暴力行為がある入居者を変えたモノ 前編

介護・福祉
記事公開日:2018/11/19、 最終更新日:2019/01/04
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今回は犬好きだったCさんのお話をさせて頂きます。
大変な入居者がやってきた!
Cさんが私の勤めていたホームに来られた時、正直なところ、本当に大変な方が来たなと思ってしまいました。
車いす使用の、小柄でふっくらした可愛らしいおばあちゃま…という見た目の方だったんですが、認知症のせいで暴言暴力が強く出るようになっておられたのです。
当時、私の勤務先の老人ホームは、感染予防の観点から新しい方にはお風呂に入って頂いてから入居棟に移って頂くという決まりがありました。
この時入浴を担当した職員が「大変だった…」と疲れ切った様子で話していたので、皆ある程度覚悟して、Cさんの入居生活が始まったわけですが……。
入居したその日から、トイレに座って頂くのも二人がかりで引っ掻かれたり髪を掴まれたりしながらの大騒ぎでした。夜はよく休まれたそうですが、夜勤者がこれまた疲れ切った様子で、起床介助は二人でしないと難しいと申し送ってきました。
さあこれはなかなか元気な暴れん坊さんがきたぞ……と職員同士で顔を見合わせた時は、ぴりりっとした空気になったものでした。
初日大変だと言っていた入浴介助は、その後さらにCさんの抵抗がひどくなっていきました。一番ひどい時などは一人が車いすを抑え、一人が身体を抑え、もう一人が服を脱いで頂く……という三人がかりでも、唾を吐かれたりしてなかなか進まず、四苦八苦してどうにかこうにか入って頂くという具合でした。
認知症のせいだから仕方がない?
認知症のせいだから……といっても、暴力を受け続ける職員だって人間ですから、何もかもを受容して好意的なばかりではいられない……というのがわれわれ職員たちの本当の気持ちです。
今はどうなのか分かりませんが、当時の私の勤務先は、こういった入居者の暴力で眼鏡を壊されても修理代を出して貰えるわけではなく、引っ掻かれて傷を作っても何か保証があるわけでなく、勿論こうした状況でも所謂危険手当のようなものが出るわけではありませんでした。そういう意味でも、誰もが可能ならば介助を避けたい入居者さんの一人だったと言えます。
私は眼鏡こそかけていませんでしたが、友達と飲み会の約束がある日に頬に引っかき傷を作られて、本当に泣きたい気持ちになったことがありました。こうした傷を、「介護者として未熟だから」と言われたらそうなのかもしれませんが、当時はまだ20代だった私には、なかなか受け入れ難いものがあり、私の中でもCさんは「避けられるなら避けたい方」という存在だったと思います。勿論仕事ですから、きちんと関わっていましたが、心の持ちようまでは、難しいものです。
可愛らしい笑顔を見せるときとのギャップに戸惑い
そんな暴れん坊なCさんでしたが、機嫌のいい時には本当に可愛い笑顔を見せて下さって、皆に優しい言葉もかけて下さるのです。だからこそ、攻撃的な時とのギャップに驚かされたりもするのですが、Cさんにこの可愛らしい面があったからこそ、みんな彼女の介護にあたれていたんだと思います。
食事はしっかり自分で召し上がって頂けていましたし、「おいしい!」と笑顔を見せてくださってもいました。
カラオケなどのレクレーションでは大きな声を出して唄って盛り上げて下さる時もあり、職員や同じ入居者さんに気遣っててくだることもありました。
そうしてどうにかこうにか生活リズムも出来てきて、大変なりにCさんは私達のホームに馴染んでこられたのです。
後編
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