大阪で、リハビリに強い介護施設

もしかしたらずっと寝たきりかも……

今回の相談実例は、ケアマネージャーさんなどを通さずに、キーパーソンである娘さんから直接ご連絡をいただきました。ご兄弟はほかにお姉さんと弟さんがいるのですが、どちらも遠方にお住まいのため、同じ関西に住んでいる相談者さんが長年にわたってお母様のお世話をしてきたそうです。ご本人は10年ほど前に旦那さんと死別されていることもあって、大阪府高槻市内のマンションにひとりで暮らしてこられました。これまでは、週に2回のヘルパーさんの訪問のほか、娘さんが1カ月に1度ほど車で訪問して身の回りの世話をしてきたそうです。

状況が変わったのは、私に相談があった約2カ月前のこと。お母様が自宅で転倒して、左足を骨折してしまったのです。入院した当初は気力の衰えもあったのか心身の不調が一気に出てしまい、ストーマとカテーテルの着用が必要になりました。娘さんもそのときには「もうずっと寝たきりかもしれない」と覚悟したそうです。

でも、院内でのリハビリと体力回復の結果、カテーテルは外せるようになり、車いすでならなんとか移動ができるまでになり、退院のタイミングに合わせて介護施設探しをすることになりました。

「家から近ければいい」は本当？

介護施設のご提案をする前に、まずはお母様から全権を任されている娘さんとの面談を通じておふたりの意思、ご希望、そして現在のお身体の状況を確認します。内容を整理すると、お母様ご本人は「もし可能性があるのなら介護施設ではなく娘さんと同居したいと考えていること」が見えてきました。一方で、娘さんは「これからも介護は担当するけれど同居は難しい」と考えていて、「生活リハビリがしっかりした介護施設を望んでいる」のが分かりました。娘さんが繰り返し口にしていたのは、「私の家からの近さよりも、母の身体が元気になることをなによりも優先したい」というセリフでした。

相談員の役割は交通整理

訪問に来る際には車を利用するとのことだったので、大阪市内よりも運転がしやすい豊中・箕面・茨木といった北摂エリアを中心に老人ホームを探しました。退院が間もなくに控えていたこともあり、ご希望に合う条件をピックアップして娘さんを4軒の見学にお連れしたのですが、なかなか決定には至りません。

「ここは居室が広いのはいいのだけど…」

「もう少し費用面が安かったら……」

「ご飯がおいしそうなのはいいですよね……」

どの老人ホームにも気に入ったポイント、あるいは少しイメージと違う部分があるのは仕方のないことです。でも、彼女の反応を見ていると「拒否をしている」というよりも「決めかねている」という印象が強くありました。そこで、頭の中を整理しやすいように見学した老人ホームを整理していきます。

「最初と2番めならどちらの方がお母様に会いそうですか？」

「2つめの方が、雰囲気が賑やかだったしよさそうです」

「じゃあ3つめの茨城の老人ホームはどうでした？ 費用的には一番リーズナブルでしたけれど」

「う～ん。きれいだったけど、全体的にこぢんまりとしすぎていたような」

見学を終えた後に具体的に話を進めていくと、それまでご本人のなかでもぼんやりとしていた「優先度」が見えてくるケースが多いんです。

入居者の団らん風景が決め手に

お話のなかから、「なるべく人の温もりが感じられるところで」という想いが新しく見えてきました。また、同じ生活リハビリに取り組むなかでも、ときにはご本人を励ましながら厳しいメニューに取り組んでくれる介護施設に共感を覚えているようでした。

そこで続いて私がご紹介したのが、箕面市にある「ポルトローサ小野原」です。こちらは医療法人が運営母体なのでストーマの対応にもまったく問題ありませんし、しっかりと時間をかけてリハビリに取り組む姿勢にも定評があります。

見学を終えた娘さんに尋ねてみると……。

「今日はいかがでしたか？」

「すごく良かったです。ここなら母も満足すると思います。入居者の方の表情がとても柔らかくて、それが一番素敵だと思いました」

これまで、リハビリの体制やハード面を気にされていた経緯から考えると少し意外にも感じました。でも、実際に暮らす方々の様子を見ることができたので、お母様のこれからを今までよりもずっとクリアにイメージできたんだそうです。

「ここなら家からも車で30分ですし、前と同じように顔を見に来ようと思います！」

ちょうどいい距離感だからこそ、これからも紡がれていく親子のストーリー――。お母様にとっても心地よい新居となったようで、ふたりにとってベストな選択のお手伝いができました。