ベトナムの介護事情。-カイゴのガイド04
介護・福祉
記事公開日:2016/08/05、 最終更新日:2019/01/04
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ベトナムの介護事情を視察してきました。
今回は、視察で行ったベトナムの話を書こうと思います。
「介護」や「老年看護」の概念すらないベトナムの老人ホームと看護大学で、日本の介護の現状について実習をまじえて研修を行いました。
ベトナムの人たちの日本での生活をより良く…
その第一歩。
日本は、介護人材の不足が現在もこれからも深刻です。
そのために特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するためのEPA(経済連携協定)や技能実習生などの受け入れによって、外国人の方々に日本で働いていただこうと法整備が進んでいるところです。
しかし現状、EPAで来られているインドネシア・フィリピンの方々も、資格取得が難しかったり、合格したら母国に帰ってしまったりと、なかなか日本に留まって働いてくださる方が少ないです。
言葉の問題や国民性の違いなど、問題はさまざまです。そんな中、ベトナムは看護大学等、「日本に行って日本の介護を学びたい」「卒業後、日本で働かせたい」という思いを持っておられます。
なおかつ、一昨年よりEPAの受け入れが開始になりましたが、ほとんどが看護大学卒で、現地では看護師の資格がある優秀な人材が多いです。
今後、技能実習生の受け入れが始まったときに、ベトナムの人たちにも日本に親しみを持っていただいて来てもらいやすい環境をつくり、日本にとっても優秀な人材を獲得するために、道筋をつけることが必要です。
現場の職員同士の交流が図れ、受け入れの窓口や、ベトナムの人たちの日本での生活がより良いものになるように整備していくための第一歩として、ベトナムへ視察に行きました。
日本から視察に参加したのは、11人。介護職員、看護師、社会福祉士、作業療法士といった介護の専門職の他、ベトナムは枯葉剤の影響による障害児が多いため児童養護施設職員も同行しました。
ベトナムの介護レベルは、日本の30年前。
ベトナムには、日本では当たり前になっている「介護」や「老年看護」という概念自体がなく、いずれもこれから確立されていくそうです。
私が看護学校に入学した頃(約30年前)も、学んだ科目の中に「老年看護」という科目はなく、卒業して何年かしてから「老年看護」ができたのを知ったのを思い出しました。その頃に介護福祉士が創設されたように思います(介護福祉士の資格は1987年創設)。
きっと、日本の30年前と同じレベルなのかな…と思います。「看護」も看護専門学校があるのかは不明ですが、大学の看護学科や看護大学も数が少ないし、大学に行って学べる人口自体少ないのだと思います。
そういう状況なので、「介護」も「看護」も知識・技術ともに日本に比べるとぐっと遅れています。
実際、老人ホームの状況を見ていても、オムツもあるにはありますが、クオリティはあまり高くありません。日本では最近見ない、ひどい関節拘縮(関節が可動域制限を起こしている状態)や褥瘡(いわゆる床擦れ)など、まだまだあります。
ハード面に関しては、老人ホームの施設長さんが、日本に何度も視察に来られて、見よう見まねで、特注で設備を整えられたりされています。
知識・技術・環境すべてにおいて、日本はベトナムの目指すところになっていると思います。
ベトナムの老人ホームとスタッフ事情。
老人ホームのスタッフの方は、みなさん看護大学を卒業されている看護師さんで、みなさん独身の若い方ばかりでした。
とても明るくて、やる気もあって、研修に前向きに取り組んでおられました。
ベトナムの老人ホームは、日本で言う高級な有料老人ホームのようです。入居にかかる費用は、平均的なベトナムの給料2ヵ月ほどだということでした。
看護師さんであることと、そんな事情もあってか、向こうの介護職員の方々は平均的なお給料よりたくさんもらっているそうです。
看護大学の学生さんも、とても明るくて熱心でした。
看護大学の方は、教授がしきりに日本の介護技術を取り入れて今後の高齢化に備えたいとか、日本に働きに行きたい学生がいること等、話しておられました。
今回の視察でお世話になった通訳の方やガイドさんは、日本語が本当に流暢で、日本とベトナムの懸け橋になるべく活動を仕事にしているとのことでした。
おふたりともパートナーは日本人だそうで、生活の拠点は日本だそうです。
ベトナムの町は、警官が暴走族。
犬もウェイトレスさんも同じレベル?
ベトナムは、とても自由で活気があり、若い人が多い印象でした。
その反面、不衛生で、環境整備がされておらず、高齢者や障害者が外出するなど、とても考えられないような印象を受けました。
まだ、高齢化は問題になっておらず、平均寿命も短いとのことでしたが、もしかしたら、高齢者は家の中にこもっているのかも…とも思いました。
ベトナムの町は、日本では考えられない程の道路事情で、バイクの数が半端なく多く、車の方が遠慮して走らないといけないような状態です。
日本で言う白バイが2人乗りで、後ろに乗っている警官が警棒を振り上げていたので、暴走族に見えました。
たくさんの人が夜遅くまでバイクで走っているので、なぜか訊くと「暑いから」と。家族全員と思われるくらいの人数が1台のバイクに乗って、荷物もいっぱい括り付けている姿もよく見かけました。
ナイトマーケットがたくさんあって、そこではお土産物がいっぱい売っています。
値切ると下がるので交渉がとても楽しかったのと同時に、小さい子どもさんがたくさん働いていて、かわいい反面、あの子たちはきっと学校に行ったり勉強したりするような環境にないんだろうと想像できたので、複雑な思いでした。
ホテル内のレストランでも、同じメニューを注文したのに配られたフルーツの種類が違っていたり、ビールが全然冷えていなかったり、適当な感じがありました。
ホテル外の屋外のレストランも多く、普通に「肉ちょうだい…」的に犬が寄って来たり、喫煙するところはどこか訊いても「その辺で…」的な返事が返って来たり。
言葉がわからないので、犬が寄ってくるのとウェイトレスさんが言うのと、私にとってはある意味同じレベルでした…(^-^;)
虫もいるし、日本では考えられない雰囲気です。
ベトナム視察は、いろんな意味で、刺激的で、とても楽しくて見識を広める機会になりました。
介護職員が、いろんな場面で活躍できるように。
現場の介護職員さんたちは、日々の業務に追われて忙しく働いています。
そんな中、ちょっと研修に行って他施設の人たちと交流をしたり、現場から離れて勉強したりすることで、リフレッシュしたり、気持ちを立て直したりすることができます。
日本の介護職とベトナムの方たちとの交流がすすめば、ベトナムで介護の指導ができたり、ベトナムの人たちが日本に働きに、勉強に来られたりして、いっしょに働いたりする機会が増えると思います。
それによって、自信とやる気をもって指導にあたり、やりがいを感じていただき、介護の仕事を一生の仕事にするきっかけになったり、もっと違った方向に介護の仕事を活かせたら、幅が広がっていろんな場面で介護職員が活躍できるでしょう。
そんな仕組みをつくるお手伝いができたらいいな、と思っています。
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