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介護施設のほっこりエピソード スタッフ編-カイゴのガイド09

介護施設のほっこりエピソード スタッフ編

介護・福祉


記事公開日:2016/11/05、 最終更新日:2018/12/28

前回(介護施設のほっこりエピソード ご利用者編)の続きで今回もわたしがこれまでに出会った印象に残っているエピソードを紹介したいと思います。

今回は主にスタッフと入居者さんの関わりの中で起こった出来事を紹介します。

 

車椅子の横で大声をあげて泣いたスタッフ

介護職員のYさんは認知症専門棟の担当でした。Yさんはその時19歳。「ハルさん」という102歳のおばあちゃんが大好きでした。

ハルさんは介護保険前から入所されており、入所当初はしっかり自分で歩かれて、認知症もなく、しっかりしたおばあちゃんだったそうです。

ですが、だんだん物忘れが出て認知症が進行し、話もしなくなりニコニコ笑うだけになりました。でもその笑顔にはみんな本当に癒されて元気が出たものです。

 

Yさんも、何かあったときは、絶対秘密を守ってくれるハルさんのところに行って、こんなことがあって、あんなことがあって…と話していたそうです。

Yさんは、とても利用者思いでしたので、上司でもなんでも利用者さんの不利益になることは、「違うと思います!」と意見する人でした。でも思うようにいかないことも多々あって、落ち込むこともありました。

 

ある日泣きたいぐらいに落ち込んだとき、ハルさんの車いすの横に座ってポロポロ涙をこぼしながら作業をしていたところ、ハルさんが、いつもの笑顔で頭をなでなでしてくれたそうです。

話をしなくなってニコニコ笑うだけ…と思っていたのに、ちゃんと自分のつらい気持ちをわかってくれたんだなぁ…と思って感動したのとうれしかったのと、今まで抱えていた気持ちがはじけてしまって声をあげて泣いてしまったそうです。

業務中だったので、主任に「休憩室に行っておいで。」とその場から退場させられたそうですが、その時、本当にハルさんが仏様に見えたとYさんは話してくれました。

 

ハルさんが亡くなったとき、ハルさんの笑顔に癒されたたくさんの職員がハルさんにありがとうを言いました。

介護施設のほっこりエピソード スタッフ編1

Yさんの結婚式のスピーチで、私はこのエピソードを紹介し、出席していた当時の職員みんなが思い出して、また号泣しました。

 

新米職員の神対応

介護職員のOさん。今まで勤めていた会社が倒産し、一念発起して介護の世界に入ってこられた40代の男性で、とても温和な性格で、ご家族思いのお父さんです。

でも、全然違う世界から来られたので、仕事を覚えるのに一苦労で、他の職員さんたちよりも少しスローペースでした。即戦力を求める現場からすると、少し手のかかる問題の職員と見られたこともありました。

そのOさんが独り立ちして夜勤もこなすようになったある夜勤明けの朝の申し送りでの出来事です。

認知症のIさんに、モーニングケアをしようと訪室すると、窓際に何かおいてあるのを発見しました。よ~く見てみると、ご自身の排泄物をきれいに丸めて新聞の上に3つ並べてあったそうです。

部屋中すごい臭いで、手もパジャマもリネンもあたり一面汚染していて全部新しいものに取り換えました、とのことでした。朝から大変だったんやなぁと思って、Oさんに声をかけました。するとOさんが「施設長、続きがあるんですよ。僕が片付けしていると、Iさんが『あんた、お下がり食べなさい。』って言うんです。よく考えると、お彼岸でしょう。おはぎ作ったんやなぁって思って。帰ってからいただきますって言って新聞にくるんで捨てました。」って笑って話してくれました。

 

Oさんの神対応、敬服致しました。彼は、介護職員になるべくして生まれてきた人だ…と思いました。

 

 

前後編に分けてエピソードを紹介してきました。

大体こういう話は、認知症の方の話が多いです。認知症の方がどうしてそんな言動をするのか、この行動は何を意味するのか、掘り下げて考えると色々見えてくるものがあります。意外な発見につながったり、その方を理解する材料が見つかったり…。

 

BPSD(認知症の行動・心理症状)には必ずと言っていいほど何か意味があったり原因があったりするので、それを理解して対応することが、認知症介護のポイントと言える気がします。施設でも、理解して笑って対応してくれる人を認知症がおありの方はよくわかっておられます。

 

認知症の方が言うことを聞いてくれない、思うようにしてくれない、ではなくて、私たちがその方のことを理解することが大切だと思います。

 

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