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福祉用具専門相談員は何をする人?

記事公開日:2019/02/14、 最終更新日:2019/02/13


福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員ってどんな資格?

福祉用具専門相談員という資格をご存知でしょうか。福祉用具専門相談員は福祉用具のレンタルや販売をおこなう際に福祉用具の選び方や使い方をアドバイスするスペシャリストです。

平成27年の介護保険改正により介護保険指定の福祉用具・販売事業所には必ず2名以上配置することが義務付けられるようになり注目を集めています。介護保険指定の福祉用具貸与・販売事業所で働く場合には必須の資格であるほか、介護業界で働く人が福祉用具についての知識や技術を学習するのに最適な資格です。

どのような人におすすめ?

福祉用具専門相談員の資格は次のような方におすすめです。

1.福祉用具に関する専門的な知識を身に付け、利用者により喜ばれる介護サービスを提供したいと考えている介護職の方

2.ケアマネなどをしており、個別援助計画を作成する際に利用者に適切な福祉用具を提案できるようになりたい方

3.家族が介護サービスを受けており、福祉用具に関する知識を勉強して家族の介護にもっと福祉用具を有効活用したい方

4.福祉用具を扱う会社に就職したいと考えている方

福祉用具を扱う仕事をしている方はもちろんのこと、介護職の方やご家族の介護をしている方におすすめの資格です。

資格の取得方法

資格を取得するためには都道府県知事の指定を受けた研修事業者(スクール)が実施している「福祉用具専門相談員指定講習」を受講する必要があります。講習時間は法律によって50時間以上と定められており、カリキュラム終了後には、習熟度を確認する修了試験が実施されます。

スクールは全国の主要駅近くに多くあり、地方の方でも比較的通学しやすい立地にあります。費用については学校によって3万円~7万円と幅があり、平均では4万5000円程度かかります。学校によってはキャンペーンや割引をもうけているところもあるので上手に利用されると良いでしょう。一定の条件を満たす場合にはハローワークの「教育訓練給付金」を利用することも可能です。

福祉用具専門相談員指定講習を修了していない場合でも、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士といった国家資格保持者は、福祉用具に関する専門的な知識を持っているものとしてみなされ、介護保険指定の福祉用具貸与・販売事業所において福祉用具専門相談員として働くことが出来ます。

講習の内容と修了試験の難易度

資格取得に必要な講習時間は介護保険法によって50時間以上と規定されています。通常は7日~8日で取得を目指しますが、学校によっては3ヶ月程度の期間をかけゆっくりと学ぶことができるところもあります。ご自身のライフスタイルにあった学校を選択されると良いでしょう。

講習では以下のようなことを学習します。

  • 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割
  • 介護保険制度の基礎
  • 高齢者介護・医療に関する基礎
  • 個別の福祉用具に関する知識や技術
  • 福祉用具のサービスの仕組みと利用の支援に関する知識
  • 福祉用具支援の総合演習

講習終了後には受講者の習熟度を確認する1時間の修了試験が実施されます。試験に落ちたらどうしようと不安に感じる方もいるかも知れませんが、試験は決して難しいものではなく、ほぼ全員が合格する難易度となっています。講習をまじめに受けていれば、合格はおのずとついてくることでしょう。

資格取得後の就職先

福祉用具専門相談員の資格を取得することで、介護保険指定の福祉用具貸与・販売事業所への就職はしやすくなります。介護保険改正による福祉用具専門相談員配置の義務化は資格を持っている方にとって追い風になっており、福祉用具メーカーやホームセンター、ドラッグストアなど福祉用具を扱っている会社への就職を希望する場合にも大きなアピールポイントになります。

 

しかし、ヘルパーなど介護職と比較すると求人募集は圧倒的に少なく、資格を取得したからといってすぐに就職につながる資格ではありません。まずは介護職員初任者研修や介護福祉士といった介護系の資格を取得し、その上で福祉用具専門相談員の資格を取得すると就職先の幅は圧倒的に広がるでしょう。

福祉用具専門相談員の仕事内容

福祉用具専門相談員は以下のような業務をおこないます。

  1. 福祉用具に関する相談・選定  利用者の身体状況や生活環境などを考慮し、福祉用具に関する相談にのったり、適切な福祉用具の選定の手伝いをおこないます。
  2. 計画書の作成  介護保険制度を利用して福祉用具を購入・レンタルできるよう福祉用具の利用計画書を作成します。
  3. 福祉用具の調整・取り扱い説明  車椅子・歩行器・手すりなど福祉用具を利用者にあった状態に調整します。また、安全に使用できるよう適切な使用方法について説明をおこないます。
  4. 定期的なモニタリング  定期的に利用者を訪問し福祉用具の点検や再調整をおこないます。身体状況や生活環境に変化があれば異なる福祉用具の利用を検討します。

福祉用具専門相談員として優れた仕事をおこなうためには、福祉用具の知識はもちろんのこと、利用者の困っていることを的確に把握する能力や利用者の身体状況を把握できる能力が必要となります。医療系の資格、介護系の資格と合わせて取得することで大きな力を発揮できると言えるでしょう。

福祉用具プランナーとの違い

福祉用具に関する資格は福祉用具専門相談員だけではありません。福祉用具専門相談員と似ている資格に福祉用具プランナーがあります。業務内容は似ているところが多いですが、受講条件、講習内容、修了試験の有無などに若干の違いがあります。

福祉用具専門相談員は介護保険制度において定められている公的な資格ですが、福祉用具プランナーは公益財団法人テクノエイド協会が認定している民間資格です。福祉用具専門相談員の資格には受講資格は必要ありませんが、福祉用具プランナーには2年の実務経験が必要となっており、その点では福祉用具専門相談員よりも取得が難しい資格です。福祉用具についてさらに詳しく学びたい、難しい資格を取得してライバルと差をつけたいと言った方は取得を目指してみるのも良いかもしれません。

福祉住環境コーディネーターもおすすめ

福祉用具専門相談員の資格を取得し、さらなるキャリアアップを目指したい場合には福祉住環境コーディネーターの資格がおすすめです。

福祉住環境コーディネーターは、介護が必要な高齢者が自宅で安全に生活できるよう、手すりやスロープ設置のアドバイスをおこなったり、住宅改修をコーディネートしたりする仕事です。医療機関や介護施設から高齢者が在宅復帰する際に役に立つため、ケアマネージャーや理学療法士、作業療法士に人気がある資格です。もちろん、介護福祉士などの介護職や介護者である家族にも役に立つ資格です。建築関係の仕事をしている方がバリアフリーなどの知識・技術を学ぶのにも適しています。

 

最後に

福祉用具は日々進化しており、たくさんの便利なものが開発・販売されています。しかし、現状ではそれら福祉用具が十分に医療・介護の分野で活用されているとは言えない状況です。福祉用具専門相談員の資格取得を通じて福祉用具に精通した人材が増え、高齢者一人ひとりに適した福祉用具を提案できれば、高齢者の生活の質の向上や家族の介護負担の軽減といった効果が期待できるようになるでしょう。

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