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インスリンを利用される方の介護施設選び

記事公開日:2015/01/12、 最終更新日:2019/05/08


インスリンを利用される方の介護施設選び

インスリンにはさまざまな種類が

インスリン注射は、糖尿病の治療として用いられています。健康な人間は、体内で常にブドウ糖量の調整が行われており、血糖値の安定がはかられています。しかし、本来備わっているこの体の働きが失われてしまった状態を糖尿病と呼びます。糖尿病には、体内でのインスリンの分泌がほとんどないI型と、血糖のコントロールがうまく行えないⅡ型の2種類があります。インスリンは糖尿病の治療で活躍するホルモンの1種であり、現在の医学ではⅠ型・Ⅱ型どちらの患者さんにも積極的に使用が奨められています。インスリンの種類には、注射した直後から効果が出現するものの効果が3~5時間と短い超即効型や、効果が出るまでに1~2時間が必要となるものの、作用が24時間近く持続する持続型などさまざまなタイプがあります。

 

インスリンの種類

超即効型 食事を摂取する直前に投与して、食後の高血糖状態を改善
即効型 食事30分前に投与。唯一、筋肉注射や静脈注射することができる
混合型 超即効型・即効型と中間型をブレンド。作用時間は中間型とほぼ同様
中間型 朝食前に皮下注射。作用時間によって1日2回にする人もある
持続型 持続的に血糖値を下げる一方で、食後高血糖の改善効果は強くない

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インスリンの役割

糖尿病の治療で使われるインスリン。このインスリンがどのような役割で、糖尿病治療にどんな働きをしているのかについて解説していきたいと思います。

 

私達がからだを動かすときには血液内のブドウ糖をエネルギーにしています。

ブドウ糖はごはんやパンといった炭水化物、いも類やお菓子など糖分の中に多く含まれています。

このブドウ糖は普段の食事で体の中に取り込まれ、血液中から全身に運ばれます。

こうして私たち人間の脳や筋肉、内蔵が動いて生命が維持されます。

ブドウ糖が血液中に入ると血糖と呼ばれるようになります。この血糖の量を血糖値と呼びます。血糖値は食事をすると増え、1~2時間で減っていきます。

血糖値は食事など様々な要因で変化します。

健康なからだであれば血糖値はちょうどいい具合にコントロールされて、いつも一定の幅を保ちます。

この血糖値を一定に働きかけるのにインスリンが一役買っているのです。

 

インスリンのひみつ

インスリンは膵臓のランゲルハンス島というところでつくられます。

食事をして血糖値が上がると膵臓のβ細胞がこの動きをすばやく感知してすぐにインスリンを分泌します。

このインスリンが分泌されたことにより血糖が全身の臓器に届いたときに臓器が血糖を取り込んでエネルギーとして利用したり蓄えたり、タンパク質の合成や細胞の増殖を促すといった働きができるようになるのです。

このようにして食後の血糖が適切に処理され保たれています。

インスリンはブドウ糖を取り込ませるのに欠かせないものだということがわかります。

要するにインスリンは体の中に入ってきた栄養分を体の中の細胞に取り込まれて貯蔵させるためのものです。

このような作用を「同化」といいます。インスリンは「同化ホルモン」と呼ばれます。

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インスリンが働かないと

インスリンの量が少なかったり、適切に働いていないと血糖が高い状態が続いてしまします。この状態のことを糖尿病といいます。

 

糖尿病の患者は日本をはじめとしてアジアで増えていると言われています。

このようにアジアで糖尿病患者が増えている原因として食生活の変化が考えられます。

アジア人の食事が欧米化していることにより、内臓脂肪が蓄積されやすくなりました。内臓脂肪肥満のうえに運動不足がかさなると必要なインスリン量は通常よりもさらに増えます。

アジア人はもともと欧米人よりもインスリンの分泌量が少ないことも糖尿病の人が増えていることの大きな原因です。軽度の肥満であっても糖尿病のリスクが高まります。

自分で注射するときの正しい方法は?

