IVHの管理を、老人ホームでできるのか
記事公開日:2016/05/06、 最終更新日:2019/02/20
目次
IVHとは
IVHとはIntravenous Hyperalimentationの略称で中心静脈栄養法ともいいます。
静脈を介して栄養を注入する方法で大静脈にカテーテルを入れて高カロリー輸液で栄養を補給します。
このような方法をとるのは患者さんが経口や経腸での栄養摂取が困難となるためです。
また、経口摂取が可能でも食物の通過障害が疾病を悪化させたり、治療を遅延させてしまう場合にはIVHによる栄養補給をおこないます。
また、重度の認知症になると自分の意思で食物をとることができなくなるのでIVHという措置をとることになります。
合併症予防
IVHに関する合併症では、カテーテルの位置異常に関するものが最も多いようです。
看護をする人は合併症を防ぐためには定期的にカテーテルの先端位置をレントゲンで確認します。
また、同じ輸液バッグを24時間以上使用しないど留意すべき点はたくさんあります。
代謝に関連する合併症もあります。
高カロリー輸液は急激に注入しないなどの注意点があります。
また、一日に3~4回の尿糖チェックが行われます。尿糖が多い時には血糖をチェックし、250mg/dl以上となった時には医師に連絡をします。
また、高カロリー輸液を突然中止すると低血糖ショック症状を起こすことがあります。それを防ぐために中止後はブドウ糖液が注入されます。
IVHと認知症
重度の認知症患者は寝たきりとなって自分でご飯を食べることもできなくなります。
そうした状態になった人をそのままにすることもできず、家族の意思でIVHという措置を選ぶことがあります。
認知症となった高齢者は意思決定能力に欠けているため、医療措置はまわりの家族などが判断することになります。
本人にとってどんなことをしてあげるのが一番望ましいのかを周りの人が代わりに考えてあげて医療措置を選ぶことになります。
IVHでの治療が本人にとって本当にいいことなのか、いくら考えても答えの出ないことだと思います。
家族でしっかり話し合って決める必要があります。
また、医者からのインフォームドコンセントを受けることも大切です。
できることなら本人が元気なうちにどのような措置をとるのがいいのか意思を確認しておくことです。
しかし、元気なときと身体が弱ってきてからでは考え方も変わります。
元気なときには延命治療なんてしなくていいと言っていた人も病気になると心細くなります。がんばって治療を受けたい、なんとしても生きたいと考えるようになることもあります。
IVHの管理を、老人ホームでできるのか
IVHとは、腕等からの輸液が難しく、治療のために鎖骨部位や鼠径部、頸動脈などに挿入する点滴用のチューブになります。そのため、IVHを挿入する際には、医師が行い感染しないよう管理も十分に行わなければなりません。また、IVHを入れている高齢者は、IVHから栄養を摂っている人もおり、生きていくためには欠かせない物となっていることもあります。さらに、栄養だけではなく、癌の高齢者などは、IVHから化学療法の点滴を行っており、治療を継続するためにも重要な物となります。
IVHの管理を老人ホームでできるのか、ご紹介いたします。
①IVH挿入中は、入所拒否されることがある
IVHは、挿入部からの感染症を引き起こす可能性が高く、感染予防を徹底することが重要となります。また、高齢者の場合、IVHを異物ととらえ、自己抜去してしまう事もあります。
しかし、IVHが挿入されている部位は動脈であり、自己抜去することで大量の血液が流れ出てしまう事もあります。このように、IVHを挿入している高齢者は、様々なリスクを抱えている状況のため、老人ホームでは入居を拒否することが多いのが現状です。
②IVHの管理は、看護師が行う
IVHは、挿入部に糸で固定されており、挿入部全体をテープで止めはずれないようにしています。また、IVHを管理していくに当たり、清潔操作での管理が必要であり、さらに管理を行う事は医療行為に当たります。
そのため、IVHがきちんと固定されているのか、周囲の状況はどうなのかという事は、看護師が観察し管理していくことが重要となります。しかし、老人ホームなどにおいて、看護師が24時間常駐していない施設があり、24時間の管理が厳しいこともあります。
③静脈点滴よりも、点滴は簡単
高齢者が、脱水症状や食事が食べられないときなど、点滴を必要とすることがあります。特に、特別養護老人ホームや、介護老人保健施設などにおいては、医師の指示で点滴を実施することもあります。
このような場合、静脈点滴を行う際に、高齢者は血管が細く入りにくいことがあります。そのため、IVH挿入者への点滴は、簡単に行うことができます。
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