介護疲れの問題
記事公開日:2015/05/22、 最終更新日:2018/12/21
目次
介護疲れの問題
介護には様々な問題がつきまといます。
特に大きいのが介護をしている人が精神的にも肉体的にも疲労を抱えてしまう「介護疲れ」の問題です。
例えば、介護疲れがDVを引き起こしてしまうこともあります。
DVとは
DVとはドメスティック・バイオレンスとも呼ばれます。配偶者など親密な関係の人から受ける暴力のことです。この暴力とは肉体的に振るわれるものだけではなく精神的なものも指します。ですから、殴る蹴るといったものだけではなく言葉で傷つけるものもDVに含まれます。
被害者は女性が95%を占めるそうです。
最近は中高年~高齢者女性のDV被害者が増えています。
夫から暴力を振るわれても「怒らせた自分が悪い」と周りに助けを求めることができず、子どもを守るためにも自分一人で我慢してしまうケースがあるそうです。
介護とDV
介護疲れから暴力をふるってしまうケースもあります。
親や配偶者の介護に疲れて暴力をふるってしまうというケースです。特に認知症の介護は根気がいるもので、相手とのコミュニケーションもままならないので精神的に疲労してしまい、耐えかねて暴力を振るってしまいます。
仕事をやめて家でつきっきりで介護をしている人に特にこのような問題が起こります。
外に出たり仕事をして他の人との関わりがないと家の中の閉ざされた空間で被介護者と二人っきりで過ごすことになります。
暴力を避けるためには介護者のケアも必要です。
介護を他の人に任せたり、定期的に息抜きをすることが大切です。
年をとって性格が変わる
昔は温厚で暴力なんて絶対にしない人だったのに、年をとって性格が変わってしまったようだ、というお話も聞きます。
病気で体を動かせなくなってから奥さんを叩くようになったご主人や、奥さんが認知症になってから旦那さんまでイライラと暴力的になってしまったなどというケースがあります。
認知症の周辺症状のひとつに暴力や暴言といったものがあります。
介護に対する不満やいらだちが募ると、それを理性で抑えることができず、周りの人に対して暴力を振るってしまうのです。
男性だけではなく、女性も認知症で暴力的になってしまうことがあります。
これは認知症だと自分の感情や考えをうまく伝えられなくなるのが原因です。
望まない介護や、介護者からの声掛けが気に入らないなどといった場合にも抵抗を示すことがあります。
こういった状態になると自宅での介護は難しくなります。
ヘルパーや施設にお願いするか、介護のあり方を見なおして本人との関わり方を見直していく必要があります。
老人ホームで働く職員も
老人ホームで働く介護職員は他の業界に比べても非常にストレスが溜まりやすく、介護疲れに悩んでいる方も多いと言われています。介護職員の介護疲れの原因や、その解消方法とはどのようなものがあるのでしょうか?