インスリン注射は、それぞれの病状やライフスタイルに合わせて種類を選択し、使用することになります。数時間おき、あるいは1日単位での注射が必要となるため、糖尿病の患者さんは自ら注射を行います。自己注射をする際の手順は以下の通りです。

 

<必要なもの>

ペン型注入器

穿刺キット

アルコール綿

 

<手順>

①注入器を振って、薬剤を均一に鳴らす

②ゴム栓を消毒し、注射針を取り付ける

③空打ちして、注入機内の空気を抜く

④医師から処方されている単位をセット、確認する

⑤穿刺部位を消毒後、皮膚に対して直角に穿刺する

⑥単位表示が0を示すまで針を抜かず、定められた量を注射する

 

インスリン注射は毎日同じ場所に打ち続けると、その部分の皮膚が固くなってしまうことがあるので、少しずつズラして打つようにしましょう。また、腕、腹部、臀部と体の部位によって吸収の速度は異なるので、注射する部位は主治医によく確認しておきましょう。

 

自分で注射が出来ない要介護者への対応は?

高齢者施設に入居する方のなかにも、持病として糖尿病を抱えておられる方は当然おられます。自己注射ができる間は、自分自身で血糖値の管理ができますが、もしも、介護度の進行にともない、自己注射が難しくなった場合にはどうしたらよいのでしょうか。ここで立ちはだかるのは、「インスリン注射は医療行為に該当するため、介護職のスタッフでは対応できない」という問題です。

例えば、糖尿病の患者さんが訪問看護サービスを利用したとしましょう。日常生活に必要な介護サービスを優先した結果、インスリン注射を看護師にお願いすると利用限度額を越えてしまうのはしばしばみられるケースです。こうした場合は、インスリン注射にも対応できる看護師が常駐する施設への入居が必要となってきます。

施設選びの際には看護師の勤務時間や人員体制なども事前に確認しておく必要があります。先ほども紹介したように、インスリンのタイプによって注射のタイミングや頻度は異なります。今までのライフスタイルになるべく近いケアプランを提供してくれる施設を探すことも、入居者と施設のミスマッチを防ぐために欠かせません。

インスリン投与の対応が可能な老人ホーム

糖尿病の症状が進むと、インスリンの投与を定期的に行わないといけません。週に1回の方から、一日に数回必要になることもあります。インスリン投与が必要な方に対応している老人ホームとは、どのような施設でしょうか。

①インスリン投与は医療行為

ご自宅で、ご本人またはご家族がインスリン投与を行っている方もいると思います。インスリン投与は医療行為にあたりますので、一般的には看護師や医師が行うものですが、医師からの依頼、委託という形でご家族やご本人が行うことも可能な行為です。しかし、施設に入所する場合には、医療行為は看護師が行うことになっています。

 

②ご自身またはご家族が行う場合

認知症や麻痺などがなく、入居者ご本人がインスリン投与をできる場合は、ご自身の管理の元で行うことが可能です。この場合は、看護師が常駐していない老人ホームでも入居は可能です。しかし、入居前にインスリン投与を行う必要があることをきちんと施設側に説明しておく必要があります。万が一、インスリン投与を忘れたり、投与したけれど血糖値が安定せず高血糖が続く場合などには、命に関わる症状を引き起こしかねないからです。

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③老人ホームにインスリン対応を依頼する場合

インスリン投与をご自身で行えないときは、老人ホームに医療行為をお願いすることになります。これはインスリン投与の回数にもよりますが、より安全に生活することを考えると、看護師が24時間常駐している老人ホームの方がよいでしょう。インスリン投与だけでなく、投与前後の血糖値の管理も看護師に行ってもらい、血糖値のコントロールを老人ホームとその連携医療機関に継続して見ていただきましょう。また、食事療法や運動療法なども取り入れ、インスリン以外でも血糖値を下げる工夫が必要になります。栄養士や作業療法士を取り入れている老人ホームを探すとよいでしょう。

しかし、24時間看護師が常駐していない施設も多くあります。インスリン投与以外の条件はそろっているが、という施設で、看護師は日勤帯にしか勤務していない老人ホームの場合には、夜間の緊急事態に備えて、医師の呼び出しが可能かどうか、また看護師の夜間オンコール体制があるかどうかを確認しましょう。

