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良いケアマネの条件とは?-カイゴのガイド05

良いケアマネの条件とは

介護・福祉


記事公開日:2016/08/29、 最終更新日:2018/12/28

ケアマネの実務は、難しくて大変。

「介護支援専門員、ケアマネージャー(略称ケアマネ)は、介護保険制度においてケアマネジメントを実施する有資格者のこと。要支援・要介護認定を受けた人からの相談を受け、介護サービスの給付計画(ケアプラン)を作成し、他の介護サービス事業者との連絡、調整等の取りまとめを行う」、とウィキペディアには説明してあります。

 

一言でいうと簡単です。でも、その実務は本当に難しく大変です。

私もケアマネの経験があるので、実際の仕事を通して難しく大変な仕事だと思います。

 

担当のご利用者の心身の状態、社会的側面、家族関係、金銭関係等々すべてを理解する必要があります。ご家族が協力的なお家もあれば、独居の認知症など情報を得るすべもないような困難ケースもあります。

 

振り返ると、介護支援専門員の仕事をしているときが、今までで一番勉強した期間であるように思います。

良いケアマネの条件とは?-1

さまざまな施策や資源、インフォーマルサービス(介護保険制度を使用しない非公式な支援)など、ポケットをたくさん持っていれば持っているほど、困ったときに使えます。このため、情報交換や研修など、機会があるごとに参加して、勉強や情報収集にいそしんでいました。

 

ケアマネの自宅訪問。
しっかり話を聴いてくれるかがポイント。

まず、介護保険のサービスご利用の意向があったら、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談をします。

 

担当のケアマネが決まると、ケアマネがご自宅に訪問してお話することになります。その時に、しっかり話を聴いてくれる人かどうかが大きなポイントです。

 

自分の思いや意見を押しつけて、最初からサービスありきの話しかできないケアマネは、あまりいいケアマネとは言えません。

 

ケアマネは公正中立な立場で仕事をしています。でも、ケアマネがいる事業所は法人や会社などに所属していますので、「お客様を確保して来い」的なことを言われることがよくあるのです。

 

ケアマネの所属する法人や会社のサービスを使いたい方にとっては、助かることもあります。担当ケアマネが同法人であることで、少し融通がきいたり、連絡が行き届いていたりするからです。

 

でも、他のサービスを使いたい方には、自事業所ばかりをすすめてはいけないことになっています。

 

その方の状態やニーズに応じてサービス事業所を決めるので、ケアマネはたくさんの事業所情報を持っていなければなりません。また、介護保険サービスだけでなく、地域資源やインフォーマルサービス、福祉全般の知識や情報を浅く広く持っておく必要があります。

 

42歳で脳内出血…。
ケアマネとして知識、情報、人間性を求められたケース。

私自身が、ケアマネは本当に幅広くいろいろ知っていないとできないし、自分自身の人間性を磨かなければできない仕事だと痛感したケースがありましたので、ご紹介したいと思います。

 

その方は、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の方で、年齢は42歳でした。若いころから野球をされていたスポーツマンで、世界中を飛び回ってお仕事をされる、できるビジネスマンでした。

 

奥様は専業主婦で、お子さんは中学生・小学生とまだまだ成長盛りの息子さん・娘さんがおられました。きっとご病気をされる前は順風満帆、幸せなご家庭だったのだと想像できました。

 

休日に、お子さんの野球チームのコーチをされており、いつものように練習に参加されていたときでした。脳内出血で倒れられて、半身麻痺と嚥下障害、言語障害が後遺症として残りました。

 

42歳という若さで、身体は思うように動かず、食事は胃瘻からの注入、吸引は24時間必要な状態で、話をすることもできませんでした。

良いケアマネの条件とは?-2

初めてお会いした時、私はケアマネになってまだ1年で、あまり経験がありませんでした。これからの彼の生活をどのように支えていったらいいのか、頭が真っ白になったことを覚えています。

 

「生きてるだけでもまし」と言い放つ医師。
それを聞いて頭にきた私は…。

私がお会いしたとき、リハビリ病院に入院中で、医師から「ここではすることがないので、病院を転院してほしい。ただ、今のご本人の状態では、施設の受け入れは皆無で、療養型の病院をおすすめします」ということを言われていました。

 

ご本人は家に帰りたい気持ちを抑えて、病院の転院を受け入れていました。

でも、奥様はお若いこともあり、「子どもさんにもしょっちゅうお父さんに会ってほしいし、自分も毎日でも面会に行ってあげたい」と思っておられました。

良いケアマネの条件とは?-3

ただ、奥様は運転免許を持っておられなかったので、医師に「近くで、公共交通機関で通える病院にしてもらえたら助かるのですが…」とおっしゃいました。

 

