世帯分離で介護費用を減らせる?世帯分離のメリットについて
記事公開日:2020/10/15、 最終更新日:2020/10/13
世帯分離を行うことで介護費用を減らせるということをご存知でしょうか。介護費用は上限額が定められているため、収入の多い人が世帯から分離することによって介護費用を減らすことができるのです。
しかし、世帯分離にはデメリットもありますので、慎重に検討する必要があります。
この記事では世帯分離についてメリットやデメリット、世帯分離の手続方法について解説します。
目次
世帯分離とは
世帯分離とは実質的に同じ世帯に暮らしていても住民票を分けることで2つの世帯に分離することをいいます。
例えば世帯主である父親、母親と同居し、自分には配偶者と子供が一人いる場合、住民票上の世帯人数は5人(父親、母親、自分、自分の配偶者、子供)になります。これを住民票上2つの世帯に分離することを世帯分離といいます。
分離した後の世帯は父親、母親の2人世帯と自分と配偶者と子供の2世帯に分かれます。あくまで住民票上の世帯を分けるだけですので、引越しなどをする必要はありません。今までとなんら変わりなく生活することが可能です。
なぜ、今までと同じように生活をしているのに、住民票を分ける必要があるのでしょうか。その理由は介護費用を減らせるなどのメリットがあるからです。次に世帯分離のメリットをご紹介します。
世帯分離のメリット
世帯分離のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
世帯収入によって介護サービス利用時の自己負担限度額が下がる
世帯分離によって得られるメリットの一つ目は世帯収入によっては世帯分離をすることで介護サービスを利用する際の自己負担限度額が下がるということです。
介護サービスは自己負担額が定められており、介護サービスを多く受けると自己負担額も増えていってしまいます。
しかし、介護サービスの自己負担額には上限があり、上限を超えた場合には払い戻しされることになっています。これを「高額介護サービス費制度」といいます。
高額介護サービス費制度でいくら介護費用が払い戻しされるかは世帯収入によって決まりますので、世帯収入が少なければ、払い戻しされる金額が大きくなるため得になるということです。
高額介護サービス費の上限は4段階に分かれています。第1段階は生活保護を受給しているか世帯全員が市町村住民税非課税で年金を受給している場合です。第1段階の場合、上限額は月額15,000円です。一方最も自己負担限度額が高い第4段階の現役並み所得者の場合、上限額は月額44,000円です。
自分が現役並み所得者の場合は親と同じ世帯に入ることで高額介護サービス費の上限額が上がってしまうことになります。最も自己負担限度額が少ない第1段階と最も自己負担限度額が多い第4段階では月額29,000円の差があります。
介護は長期間にわたって行うことも多いため、この差は非常に大きいと言えるでしょう。介護費用を節約できる可能性があるというのは世帯分離の最大のメリットといえるでしょう。
国民健康保険料の負担額が減る
国民健康保険料は世帯収入の額によって負担額が異なります。
自分や配偶者の所得が多い場合には父親や母親と世帯分離することによって国民健康保険料を抑えることが可能です。
世帯分離のデメリット
世帯分離をすることで生じるデメリットもあります。世帯分離のデメリットも具体的に確認しておきましょう。
国民健康保険が高くなる可能性がある
国民健康保険は世帯毎の上限額が決められています。
そのため、上限まで達している世帯が分離することでトータルの国民健康保険料が分離前よりも高額となるケースもあります。
ご自身の世帯の場合世帯分離によって国民健康保険がどうなるかよく理解してから世帯分離をする必要があります。
高額療養費の世帯合算ができなくなる
高額療養費とは一月に払った医療費が一定額を超えた場合、払いすぎた医療費が国民健康保険から支払われます。
日本の保険制度は非常に充実しており、一人一人の医療費の自己負担額が増えすぎないようにこのような制度が設けられているのです。
高額療養費は同一世帯で同じ月に発生した医療費は合算して申請することができます。
そのため、高額療養費制度を効果的に活用するためには世帯の人数が多いほどよいということになります。世帯を分離してしまうことで合算ができなくなってしまいますのでデメリットの一つと言えるでしょう。
住民票や印鑑証明を取得できなくなる
世帯が同じであれば住民票や印鑑証明は誰でも取得することが可能です。
しかし、別世帯となってしまうことで住民票や印鑑証明を取得するために委任状を提出する必要があります。
高齢の親に委任状を書いてもらうのは労力がかかりますので、このような行政手続きができなくなるのはデメリットの一つと言えるでしょう。
世帯分離の手続き方法
世帯分離の手続はどのように行えばよいのでしょうか。具体的に解説します。
どのように世帯分離をするか決める
まずはどのように世帯分離をするか決める必要があります。ポイントは家族の中で収入が多い人と介護費用が多くかかる人の世帯を分離することです。
収入が多い人が介護を受ける人の世帯収入が多くなると介護サービス費の自己負担上限額があがってしまいますので、介護を受ける人の世帯収入が少なくなるように分離する必要があります。
しかし、明らかに不自然な世帯分離は市区町村に否認される可能性もあります。あくまで生計を一にしている場合は同一世帯で管理するのが基本ですので、家族構成や収入から不自然の無いように世帯分離をするようにしましょう。
特に夫婦間での世帯分離は明らかに生計を別にしていることを証明しない限りなかなか認められません。
市区町村での手続
世帯分離の手続きは市区町村の窓口で世帯変更届を提出する必要があります。
手続きは世帯を分離する人が行います。例えば父親が世帯主で自分が世帯から抜けようとする場合は自分で手続きを行うことになります。
市区町村の窓口に必要な持ち物は世帯変更届の他に本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)と印鑑、国民健康保険証が必要となりますので、忘れずに持参するようにしてください。本人が市区町村の窓口に行くことが難しい場合は委任状で他の人が手続きをすることも可能です。仕事などで行くことが難しい場合は家族に任せることが可能です。
また、親の国民健康保険に入っている場合は世帯分離をすることによって新たな保険証が必要となりますので、再発行の手続きを行う必要があります。
手続き時の注意点
世帯分離をする際はあくまで、生計を別にすることが理由であると説明する必要があります。高額介護サービス費の上限金額を下げることを理由に世帯分離をすることを伝えると世帯分離が認められない可能性もあります。
世帯分離について まとめ
世帯分離について解説しました。世帯分離の最大のメリットは介護サービスの自己負担上限額が下がることにより介護費用を節約することができると言う点です。世帯分離は市区町村の窓口で簡単に行うことができますので、介護費用を節約できる可能性がある方は検討してみてもよいでしょう。
ただし、世帯分離は介護費用が削減できるというメリットがある一方で様々なデメリットもあります。また、同じ世帯でもその年の世帯の収入や医療費によってどちらが得かは別れるケースも多いでしょう。
世帯分離はメリットだけではないため、将来の収入の見通しや家族のライフプランも検討し、デメリットもしっかり理解して行うようにする必要があります。
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