モーニングケアについて
記事公開日:2016/05/22、 最終更新日:2019/11/08
病院や介護施設で早朝に提供されるケアにモーニングケアがあります。朝はスタッフの人数が少なく業務が多忙であることからモーニングケアは簡略化されがちです。しかし、近年はモーニングケアの重要性が認められるようになり、特定の病院や介護施設においてはモーニングケアを大切に考えるようになってきています。
目次
モーニングケアとは
モーニングケアは利用者が起床してから朝食を食べるまでに提供される一連のケアのことを言います。「おはようございます」のあいさつからはじまり、着替えや洗顔、歯磨き、トイレ誘導などのケアが提供されます。適切なモーニングケアが提供されると利用者はすがすがしい気持ちで一日をスタートすることができ、朝食を美味しくいただいて質の高い一日を過ごすことが出来ます。
モーニングケアを行なう意義
では、モーニングケアを行なうことの意義にはどのようなことがあるのでしょうか。主要な3つの意義を紹介します。
①快適感
モーニングケアでは洗顔や歯磨き、着替えなどのケアが提供されます。洗顔や歯磨きによって寝ている間の汚れを落とすことができ、洗顔による気持ちの良い刺激で意識をはっきりとさせることができます。また、寝衣から普段着へ着替えることで一日の始まりを認識でき、良い脳と体の目覚めを促すことが出来ます。
②活動性の向上
個人差はあるものの朝が苦手、寝起きが悪いと感じている方は多いのではないでしょうか。起きたばかりの脳と体は完全に覚醒しておらず代謝も下がっているため活動性が低い状態にあります。あいさつによって目覚め、カーテンを開けて太陽の光を浴び、換気をして新鮮な空気を吸うことで徐々に脳や体は覚醒していきます。
ベッドから出てトイレ、洗顔、歯磨き、着替えと行なっていくと徐々に活動性は向上していきます。朝食時にははっきりと目が覚めて美味しく朝食をいただくことが出来ます。
③生活と健康の改善
モーニングケアが適切に行なわれると活動の原動力である活力を高めることができ、日中の活動性が向上します。活動性が上がることで日常生活の中で動く機会が増え、日常生活動作能力や身の回りのことを行う能力は向上します。また、リハビリに積極的に励むことで身体機能の維持・改善につなげることができます。
活動性が上がれば人とのコミュニケーションも増えます。人とのコミュニケーションは脳を活性化し認知症の予防につながります。過ごした一日に充実感を感じることが出来ればストレスを感じることも少なく、うつなどの精神疾患を発症することもありません。
食事面では消化器官が活発に働くことで食事から必要な栄養をしっかりと取り込むことができ、病気の回復を促進します。
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モーニングケアの具体的内容
モーニングケアでは以下のようなケアが提供されます。
- ●朝の挨拶 「おはようございます」という挨拶で患者・利用者の起床を促します。
- ●環境整備 ベッドメーキングやベッド周囲の整理、ゴミ捨て、花の水かえなど。
- ●採光 ブラインドやカーテンをあける、室内灯の調整など。
- ●太陽の光には人間の生活リズムをリセットする働きがあると言われています。朝、目が覚めて太陽光に当たることは心身の健康につながります。
- ●清拭 手や顔の清拭、洗顔や手洗い・手浴、場合によっては全身清拭やシャワー浴。
- ●口腔ケア 歯磨きやうがい、口腔清拭、義歯のケアなど。
- ●整髪・結髪 寝ている間に乱れた髪を整えます。
- ●整容 髭剃り、化粧水、お化粧など。整容には清潔を保つ効果だけでなく、生活意欲を向上させたり、身体状況に良い影響を与えることがわかっています。お化粧については力をいれている介護施設も増えてきており、身だしなみに自信が持てることで活発な日常を送れるなどの効果が見られています。
- ●着替え 寝衣から普段着への着替えなど。
- ●排泄ケア トイレ誘導、尿失禁に対するケア、オムツ交換、カテーテルケア、ストーマケアなど。
- ●起居動作の介助 体位変換や起き上がり、車椅子移乗、移動介助など。
- 水分の準備と摂取 寝ている間に不足した水分を水やお茶などで摂取してもらいます。
- ●朝食準備・介助 利用者を席に誘導し、朝食を提供します。
- ●バイタルサイン測定 血圧や脈、体温を計測します。
- ●その他のケア 朝刊の配達や室温調節、チューブ類の交換など患者によって異なる医療ケアの提供など。
以上のようにモーニングケアにはたくさんの項目があります。元気なうちはあまり意識せずに当たり前のこととしてやっていることですが、介護が必要な方一人ひとりに必要なケアを提供するのは大変です。看護師や介護士の業務がいかに多忙かがわかります。
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イブニングケアとの違い
モーニングケアに対してイブニングケアという言葉もあります。イブニングケアは要介護者に対して就寝前に提供される一連のケアのことを言います。具体的には口腔ケアやトイレ誘導、オムツ交換、寝衣への着替え、ベッドへの誘導などをおこないます。
モーニングケアと行なう内容は似ていますが目的が異なります。モーニングケアでは快適な起床を促す為の環境づくりを行なうのが目的なのに対し、イブニングケアでは快適な睡眠ができる環境を整えることが目的となります。
イブニングケアは毎日同じような手順で行うのが良いとされ、利用者一人ひとりに合った流れで介護してあげると入眠しやすくなります。快適な睡眠は翌朝の起床に影響を与えることからイブニングケアはモーニングケアと並んで翌日の生活の質に影響を与える重要なケアと言えるでしょう。
モーニングケアの今後の課題
モーニングケアは一日の生活の質を左右する重要なケアであるにも関わらず医療・介護の現場では軽視されてきた傾向があります。その理由としては朝の看護師・介護士の業務が多忙であることがあり、検査や処置が優先されているのが現状です。モーニングケアは簡素化され、おしぼりと水が一杯提供されるだけのところも少なくありません。ひどい場合には起きたと同時にお絞りで顔を拭かれ、すぐに朝食というケースもあります。このような状態では朝食は健康的に取ることは出来ませんし、誤嚥のリスクを高めることにもつながってしまいます。
看護師や介護士向けのテキストではモーニングケアという用語がなく環境整備や衛生としての洗面介助に吸収されているケースがあります。モーニングケアに関する教育がされていないのであれば、スタッフの中に重要性を認識できていない人がいるのは当然で、モーニングケアが簡素化・画一化された流れ作業のようになっているケースもあります。
今後はモーニングケアの重要性を周知し、ケアや介護を提供するスタッフにしっかりとした教育が行なわれることが期待されます。
施設を選ぶ際にはモーニングケアに注目してみよう
モーニングケアは利用者が充実した一日を過ごすために重要なケアであるにも関わらず、十分に提供されていないという現状があります。しかし、逆を言えばしっかりとしたモーニングケアが提供されている施設は、利用者のことを大切にした質の高い介護サービスを提供していると判断することが出来ます。
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施設の良し悪しを判断する際や良い介護サービスを提供している介護施設を探す際にはモーニングケアに注目してみると良いでしょう。
在宅介護をされているご家族はモーニングケアの重要性を認識していただき、要介護者にあった内容やペースでモーニングケアを提供してあげて欲しいと思います。活力がアップしより元気な日常が送れるようになるかもしれません。
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