①人手が足りなく忙しい
介護業界の特徴としては、介護業界は慢性的に人手不足であり、その分業務が忙しくなってしまうということです。また、人が相手の仕事であり、トラブルもよくあります。
通常、介護施設で働く介護士が行う業務というものは決まっており、役割をきちんと持って仕事をしていますが、トラブルが起きてしまいますと通常の業務が押されて、バタバタとしてしまいます。
忙しい時に、認知症の方が混乱をして施設を抜け出そうとしている、おむつを取ってしまった人が失禁をしているなどのトラブルは介護士の精神状態を徐々に追いつめてしまって、介護疲れに直結してしまいます。
②待遇が悪く、不満が解消されない
介護業界の仕事は非常に忙しく、精神的にも疲労をしてしまう業界のわりに給与が低い業界でもあります。月に10万円以上平均よりも低く、いくら頑張っても給与に反映されないという不満を持っている方が多いです。
この原因としては、介護保険報酬が低いことが挙げられており、老人ホームの主な収入は介護保険ですので、それが法改正ごとに下げられていることから、給与の反映にはなかなか結び付かないのが現状です。
③どのようにして介護疲れを解消していくのか
介護疲れを解消する方法としては、人間関係が良いということが大きな要因となっているようです。ここでいう人間関係というのは、対高齢者のことではなく、職員同士の人間関係が大切になります。
施設を探す際にはスタッフが疲れていないか、ストレスが溜まっていないかどうかなども意識して見てみるといいかもしれません。
介護疲れでうつになる前に
同居している家族の介護は、1日24時間、気の休まる時がありません。介護者からして見れば、終わりのない戦いのようにみえる時があります。介護は、最初は育児と似たように思えますが似て非なるものです。
育児であれば4~5年もすれば子どもは大きくなって自分のことをできるようになりますが、要介護者は年々できないことが増えていきます。そして介護者も要介護者と同様に年を取り、年々疲れが蓄積していくのです。
介護疲れでストレスをためやすいタイプ
何事も几帳面で完璧主義で神経質なタイプが介護疲れに陥りがちと思われますが、実は人一倍熱心で努力家で献身的な人も、あるとき一気にストレスが噴き出すことがあります。前者は、物事を規則通りにきちんとこなすことが得意なタイプですが、認知症の人を相手にスムーズに物事を運ぶのは至難の業ですのでひどくストレスがたまります。
また後者は自分一人で物事全部を行おうとしてパンクしてしまいます。どちらも素晴らしい性質の持ち主なのですが、介護の状況にうまく噛み合っていないのは確かです。
同じ境遇の人と話をしてみる
しかし、いまさら自分の性格を変えるのは難しいことです。しかも、せっかくの素晴らしい素質を変える必要もありません。ただ、ほんの少しだけ、やり方を変えてみたり、違う考え方をしてみたりするだけで、ずいぶんとストレスはなくなるでしょう。親兄弟と相談できればいいのですが、他に家族がいなかったりと相談相手のいないこともあります。
そのような時は、思い切って認知症の家族会などに参加してみるといいかもしれません。同じような悩みを抱えていても、他の家庭では異なった方法で対処していたり、自分の話に何人もが共感してくれるだけでほっとすることもあります。
介護疲れによる離婚のケース
近年は介護疲れによる離婚などもよくあるようです。
①疲労が溜まりやすく精神的に疲れてしまう前に
義理の親の介護をしているお嫁さん等、疲労がたまり精神的に疲れてしまうことはよくあります。そして熟年離婚などを選択する方もかなりいるようなのです。
介護疲れを解消するためには施設や老人ホームを利用する事、また、ホームケアなどを利用することで負担を軽減する事が出来ます。
また、老人ホームなどの施設を利用する際には毎日でなく、2日に1回の割合でもokなようです。あまり一人で介護をしすぎてしまうとお互いのためにはならなくなってしまいます。
介護を行う方は余裕があるくらいのほうがよいということです。また、高齢化社会なので、介護をする方も年齢がそこそこで、介護をしているので、ストレスが溜まったり、結構疲れやすかったりもします。
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②老後の計画を立てておくこと
これが夫婦の時にはお互いの絆さえ壊れてしまうほど過酷な老後生活を送っている夫婦も少なくありません。そうならないようにしっかり自分たちで無理をしないように老後の計画を立てておくことが大切なようです。
③過度な介護を献身的に行い過ぎてしまうから
