大阪で、認知症でも入居できる介護施設
お住まい相談員
日々地域を飛び回るお住まい相談員のお仕事内容やトピックを取り上げていきます。
※紹介している相談実例の内容は、実際にウチシルベに寄せられた相談をもとに構成しています。しかし、ご本人やご家族のプライバシーに配慮し、一部の設定・描写を変更した上で編集しています。
記事公開日:2015/07/16、 最終更新日:2018/12/20
この先、独居に不安あり
お住まい相談員をしていると、かなりの高齢になってもひとりで暮らしておられるケースをよく目にします。今回、ケアマネージャーさんを通じて連絡を受けたのもそのひとつでした。ご本人は89歳を迎える女性で、15年ほど前に旦那さんを亡くして以来ずっとひとりで暮らしてきたそうです。住まいは築40年近くを迎える大きな1戸建てで、数年前からは週に2回の訪問ヘルパーさんのサポートを受けてきました。2人の子どもはともに独立されていて、ご長男こそ東京に住んでいるものの次男はそれぞれ大阪市と堺市にお住まいです。
ご本人は、「できれば最期までずっと自宅にいたい」という希望を以前から持っていたそうですが、最近小さなアクシデントが――。ご本人がひとりでスーパーへ出かけた際に、自宅に財布やカギを置いてきたにも関わらず、「誰かに盗まれた!」と勘違いしてしまったのだそうです。
店の人や警察の方まで巻き込んでの大騒動になってしまったこともあって、むしろご本人が「なんでそんなこともわからなかったのだろう」と大きくショックを受け、施設への入居を考えるようになったのだそうです。ただ、ご本人は年金のほかに、近隣で経営している駐車場からの収入があるらしく、入居にあたって費用面での制約は少なそうではありました。
高級物件は“もったいない”
ケアマネージャーさんにも同席してもらい、最初はご本人と大阪市天王寺区に住む次男夫婦と面談をしました。ご本人は89歳という年齢を考えるとかなりしっかりしておられ、少し話をする分には最近そんなトラブルがあったというのが信じられないほどです。
「入居にあたって、不安に思われることや事前に知っておきたいことはございますか?」
ご本人に代わって、今回のケースのキーパーソンとなったご次男の奥様が口を開きます。
「できるだけ私たちが顔を見に行きたいので、できれば大阪市内南部で探していただければと思います」
ご本人は口数も少なく、次男夫婦にすべてを任せているとのことでした。これまで独居で何の問題もなく暮らして来られたからこそ、今回の件が自分自身としても信じられないご様子です。その日の面談の終わりごろ、初めてご本人からご要望があったのは
「子どもたちや孫になるべく資産を残してあげたいので、できるだけ費用がかからない老人ホームを探してほしい」
ということでした。
周囲は大満足! でも……
次男夫婦とご本人の要望を受けて、天王寺区、住吉区、阿倍野区を中心にしてご提案施設を検討していきました。ご本人のこれまでの暮らしぶりをおうかがいする限りでは、介護付き有料老人ホームのような手厚いケア体制は必要なさそうですし、サービス付高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム、さらには高齢者専用賃貸住宅にも対象を広げて探しました。費用面は月額20万円を上限とし、認知症ケアの体制や次男のお住まいからのアクセスなどを加味しながら天王寺区内で2か所、阿倍野区で1か所をセレクトしました。ご提案すると「すべて見学に行きたい」とのことだったので、日程を調整して娘さんとともに現地へと向かいました。
最初にうかがったのは、阿倍野区南部の住宅型有料老人ホーム。スタッフによるサービスや設備の説明に私も少し補足しながらの見学だったのですが、いまひとつピンときていないご様子です。娘さんの場合、これまでまったく介護施設探しをした経験もなく、「いい、悪い」を比較検討する材料も持ち合わせておられないようでした。続いては天王寺区内の高齢者専用賃貸住宅へ。館内へ入った瞬間に、娘さんがうれしそうに話します。
「すごい! とてもオシャレなんですね。ここならお義母さんも喜びそう!」
おっしゃる通り、こちらはデザイナーズマンションのような造りで館内も、それぞれの居室もウッディな雰囲気に統一されています。いい意味でまったく高齢者施設らしくない雰囲気、と言えるかもしれません。
「こんなマンションなら家賃は高くないんですか?」
「いえ、お母様は年金の額も多いですし、充分にその範囲内でやりくりできますよ」
「認知症を抱えていても入居はできますよね?」
「もちろんです。それにこちらはレクリエーションも毎日開催されていますし、手先を動かしたり周りの方とコミュニケーションをとることが、症状の進行を抑えることにもつながってくると思います」
「じゃあますますここにしたいです。もう次の見学はいらないかも……」
「お気に召されたのならよかったのですが、予約もしていますし最後の1軒も見てみませんか?」
積極的に、といいうわけではなかったものの、こうして3軒めの見学先である天王寺区内のサービス付き高齢者向け住宅「いきいき倶楽部館 夕陽ヶ丘」さんへ。こちらは、医療法人が運営母体についているだけあって、医療面のバックアップ体制に定評があります。また、機能訓練にとても力を入れていて、介護予防や認知症予防にも非常に積極的です。応対いただいたスタッフの方の話も、こうしたサポート体制に関わる内容が中心でした。
見学を終えて、その日の3軒をおさらいしました。すでに候補としては後半の2つになっていて、なかでも娘さんは2軒めが気になる様子でした。
「話を聞いてもあまりサービスの違いはよくわからないし。逆に、お住まい相談員の立場から見て、大きな違いはありましたか?」
「そうですね。違いになる点といえば、夜間の人員体制です」
現場でもお伝えしていたのですが、「いきいき倶楽部館 夕陽ヶ丘」は24時間体制で介護スタッフが常駐している一方で、2軒めの高齢者住宅は夜間にスタッフが不在になる点は大きく異なるポイントでした。
本当に必要なものはなに?
その後。娘さんだけでは決めきれないというので、再度見学の日取りを設定し、今度はご本人も一緒に2つの施設を見学しました。しかし、ご本人も「どちらもよさそう」とおっしゃるばかりで、なかなか結論には至らず……。
最終的に、決め手となったのは次男夫婦の長女、ご本人からみれば孫にあたる看護師さんの「24時間ずっと人がいる方が安心できる」という言葉でした。ご本人にはどちらが合うのか、家族みんなで一生懸命考えるなかで、娘さんも「誰からも反対意見が出ない方にするべきだ」と考え方を変えたのだそうです。
「後ろ向きかもしれないけれど……。もしなにかあったときに、『ここでダメなら仕方がなかった』と本人も家族もみんなが思える選択にしたくて」
でも、私は彼女とその家族の決断は決して後ろ向きなものだとは感じませんでした。あれこれと悩み、何度も足を運んだのも真剣にお母様のことを想うがゆえのこと。これまでよりも住まいが近くなった分、これからいっそう家族の絆も強くなっていくのではないかと感じています。
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