運転するのが悪い」「なんで家族が免許を取り上げないんだ」と、強い口調のコメントを見かけることがあります。
私も運転に自信のないドライバーは、事故を未然に防ぐ意味で、年齢に関係なく速やかに免許証を返納すべきだと思います。
しかし同時に、僻地に住む高齢者ドライバーのジレンマを知る身としては「交通弱者切り捨て」のようで、やりきれない気持ちになるのも事実です。
行政がもっと動いて、オンデマンドのミニバスを走らせるとか、タクシーの優待券を配布するとかしない限り、自主的な免許証返納は「美談」でしかないと感じます。
ポキさんの楽しみ。
さて、そんな『田園の憂鬱』を抱えつつ、我が家でも介護には車が必需品です。
ポキさんを車に乗せるのは病院周りが主ですが、タダでは動かぬ彼女のために、医者に行った後には必ず、スーパーに寄ることがお約束になっています。
ところが、自力では買い物に行けないポキさんは、ここぞとばかりに暴挙に出ます。レジカゴに山盛り、すぐに食べられる菓子や揚げ物を買い込もうとするのです。
先日、アイスクリームを買ったときは、後部座席に乗り込むが早いが、包装紙を破るのさえもどかしいらしく、ポタポタとシートにこぼしながら食らいついていました。
私が「せきこむから、まずは水を飲んで」とペットボトルを差し出しても受け取らず、ムシャムシャ。
案の定、途中でむせて鼻から口から吐き出します。最後はベトベトに汚れたゴミをフロアマットに蹴散らして、スタコラサッサと降りてゆくポキさん。
彼女にしてみれば、スーパーに行くことがメインで、病院はおまけでしかありません。そして、私はただの「移動手段」なのでしょう。
そういえば最近、ポキさんは車を降りた直後の“捨てゼリフ”を言わなくなりました。以前は、無事に帰宅したのを見届けた途端、「もっと食いもん、買いたかっただぁ。もう、行かねー!」と、がなり立てては一目散でした。その姿はまるで、漫画に出てくるいじめられっ子そのもの。いじめっ子が絶対に追いかけてこれない場所まで来ると、くるりと向き直り「テメー、今度会ったらぶっ殺してやる!」とすごんで、虚勢を張るあのシーンです。
今や、無料ドライバーに対して悪たれ口一つ吐けなくなったポキさん。おとなしくなってくれるのは、こちらに都合がよいのですが、その分、予測不能なトラブルに見舞われることもしばしば。この人は死ぬまで変化球を投げ続けるのだと、振り回されっぱなしの日々は続きます。
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介護者は多いほどいい?-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十四回
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