すると医師は少し怒った様子で、「便利のいい近くの病院なんてありませんし、神戸市内の療養型はいっぱいです。今のご主人の状態で受け入れてくれるところは、少し田舎の方でないとありません。あんな出血したんだから生きてるだけでもましやと思ってください」と奥様に言い放たれたのです。

 

私はそれを聞いて、何の自信も裏付けもありませんでしたが、重度の障害があることを理由に生きているだけでもまし、なんて言われたことが頭にきてしまい、奥様に「ご自宅に帰っていただきましょう」とおすすめしました。

 

帰宅して、情に流されて行動してしまう自分の性格を恨みましたし、不安の大きい退院でしたが、結果的にはご本人の一番望んでおられる形での退院だったので、結果オーライでした。

 

奥様が夜間に眠るために、喀痰吸引をどうするか?

ご自宅に帰られてからは、いろんな問題が発生しました。

 

まず、夜間の喀痰吸引です。

これがある限り、夜、奥様にゆっくり寝ていただくことができません。お子さんは小さいし、ご両親は訳あって両家とも疎遠になっており、協力を得ることはできません。そんな状態で奥様以外に頼るご家族はいませんでした。

 

訪問看護はそのような使い方はしないし、在宅で夜間に訪問してもらうのはヘルパーさんですが、そもそも当時のヘルパーさんは吸引ができません。

夜間の巡回ヘルパー自体、やっている事業所はありませんでした。

 

特養のショートステイを探しましたが、年齢が42歳ですし、夜間に看護師さんがおられる施設もありません。老健や療養型は、空床がないとショートステイの利用ができなかったのです。

 

結局、「奥様が夜間に眠る」という目標を達成することができませんでした。

 

このようなケースで、サービスを受けることができない方がたくさんおられました。その現場からの声で、2012年4月にようやく介護職員の喀痰吸引等の制度ができたのだと思います。

 

私自身、その制度ができる経過で一端を担わせていただきましたが、この方とのご縁があって、この方と奥様のご苦労を次に生かすためにこのような機会に恵まれたのだと思いました。

 

肺炎を起こさない胃瘻からの注入法は?

次の問題は、胃瘻からの注入です。

 

当初、液体の注入剤を注入していたところ、知らず知らずに逆流していたのだと考えられますが、肺炎を起こされて入院になりました。幸い大事に至らず、治癒して帰ってこられたのですが、このままではまた再発してしまいます。

 

今でこそ、半固形の注入剤も種類が出ていますが、その頃は(もう15年くらい前になりますので)私も注入と言えば液体しか知りませんでしたから、どうしたものか、悩みました。

 

そこで、訪問看護の看護師さんに相談したところ…。

ムース状に調整してから注入する注入剤が新しく出ており、それを使うと誤嚥による肺炎が激減することと、胃に留まる時間が長いことによって下痢をすることが少なくなることを知りました。

 

主治医に話したところ、さっそく新しい注入剤を取り寄せてくださり、それから肺炎で入院することがなくなりました。

 

「口から食べたい」ご本人の思いと、
「訓練しても無理」と結論づける医師。

胃瘻のもう一つの問題は、ご本人の「口から食べたい」という気持ちです。

42歳でその後の人生、口から何も食べられないのはあまりにも辛すぎると思い、在宅で嚥下の訓練ができないものか、いろいろと探してみました。

 

ご本人の運動機能の訓練と奥様のレスパイト(介護者の休養)のため、通所リハはつないでいました。でも、そこでの口腔機能訓練は、ST(言語聴覚士)さんがいないという理由で受けてもらえませんでした。

 

その頃は、口腔機能についても今ほど重要視されておらず、訪問歯科診療もほとんどありませんでした。訪問リハも運動機能が主で、口腔機能の訓練をやっていただけるところはありませんでした。

 

伝手(つて)をたどってSTさんにお願いしてみましたが、普段から医師の指示で動いておられますので、「医師の指示がないと動けない」とのお返事でした。

医師から見たご本人の状態は、出血の部位や後遺症の度合いから「訓練しても嚥下は無理」という結論でしたから、主治医からの指示書は出ません。

 

そんな中、ボランティアでお一人だけ、話を聴いてくれたSTさんが訪問してくださいました。とりあえず、口腔ケアと口腔内や口腔周辺のマッサージを奥様に指導してくださり、とにかく毎日続けようということで始めました。

