ヘルパーが行う爪切りは医療行為に含まれる?
記事公開日:2015/10/07、 最終更新日:2019/02/22
目次
ヘルパーは爪切りをしてもいいの?
先日、大阪府羽曳野市の介護付き有料老人ホームで介護士が研修を受けていないにもかかわらず入居者に対して医療行為を行ったとして施設スタッフ数名が書類送検されたという報道がありました。
高齢者住宅や訪問介護で介護士が医療行為を行うためには法的義務のある研修を受ける必要があります。
この「医療行為」に当てはまるのは例えば「経管栄養」であったり、「インスリン注射」などの行為です。
かつてはこういった医療行為は医師や看護師しかできない処置でした。
しかし、最近は介護施設での医療行為のニーズが高まってきたことから介護職員でも研修を受ければ医療行為が可能となりました。
また、インスリン注射は研修をしていても介護職員が行うのは違法行為です。
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かつては爪切りもできなかった
平成17年7月以前は爪切りや体温測定といった行為も医療行為とされ、ヘルパーや介護職員にはできませんでした。
この時は爪切りの他全11項目が「医行為」の対象からははずされました。
現在ヘルパーが研修や許可を得ずとも利用者に対して行うことができるのは以下の項目です。
・体温計を使って体温測定する
・自動血圧測定器による血圧の測定
・在宅で動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメーターの装着
・軽い切り傷、擦り傷、やけど等ある場合のガーゼ交換等判断や技術を必要としない処置
・様態が安定している際の与薬や点眼、湿布の貼付、軟膏の塗布
・特別な疾患がない場合の爪切りや爪にヤスリをかける行為
・日常的な口腔内の清拭
・耳垢の除去
・ストーマ装着のパウチにたまった排泄物を捨てる
・自己導尿を補助するためのカテーテルの準備や体位の保持
・市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を使って浣腸する
これらの項目は素人からしてみると当たり前に介護サービスに含まれている行為のように思えますが、実はつい最近まで医師や看護師でないと行えなかった行為なのです。
最近は病院では病床を減らしていく傾向にあり、逆に高齢者施設がどんどん増えていきます。終の棲家として自宅ではなく老人ホームを選ぶのも当たり前のことになりつつあります。
施設での医療行為についての考え方や制度改正なども今後変化していくかもしれません。
ともあれ、当面は施設を選ぶ際などは適切なスタッフが適切な医療行為を行っているかどうかなどを見極めてサービスの質を判断していく必要があります。
ヘルパーができる医療行為補助
ヘルパーは、基本的に医療行為を行うことはできず、医療行為補助は厚生労働省によって実施を認められているものがあります。
ヘルパーができる医療行為補助とは、何があるのかご紹介します。
①医療行為か医療行為ではないのかわかりにくい
実際の現場で医療行為と分類されているケアを、行わざるを得ない状況であることはよくあることかもしれません。これは、何が医療行為として認められており何が医療行為ではないのかということが、わかりづらいということもあります。注射や、点滴など医療行為とわかりやすいものであれば良いのですが、爪きりや目薬などは医療行為であるため、現場においてヘルパーが行うことはできません。しかし、実際は爪切りや目薬だけではなく、湿布を貼ることや軟膏を塗ることなども行っているのが現実としてあります。そのため、どこまでが医療行為補助として認められ、どこまでが行って良いのかということがとてもわかりにくくなっています。
②看護師の指導のもの実施する
介護の現場において、看護師の数は少なくヘルパーのほうが多く働いています。そのため、看護師のみでは医療処置をすべて行うということが難しく、ヘルパーに協力してもらい高齢者のケアを遂行していくことが重要となります。そこで、ヘルパーが医療行為を補助できるように看護師が処置の仕方を指導し、自立できた時ヘルパーも医療行為の一部を行うことができるようになります。そのため、ヘルパーは必ず看護師から医療行為の指導を受け、医療行為を行えるようにすることが重要となります。
③指導を受けたらできること
医療行為ではなく、医療行為補助として認められているものはいくつかあり、主に在宅や施設ケアにおいてヘルパーが実施することが必要となる、巻き爪や爪白癬の爪きり・目薬をさす・坐薬を入れる・指定された軟膏を塗布・血圧を測る・湿布を貼る・口腔内の痰を吸引することなどになります。
この他にも、今協議されできることが増えては来ています。しかし、医療行為補助といっても実際に高齢者の身体に、医療に近いことを行うため何があるかわかりません。そのため、しっかりと指導を受けできることを確認してから行わなければ、命に関わることもあるということを十分理解し実施することが重要となります。
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