福岡県・糟屋郡で、受診をサポートしてくれる介護施設

通院の不安にも寄り添って

今回は、回復期病棟のあるソーシャルワーカーさんからご相談でした。

「退院期限まで時間はありますが、リハビリも順調なので早めの退院も考えています。

どこか介護施設を探してくれませんか？」

お話を伺っていくと、ＡＤＬはご自身でできることもたくさんあり、医療行為はないようです。夜間に排泄の失敗がしばしばあるようでした。おむつ代が30,000円近くかかっていて大変とのこと。入院当初は要介護２でしたが、区分変更で要介護４となりました。

相談を受けながら、頭では夜間のおむつ交換を快く受けてくれる介護施設を考えていました。

一つが福岡市東区にある住宅型有料老人ホーム、もう一つが糟屋郡宇美町にある「メディケア宇美」です。

ただ、いまは福岡市内にご住所があるため、「メディケア宇美」生活保護の移管手続き（市町村が変わるとなると、生活保護は再度申請するようになります）が必要となります。ご家族だけでは手が回らない、といったケースもよく考えられるのですが……。問い合わせてみたところ、事務長は「うちでもお手伝いさせていただけますよ」と快くお返事をいただけました。そして、こちらが「明日、ソーシャルワーカーさんにご提案をしようと思います」と伝えると、夜遅くに丁寧な資料が届きました。

福岡市から宇美町への転居となるとご家族も不安だろうと察してくださったのでしょう。

月額利用料など費用面を中心に分かりやすい資料でした。

翌日、その資料を持ってソーシャルワーカーさんのもとへ――。

「相変わらず桑野さんは早いですね！ほんと助かります。実は、昨日の電話を切った後、長女さんが福岡に来るとご連絡をいただいて、今いらしているんです。お会いになりませんか？」

「もしお時間がよければ、直接ご説明を差し上げられたらと思います」

お住まいが遠く離れているので、お会いできる機会はなかなかありません。「おまかせしたい」と聞いているとはいえ、やはり実際にお顔を合わせて話すことでご家族の不安も小さくなるのでと考えました。

病院の相談室で長女さんのお話をうかがい、こちらからも２つの老人ホームをご提案しました。今日このあとに私が見学におうかがいする旨をお伝えすると、ぜひ同行したいとのこと。私たちとしても一緒に見ていただいて決めていただけるのはありがたいことでした。

その日の午後から２軒の見学に向かいました。長女さんはどちらのホームともに満足されていたようですが、

「緑豊かな環境の方がお父さんには合うかな。父にも見せてあげたいので、『メディケア宇美』に父を連れてきていただけませんか？」

とおっしゃっていました。さっそくソーシャルワーカーさんへ電話をいれ、今度は見学日の設定です。ソーシャルワーカーさんだけでなく作業療法士さんも同行いただける日を考え、翌週の火曜日に設定をしました。

常に入居者とご家族の目線で

そして見学当日。長女さんがおっしゃったように、Ａさんはメディケア宇美周辺の環境を気にいってくださり、温かなホームの雰囲気にも笑顔を見せておられました、また、設備面での打ち合わせは作業療法士さんが対応してくださり、スムーズに入居まで進めることができるようになりました。

もうひとつ、「今後も福岡市内のかかりつけの眼科に通いたい」というAさんの意向が懸案としてありました。ほとんどの施設は、ご家族が本人を病院へ連れて行く、通院の介助をしてくれる場合にも、有料オプションであることが多いのですが……。メディケア宇美では、「基本料金内でしっかりサポートします」とまたもや快く引き受けてくれました。ちなみに、こちらではご家族が会いに来るときには最寄りのJR「宇美」駅まで送迎してくれるサービスも導入しています。「そこまでしてくれるんだね」というAさんの反応にも納得できました。この日の見学の様子を後日長女さんにご報告したのですが、自らの選択が間違っていなかったことにほっとしておられる様子でした。

「私はなかなか行けませんし、買い物や通院のサポートをしていただけるのは本当にありがたいです」

「確かに、あそこまで対応してくれるホームはなかなかないと思いますよ」

「夜もきっと本人は心地よく眠れるでしょうし。ぜひこのまま進めてください」

結果的に、非常にスムーズに進んだご案内となりました。「入居者のためにどこまでしてあげるべきか」「サービスをどこで線引きするべきか」。たくさんの施設経営者とお会いするなかで感じるのですが、この問題に頭を悩ませている方はたくさんおられます。「喜んでいただけるのならできる限りのことをしたい」というメディケア宇美の姿勢は本当に素晴らしいと思いますし、私にとっても自信を持ってオススメできる老人ホームがまたひとつ増えました。