良いケアマネの条件とは?-4

口腔ケアとマッサージをひたすら続けていたところ、訪問看護の看護師さんから、指示書を書いてくださる耳鼻科の医師がいるという情報があったのです。介護タクシーでご本人をその耳鼻科にお連れし、診察していただきました。

 

耳鼻科の医師はご本人の思いをゆっくり聴き、指示書を書いてくださいました。STさんのいる訪問リハを探し当て、通所リハの回数を減らして訪問リハに入っていただくようになりました。

 

訪問リハを探す、と一言でいうのは簡単ですが、見つけるのにはたいへん苦労しました。探し当てた、と書いたのは、まさにその苦労があったからです。

 

ケアマネは、夫婦関係や金銭面のフォローも。

文章で書いていると、簡単にスムーズに事が進んでいるように見えるかもしれませんが、実際はすんなりとは進みませんでした。

身体的なことだけでなく、ご本人やご家族の精神的なダメージも大きく、経済的にも前途が見えないなど…。

 

ご夫妻ともども、お互いに気を使っておられ、言いたいことを言えない現状があったので、知り合いの傾聴ボランティアに入ってもらいました。ボランティアなので定期的にはいきませんでしたが、手の空いているときに、ご本人の思いと奥様の思いを聴いてもらう機会をつくったのです。

 

傾聴ボランティアに少し助言してもらったり、共感してもらうだけで、特に奥様は気持ちが楽になったと言われていました。

 

ご本人は、言語障害があることもあり、なかなか思うように話をしてもらうことができず、心を開いておられるのかどうか疑問なところはありました。でも、「辛い」ということの矛先が、奥様ではなく他の人に向くことで、夫婦関係は明らかによくなったように思いました。

 

この関わりの中で、ご本人の気持ちを伺うため、大きめのキーボードを打つことによって声になる機器を貸してもらえる福祉サービスがあることを知りました。結局、ご本人が「50音表があればいい」ということで使いませんでしたが、こんなものがあることも、借りることができることも、情報収集しないと知ることがなかったと思います。

 

傾聴ボランティアも、たまたま自分にそのような知り合いがあったので実現しましたが、地域のボランティアセンターなんかで見つけるのはなかなか困難です。

 

それから、何よりも切実かつ急務だったのが金銭面です。生命保険をかけておられたので、当面はその保険で生活していくことにはなっていましたが、お子さんの学費や生活費、ご本人にかかる医療費や介護費等考えると、大きな負担があります。このため、身体障害者の手続き、高額介護費制度、傷病手当、障害年金、お子さんの奨学金や修学金貸付制度など、奥様といっしょに勉強し、できる手続きは行うようにしました。

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絶対無理と言われても、寝たきりでも…。

残念ながら、私は法人内異動になり、その方を最期まで担当することはできませんでした。でも現在、彼は10数年、毎日1日3回の口腔ケアと訓練を続けたことで、絶対無理、と言われていた口からの摂取、ゼリーを数口食べることができるようになったそうです。

 

10数年でゼリーを数口というと、長い時間をかけてそれだけ…と思うかもしれませんが、ご本人にとっては生きていることの支えになるほどの進歩です。今は「ビールを飲む」という目標に向かってがんばられているそうです。

 

お仕事も、とても理解のある会社で、ご本人が語学堪能であるため、海外からの文書を翻訳する役割を見つけてくださいました。今も会社に所属して、奥様に協力してもらいながら翻訳の仕事を続けておられます。

 

体が不自由になってほとんど寝たきりの状況でも、社会の受け入れがあれば、役割をもって生活することができるのだという見本のようなケースでした。

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いいケアマネは、ご本人を中心に物事を考えられる情報通。

いろいろ書きましたが、これは最初にも書きましたように、ケアマネはこんなにいろいろなことが要求される、ということです。私はそのころ新人で、周囲のみなさんの力をいっぱい借りないとそこまでサポートすることはできませんでした。

 

ケアマネがケースを担当するということは、医療、介護の知識のみならず、たくさんポケットを持っていないといけません。人間性を磨き、人生観や死生観をしっかり持つことも必要だと思います。

 

ご利用者の話をしっかり聴いて、ご本人を中心に物事を考えることが大切です。サービス利用ありきではなく、持てる力や精神面のサポートもしっかり行い、ご本人やご家族のニーズに応じてサービスを選べる情報通がいいケアマネさんではないかと私は思います。

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