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老人ホームの人手不足解消の対策

記事公開日:2015/08/05、 最終更新日:2019/02/25


高齢化、介護施設人手不足解消の対策

介護施設での慢性的な人手不足はなぜ起こるか

介護施設では、介護士および看護師が慢性的に不足しており、マンパワー不足に伴い働いている人が過重労働となっています。人手不足の原因として3点、ご紹介いたします。

 

①低所得で生計が成り立たない

メディアなどでも報じられているように、介護職はとにかく低収入です。介護職の夫を持つ家族は、妻が働かないで生活できる家庭はごくわずかとなっており、共働きなのが現状です。そのため、家族を養っていかなければならない男性介護職員は、自らが夢を持ち介護職を選んでも、退職する人が後を立ちません。その結果として、働き盛りの世代が人手不足となります。

 

②多忙で有休が取れない

有休を消化できる介護施設は、ほとんどないと言っても過言ではありません。そもそも、人手不足であり、有休を取るどころか公休自体もやっと取ることができる状態となります。その中でも、特別休例えば冠婚葬祭などで他の職員が休んだ場合は、休み返上で他の職員が働かなければならない状況となります。さらに、高齢化社会のわが国は、介護施設を利用する高齢者が増えたものの、介護職員がいないことにより、働いている介護職員への負荷が大きくなり結果として多忙となります。そのため、多忙の上有休取得も厳しいと言うことから、疲労困憊で退職する人も少なくありません。

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③正職員よりパートが多い

介護保険改正に伴い、介護職員への給与アップなどの話もありましたが、実際施設運営は厳しく給与のアップもほとんどないのが現状です。また、給与アップどころか、施設運営のために正職員よりもパート職員の数を増やしているのが現状としてあります。そのため、正職員への負荷が大きくなり、給与が安いのに過重労働と言うことから離職していく介護職員は少なくありません。働く介護職が皆平等であれば違うのかもしれませんが、正職員一人に対し残りのスタッフがパート職員と言う介護の現場がある以上、離職率は減らないのが現状としてあります。

地方の高齢化や介護施設の人手不足を解消する試み

 

島根県の浜田市では市内の介護施設の人手不足を解消することと、人口減少を食い止めるための定住促進策として面白い試みをスタートさせました。

市外に住むひとり親家庭を対象として親が市内の介護施設で働くことを条件に生活費用などを援助する事業を開始したのです。

この事業はシングルペアレント受け入れ事業という名前で呼ばれています。

シングルペアレント受け入れ事業の募集を5月にインターネットでかけたところ、全国各地からなんと約150件もの問い合わせがあったということです。地方の小さな市役所にとっては想像以上の反響だったということです。最終的に15人が申し込みをし、実際に6人の人が浜田市にやってきて働く予定となる介護施設を貸し切りバスで見学しました。

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シングルペアレントにとって嬉しい条件

これだけの反響があったのは浜田市の事業がシングルペアレントにとってとても嬉しい条件が揃っていたからだといえるでしょう。

給与は働くことになる施設の規定に準じて定められますが月額15万円以上。養育支援として1世帯につき月額3万円。家賃補助として家賃の2分の一の金額があてられるのと、中古の自動車無償提供。さらに引越し代として事業者から30万円の支給、奨励金として1年間の研修が終了したら事業者から100万円の支給、資格取得支援として介護職員初任者研修の受講などといった補助の内容となっています。

しかし、子どもがいるシングルペアレントで、さらには知っている人のいない土地に引っ越してくるのには不安も大きいと思われます。

夜勤の時子どもの預け先を確保できるかどうかなどの心配事も参加者の間ではあったようです。

市としてはそういった不安も解消できるようにサポートセンターを拡充したり、専門相談員を配置することも考えているようです。

 

このように浜田市が市外からの定住促進策に力を入れているのは市長もUターンで浜田市に戻ってきたことや、介護施設での慢性的な人手不足も理由となっているようです。

 

全く知らない街で未経験の仕事をするのに不安も感じるかもしれませんが、今回のように希望者みんなでバスに乗って行動をともにしたことで一同は打ち解けあった様子です。また、子連れで参加した人もいたようですが参加者や市の職員が協力して子どもをあやしたり、子供同士が仲良く遊んだりといった様子もみられ、終始和やかな様子で施設の見学がすすみました。今後希望者が増えれば予算も増やして定員の数も増やす予定だとのことです。

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