グループホーム見学 後編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十三回
介護・福祉
記事公開日:2017/10/25、 最終更新日:2018/12/28
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グループホーム見学 前編-在宅介護実録 沈んだ太陽 第三十二回
なかなか人が出てこないグループホーム。
「あれ、誰もいない?」
2軒目のグループホームに定刻通りに到着した私たち姉妹は、玄関チャイムを2度鳴らしたのですが、中から人の気配がありません。3度目のチャイムを鳴らそうか躊躇っていると、ようやく誰かが近づいてきました。眠そうな40代の女性です。
「見学のぉ、かたですよね?」
どうやら、見学者についての情報共有がないまま対応に出た感じです。すでに嫌な予感。グループホーム内を案内しながら「ここまでは車で来られましたか」、「どなたが入居される予定ですか」など、ときおり質問してくるのですが、淡々とした口調は”そんなこと、ほんとは興味ないけど。一応、仕事だから訊いてる“とでも言いたげで、実に気まずい雰囲気でした。
グループホーム内部は、かなり老朽化しており、階段は健常者でもドキッとするくらい急な作りです。
「これって、危なくないですか?」
案内係の彼女に尋ねると「慣れました(苦笑)」と、一言。車イスや足腰の弱い方は、昇り降りをどうしてるのかという意味だったのですが、“スタッフの自分はOK”と表明したきり、それ以上の会話は無し。
こんな想像力の貧困なスタッフしかいないのでは、いつか事故が起きるのではと危機感を覚えました。
入居者そっちのけでカラオケ……。
2階のリビングに近づくにつれ、カラオケが聞こえてきます。賑やかなのは何よりと思いきや、先刻すれ違ったとき無視された60代の男性スタッフが『北国の春』を熱唱しているところでした。正直、入居者そっちのけで。入居者たちはというと、大型モニターに視線を向けてはいるけれど、皆、漂白したように無表情です。
それが、1軒目に見たAホームとの決定的な違いでした。こんな明るい部屋で、人が何人もいるのに、お互い誰ともつながっていない、そんな空虚が広がっていました。
「いろんなトコがあるんだね。良かった、見といて」
そう言うと、姉のルミコさんは室内にこもる臭いに顔をしかめました。彼女は鼻大王なのです。
女性スタッフは、自分が仕事をした証拠がほしいのか、私たちにパンフレットを押しつけ、イスを勧めました。しかし、ルミコさんが目顔で「もういい、帰ろう」と促したため、あたふたと暇を告げて駐車場へ向かうことに。
ところが、外に出てみると、やたらバタバタしています。隣接するデイサービスの送迎にぶつかったのでした。デイの男性スタッフが慌ただしくワゴン車の周りを巡りながら、利用者を車内に誘導していたのですが、まるで家畜を荷馬車に乗せるかのような号令に、言いようのない怒りを感じました。
しかも、追い立てられるような空気にすっかり飲まれた私は、焦って車に乗り込もうとして、ズズッー、コケ!勾配のある駐車場は新しく砂利を敷いたばかりだったため、足が絡み取られて、前のめりに転んでしまったのでした。その姿を誰も気に留めていないことにさらに恐怖を感じ、わなわなと震える手で車を発信させました。
つくづく、施設探しは横着せず、自分の目で確かめないとシャレにならないと痛感した一日でした。
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