歩行障害がある方への介助のポイント
記事公開日:2016/04/28、 最終更新日:2019/05/16
何らかの事情によって歩行に障害を抱えている方に対して、うまく歩いてもらうように介助を行うのはコツがいります。歩行障害の方の介助は意外と難しく、介助に失敗してしまいますと転倒や足の痛みなどを引き起こしてしまうリスクがありますので、十分注意しておきましょう。
ここでは、歩行介助をする際に知っておきたいポイントについてご紹介していきます。
目次
歩行介助をする際に気を付けたいこと
歩行介助を行うのであれば是非知っておきたいポイントについて、それぞれの身体状況別にご紹介していきます。
片麻痺の方の歩行介助
脳梗塞などで片麻痺の方の場合、どのように歩行介助をしていけば良いのでしょうか?ポイントとしては、事故が起きた際にきちんと支えれる位置にいることです。例えば、右側が麻痺となっている場合なら、介助者は右側に立つべきです。なぜなら麻痺側は支えが効かないからです。
横に立つか、やや右側後方に立って、一緒に歩くと良いでしょう。
ちなみにこれは、杖を持っていう方にも同じことが言えます。杖を使用している方は体が良くない方ですので、杖の持っている方に介助者は待機していたほうが支えやすいです。
手引き歩行を行う場合
自力で歩くことが難しい方の場合、介助者が手を引いて歩行介助をする場合があります。手引き歩行をする際には、前から高齢者の手を引くのが一般的ですが、これはあまりお勧めしません。
介助者が高齢者の手をつかんでしまいますと、あざが残ったり歩行に対して恐怖感を感じる場合があるからです。介助者が高齢者の手をつかむのではなく、高齢者に介助者の腕をつかんで歩行してもらうと安定して歩いてもらうことが出来ます。
歩行器を使用している場合の立ち位置
歩行器やシルバーカーを利用している場合は、介助者はどれぐらいの立ち位置で介助をしていけば良いのでしょうか?こちらに関してもやはり事故が起きた際に支えれる場所にいなければなりません。
歩行器の場合事故が起きやすい場面としては、前方に歩行器が進みすぎてしまい前のめりに倒れてしまう事故です。そのため、介護者の立ち位置としては歩行器の前方か、進む際に邪魔にならないように斜め前の方に立っておくのが望ましいといえます。
福祉用具の選び方について
歩行を助ける福祉用具は数多くありますが、その中でも良く使われる杖、歩行器についてご紹介していきます。
杖の選び方
杖には様々な種類がありますが、代表的なものとしては①1本杖②クラッチ杖③多点杖があります。
①1本杖は高齢者の方はよく使われている形状ですので、見たことがある方がほとんどかと思います。1本杖は杖の中でも最も歩行が安定している方が使用するものです。自ら杖を握って使いますのである程度の握力が必要になります。
②のクラッチ杖は、握力が少ない方が使う杖です。肘から手にかけて杖が伸びており、手全体で一本の杖を使うといったイメージなります。
③多点杖は1本杖のように支える部分が1点だけではなく、主に4点の支えとなっています。
それぞれ特徴がありますが、自立歩行が出来る方であれば1本杖、杖を手で支えることが難しい場合はクラッチ杖、歩行が不安定でありしっかりと支えが必要でないと、転倒の危険性がある場合は多点杖にすることをお勧めします。
その他の杖について
上記の3つの杖以外の杖はどのようなものがあるのでしょうか?よく骨折された方は松葉杖を使っていますが、意外と使い勝手が良いといわれ、日常的に松葉杖を使っている高齢者の方もいらっしゃいます。
また、最近ではスキーをする際に手に持つスットクのような杖を持って歩かれる方もいます。両手で杖を持つので安定しますし、歩行速度もある程度早くできると人気があります。
歩行器の選び方
歩行器を選ぶ際に大切なことは、ある程度体を預けることが出来る頑丈さが大切になります。体重が重い方の場合は特にこれが重要となります。目安とすれば自分の全体重をかけたとして安定している歩行器にするようにしましょう。
ある程度歩行器の機種が決まれば、高さの調整をしていくことになります。肘を楽における高さであり、体を預けれるぐらいの高さに調整することをお勧めします。
シーン別の歩行介助について
歩行介助の場合は、何も歩く時だけ介助をするわけではありません。それぞれシーン別に行える歩行介助や注意点などについてご紹介していきます。
階段昇降をしている場合
階段の上り下りをしている場合には、どのような介助が望ましいといえるのでしょうか?まずポイントとしては上がっている際、降りている際どちらの時にも介助者は本人よりも下にいることが大切です。
足を踏み外した際に高齢者の方は下に落ちるからです。下に落ちたとしてもしっかりと支えられるように下で待機をするようにしましょう。
また、片麻痺の方の場合が階段を降りる場合は、健→麻痺の順番です。階段から登る際も健→麻痺の順番です。とにかく麻痺側が最後にするようにすることによって、安全に上り下りが出来ます。
片麻痺の方が椅子から立つ場合
椅子から立つ場合様々負担がかかります。しっかりと介助をして出来るだけスムーズに立ち上がれるように支援するようにしましょう。ポイントとしては、健康な側に手すりを置いたりして、出来るだけ力が入るように支援をしていきます。
また、立ち上がる際に必ず覚えておきたいポイントとしては、少し前のめりにならないと人は立つことが出来ないということです。頭をやや前のめりにして立つことで、スムーズに立位が取れます。
杖や歩行器のメンテナンスについて
杖や歩行器を使用している方で最も注意したいこととしては、滑り止めの摩耗です。地面に接する部分にはゴムなどで滑り止めになっているかと思いますが、これは年数がたつと徐々に劣化していきます。
劣化してしまいますと、雨の日などは滑ってしまいますので定期的な交換が必要になります。
まとめ
歩行介助は介護士にとっては腕の見せ所です。しっかりと介助をすることによってスムーズに動くことが出来ますが、あまり技術や知識がない方が介助をすると邪魔になってしまう可能性もありますので注意しておきましょう。
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