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真夏の介護は、一触即発!-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十八回

真夏の介護は、一触即発!

介護・福祉


記事公開日:2017/08/16、 最終更新日:2018/12/28

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白内障の手術は、認知症になる前に。-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十七回

 

こんにちは、ミチルです。今回は「真夏の介護は、一触即発!」についてお話します。

 

先日、近所にコンビニができました。オープン当日、ポキさんは「コンビニ、コンビニ」と朝から騒いでいました。私の足で8、9分はかかりますから、ポキさんだと往復1時間の距離です。夕方にでも車に乗せて連れていってあげようと思っていたのですが――いつの間にか姿がない!

 

嫌な予感的中。

 

まさか気温35度を超える炎天下に歩いていくはずは……と、嫌ぁな予感がしているところに、電話が鳴りました。

 

「おたくのおばあちゃんがコンビニで倒れてる」

 

民生委員のKさんからでした。

 

幸いにも顔見知りが店内にいたため、Kさんに連絡して駆けつけてくれたというのです。数分後、Kさんの車で帰宅したポキさんは、コンビニの袋をかかえてヨロヨロと家の中へ消えていきました。

 

「おばあちゃん、電話番号きいても『知らん』って。番地は言えるんだけど、どこらへんか説明できないみたいで」

 

汗を拭いながら、Kさんは責任感に燃えていました。

 

「一事が万事、この調子で」と、泣き笑いしながらKさんに何遍もお礼を言うほかありませんでした。

 

私は急ぎの仕事を中断して、とにかくコンビニへ謝罪に向かいました。

 

「ひっくり返っちゃったけど、頭とか打たなくてよかった」

 

多忙中にもかかわらず笑顔で対応してくれる店長さんでしたが、こんな形でコンビニのスタッフに顔を覚えられるのは苦痛でしかありません。

 

暑さの中、家庭内の緊張感もピークに。

 

自宅に戻ると、ケロリとしたポキさんが買ってきた弁当をかっ込んでいるところでした。食べきれない量の菓子パンや和菓子もあります。私が注意しても何も言いません。その顔には「お前とは話したくない」と書いてあります。

そして、よほどコンビニで親切にしてもらったのでしょう、同じ話を繰り返すのです。

 

私は――どうせ車は駐められないだろうとカンカン照りの中、往復20分近くを歩き通しました。日傘もハンカチも持たず、汗ダラダラ、喉カラカラ。おそらく頭からは湯気が出ていたかもしれません。コンビニは混んでいてペットボトル1本買えず、というか、そんな気力さえ無かったのです。

 

家の外では狂ったようにアブラゼミが鳴いています。滴る汗でメガネは曇り、ふと腕を見ると、虫刺され痕を掻き壊したのか出血しています。だんだん、強い感情が沸点に近づいていくのがわかりました。

 

真夏の介護は、一触即発!01

 

「あのさぁ、こういうクソ暑いとき、ギャクタイって起こるんだって」

 

一瞬、自分の発した言葉にギクッとしました。見るとポキさんは意味がわからなかったのか聞こえなかったのか、相変わらずクチャクチャ。私は深い徒労感に襲われ、その場にへたり込んでしまいました。

 

その後、「自分が健全でなければ、介護なんてできない」と、一念発起して7年ぶりに一泊旅行に出かけたのでした。暑い季節には、意識して気分転換を図ることが自衛策になると実感しています。

 

Take a holiday before you’re really burnt out.(倒れる前の、ずる休み)

落合恵子さんの言葉です。

この記事の続きはこちら
お盆の恐怖体験-在宅介護実録 沈んだ太陽 第二十九回


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