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ルールは無用。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第十回

ルールは無用

介護・福祉


記事公開日:2016/06/29、 最終更新日:2019/01/04

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親と思うから憎い。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第九回

意外に愛されキャラ?

こんにちは、ミチルです。

今回からは、ケアマネさんがポキさんのために作成してくれた介護プランについて紹介します。

 

まずは、デイサービスです。

ちなみにポキさんの介護度は、要支援2~要介護1を行ったり来たりしていた時期を過ぎ、現在は要介護1で落ち着いています。

 

最初のケアマネさんの時から一貫しているのは、週2回のデイサービス(以下、デイ)の利用です。最初は週1でしたが、ここ2年くらいは慣れてきたおかげで2回となっています。

 

ポキさんは本当に外面がいいので、デイでは「しゃべらないけど、いつもニコニコしてる」と愛されキャラらしいのです。ですから、半年に1度行われる「担当者会議」で、自宅での彼女の自己中心的な実態を明らかにすると、デイのスタッフさんに非常に驚かれたりします。

 

デイでのポキさんは「ガーデニングが趣味のおっとりした未亡人」みたいに思われているようです。家庭菜園でとれた野菜を持っていくのが楽しみなポキさん。

ルールは無用-1

デイでは、たとえ無償であっても物品の受け渡しを禁じているため、スタッフさんも困り顔。ですが、利用者さんの気持ちをむげにもできず、しぶしぶ受け取っては利用者さんのランチの材料に使ってくれているようです。

 

スタッフさんたちの臨機応変にはアタマの下がる思いですが、それにしても家庭でも社会でもルールを理解せずに生きているポキさんです。

 

泥だらけの野菜を床に放置。

実はポキさんは生まれてこの方、料理というものをしたことがありません。私が子どものころは、育ての親である祖母が食事を作ってくれていました。

ですから、ポキさんは野菜を育てることはできるのですが、それ以降の家の外にある水道で洗い、台所に持ちこみ、冷蔵庫の野菜室に保存し、取り出して調理をするという一連の作業はできないのでした。

 

現在は姉が料理担当なのですが、ポキさんが泥だらけのほうれん草や大根を平気で庭からリビングを通って持ち込み、そのままキッチンの床に放置。

夏場は腐って異臭を放つため、怒り心頭です。それを掃除するのは姉なのですから!

 

死にぞこないのジジ、ババばかり。

とはいえ、ポキさんのことです。最初から問題なくデイを利用していたわけでありません。

協調性や共感性が著しく欠如している人なので、通い始めた頃は毎回「辞めたい」「行きたくない」とワガママばかり言っていました。

 

理由を訊けば「あんなとこ、死にぞこないのジジ、ババばっかだぁー」と、舌を出し白目を剥きながら重病人のようなマネをします。「よしなさい」と注意しても何度もやるわけです。

それくらい見知らぬ人たちと一から人間関係を構築しなければならない環境が、ポキさんにとっては脅威だったのでしょう。

 

そういえば、作家の荻野アンナさんがご両親の介護をしていたとき、お母様が入院したので着替え用の下着を買ってきて渡したら「こんなのはババアが着るやつ、私は着ない」と、80歳を超える母に駄々をこねられたと書いてありました。

自分の年齢を自覚しない高齢者というのは案外多いのかもしれません。

 

そして、その傾向は現代、ますます顕著になってきているような気がします。

次回は、そんなポキさんがどうやってデイサービスに馴染んでいったかをお話します。

 

この記事の続きはこちら

出る、出る、作話。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第十一回

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