インスリンを、老人ホームで取り扱う方法

生活習慣の欧米化に伴い、生活習慣病が原因で発症する糖尿病を罹患している患者は、増加しています。また、働き盛りの壮年期で糖尿病を発症し、生活習慣を改善できないまま、インスリンが必要な状態で老年期を迎える人も増えています。そのため、以前は老人ホームでインスリンが必要な高齢者は、100人に1人程度だったのが、今では100人に10人と言われるほど、増加しています。

インスリンを老人ホームで取り扱う方法について、ご紹介いたします。

①インスリンの効果を理解

インスリンには種類があり、その種類によって効果が違います。そのため、速効性があるインスリンの場合は、食後に使用することや、長時間効果があるものであれば、食前に利用する等、使用方法も異なります。

また、インスリンの注入量も、高齢者一人一人によって様々であり、採血などを通して医師が判断し決定しています。そのため、インスリンを使用している高齢者の体調を理解し、使用することが重要となります。

 

②高齢者の日々の体調に注意

インスリンを使用している高齢者に対し、インスリンを注射する際、インスリンをするかしないか判断をすることも重要です。これは、その日の高齢者の体調によっては、インスリンを注射したにもかかわらず、食事を摂取できないなどという事が起こるからです。

そのため、高齢者の体調管理を行い、食前にインスリンを使用している高齢者であっても、体調不良で食事を摂取することが難しいと判断した場合には、食事量を観察しインスリンを使用することも重要となります。また、このような判断は医療職である看護師が行い、医師と相談することが重要となります。

 

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③低血糖症状は命取り

インスリンは、高血糖であるため、使用します。しかし、高齢とともに運動量食事量等の生活習慣も変化し、低血糖になる可能性もあります。また、低血糖症状は命取りとなることがあり、早期に対応することが重要となります。

そのため、冷や汗やめまい等早期初期症状の段階で発見し、対応することが重要となります。また、血糖値を定期的に測定し、主治医とインスリン量などについて相談することも重要となります。

インスリンの副作用で注意したいことは低血糖

糖尿病などを発症している際は、インスリン注射をすることがありますが、インスリンの副作用でもある低血糖症状には注意しておきましょう。

低血糖症状とはどのような症状なのか、前兆や症状、対策方法などをご紹介していきます。
 

①低血糖症状とはどのような症状なのか

低血糖症状は血液中の糖分が減少することです。主な症状としては、発汗冷や汗、頻脈などの動機、震えや顔面が青白くなる。症状が悪化すれば意識がなくなったり、昏睡状態になることがありますので、非常に強い症状です。

また、高齢者の場合は低血糖症状にはより、転倒をしたりなどの事故を引き起こすこともありますので、高齢者でインスリンを打っている場合は十分注意しましょう。

 

②低血糖症状の前兆

低血糖症状には前兆があるといわれています。具体的に血糖値が70以下になり始めた頃に低血糖症状が出てきます。最初は空腹感を感じます。糖分が少なくなってきている状態ですので、甘いものを摂取したいと思うのです。

次第にあくびが出てきたり、気持ちが悪くなってきます。血糖値が50を切りますと、無気力などになります。ここまで血糖値が下がれば症状として出ます。

低血糖の状態を理解しておき、インスリンを打っている人がそのような症状を訴えた場合は注意しましょう。

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③インスリンは適切に打つこと、食事にも注意する

インスリンは医師から打つ時間や量を指示されますので、かならずそれは守るようにしましょう。勝手に打つ頻度を多くしたり、量を少なくすると様々なリスクが生まれるので指示通りが良いです。

また、インスリンは基本的には食事前に打つものであり、インスリンを打ったにもかかわらず、食事を摂らないと低血糖になる可能性があります。

また、アルコールなどはインスリンの効果を増大させてしまいますので、インスリンを打っている間はアルコールを控えるようにしましょう。インスリンは正しく使えば効果がありますが、低血糖のリスクがあるということは頭の中に入れておきましょう。

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