近年、介護疲れによる離婚が増えているのはこのように過度な介護を献身的にし過ぎてしまうからです。十分に介護を検討する事が大切ですが、介護を行いすぎてしまいますと、逆にストレスになってしまいますので、老人ホームや施設を上手に利用して長い目で介護をお粉あっていくことが必要なようです。
バランスのよい介護を行うことでお互いの人間関係も良く保つことが出来るようです。十分にしっかりこのことをお互いが理解していればokですが認知症なども伴っている方もいますので、介護は一筋縄にはならないようです。
介護疲れ対策はこのように行いましょう
近年介護疲れによる殺人や虐待等、痛ましい事件が増加しています。殺人を犯した人・虐待をしてしまった人を責めるのは簡単ですが、未然に防ぐ事ができたらと悔やまれてなりません。介護をした事がある人は介護の大変さがわかるので、もしかしたら殺人を犯してしまった人の気持ちがわかる人もいるかも知れません。少しでもそういった事件を未然に防ぐ事が出来たり、少しでも介護の負担を軽減する事ができるよう、介護疲れの対策を考えたいと思います。
①家族で介護を分担する
介護は24時間、365日続きます。一人でおこなうのはとても難しいものです。「全て自分でしなければ」と背負いこまず、家族で曜日や時間を分担したり、食事担当や通院担当等を分担するのも良いかもしれません。チームは多ければ多い程心強いものです。大変さをしっかり家族間で伝え共有しましょう。
②介護サービスをうまく利用する
家族だけの力では足りない場合もあります。そのような時は介護サービスを上手く使いましょう。介護認定をお持ちの方でしたら、担当のケアマネジャーに相談するのも良いでしょう。地域包括支援センターや、役所等でも相談窓口があるかと思いますので、まずは相談しましょう。在宅生活を続けるのであれば、通所サービスや、訪問介護、ショートステイ等を上手く組み合わせる事で、家族も介護を受ける側も無理なく過ごす事が出来るかも知れません。
③介助者のストレスを溜めない
介護というものは身体的な負担もかかりますが、「いつ終わるか分からない」「自分の時間が持てない」「仕事も思うように続ける事が出来ない」等の精神的な負担もとても重くかかります。心も体も健康な介助者があっての介護ですので、介助者は積極的に自分の時間を作り、気晴らしをする事も必要です。また、在宅での介護が限界になる事も想定し、入所という選択肢も視野に入れておく事も良いかも知れません。現在入所施設はどこも満床な所が多く、申し込んですぐ入居というのが難しい状況にあります。早い段階から色々と検討・準備し、無理の無い介護を目指しましょう。
介護サービスをうまく活用する
ここ数年で介護保険制度がかなり浸透してきていますが、やはりまだ介護サービスを使うことにうしろめたさを感じる人もいます。
たとえばレストランで人が作った料理を食べることに罪悪感を感じる人はいないでしょう。介護サービスを使うことも、レストランに行くことも、実はそんなに違いはありません。あるとすれば、自分がしたくないことを人にしてもらうか、してほしいことをしてもらうかの違いです。いずれにせよ、その道のプロにお願いすることに変わりはありません。思い切って、介護サービスを活用してみてはどうでしょうか。
①ショートステイを利用する
ショートステイは短期間宿泊できる介護保険のサービスの一つですが、ショートステイにはレスパイトケア、家族の介護負担軽減の目的もあります。
そのため、いくら認知症の方がショートステイを使わない生活が可能でも、家族が使いたいと望むのであれば利用することができます。
デイサービスなども介護疲れの軽減にはなりますが、日中のみのサービスになりますので、丸々数日預かってくれるショートステイは家族からすれば介護疲れの軽減になると言えます。
②完璧を目指さない
介護疲れを感じている家族で多いのが、完璧主義者の家族です。きちんと認知症の方を思って、その人が一番良い生活を送れるように考えるがゆえに自分が介護に疲れてしまいます。そういった方は外に助けを求めることが苦手な場合が多いので、介護に疲れた外に発信する前に、虐待になったり、最悪の場合一家心中になることもあります。
完璧を目指さない介護も介護疲れを避けるためには非常に重要なことです。
少し手を抜く、外部に頼むなどを行って気軽に行うようにしましょう。
③家族会に参加してストレス発散
地域には自宅で介護をしている家族を対象にした家族会にというものを実施しているところがあります。家族会では主に、愚痴の言い合い、悩みの相談、介護の情報などを話し合います。
介護疲れを感じる人はこの家族会に行くことによって、疲れが少なくなったと感じる人も少なくありません。悩みを共有、自分の疲れを理解してくれる方が多いですので、自分1人でないと思い気が楽になります。
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