高齢者の失禁はいくつかの原因がある
記事公開日:2015/11/05、 最終更新日:2019/03/25
目次
高齢者の失禁はいくつかの原因がある
高齢になりますとどうしても失禁をしてしまうことがあります。特に要介護の方では常にオムツを付けている、失禁をしてしまう人も多いです。失禁の原因は高齢者によって様々です。介護する側としてはある程度失禁の原因を知ることによって、その原因に合わして対処することができます。
排尿機能が衰えてきている
排尿をする時は膀胱付近に力を入れて、排尿を行いますし、我慢する時も膀胱付近に力を入れて排尿を行います。
しかし、力が上手く入らない、力を入れることができない状況ですと失禁をしてしまいます。このパターンは常に尿がダラダラと出ているパターンで、リハビリなどを行うことによって改善することがあります。
また、陰部が常に尿で汚染されている可能性が高いですので陰部かぶれなどには注意しないといけません。
排泄をする場所まで間に合わない
尿意を感じても足が不自由でトイレまでいくことができないなどの場合は、このパターンに当てはまります。
排泄の機能は特に異常は無いが、間に合わずに失禁してしまうことが多いです。
この場合は、ポータブルトイレを使用したり、適切な福祉用具を用いることによって改善される傾向がありますので工夫を行いましょう。
膀胱の調整ができずに失禁する
脳の障がいや脊髄障害などで、膀胱への指令が上手くいかない場合があります。つまり我慢をしたいと思っても、勝手に尿が出てしまうということです。
この場合は改善することが難しいです。しかし、ある程度尿が出る時間が決まってくるのもこの失禁の特徴ですので、排尿の時間を把握しておき、適切にオムツ交換、トイレ誘導を行うことによって尿かぶれなどを予防することができます。
尿失禁といってもそのパターンや原因は様々です。疾患による尿失禁は防ぎようがないですが、筋力低下などで起こる尿失禁の場合は、筋力を増加するリハビリを行うなど、原因に合わした対策方法を取ると良いですね。
認知症で失禁をする高齢者の対応方法
認知症の高齢者の方の何度も繰り返す失禁に介助者は頭をかかえる場合も多いです。特に在宅介護では失禁は、介護を続けていく上で非常に困難なことになりますので、できるだけ失禁を予防することが大切になってきます。
トイレの場所が分からない
認知症により、住み慣れている場所でも場所の認識が出来にくくなる場合があります。排泄したくてもトイレの場所が分からずに探している間に我慢できず失禁してしまいます。そういった場合は分かりやすいようにトイレのドアに「トイレ」と記したりする事で解消される場合があります。普段過ごしている場所からトイレが遠い場合はトイレまでの道順を記しておくと良いかと思われます。
尿意・便意を感じない
正常の脳ですと、自分自身で尿意や便意を感じ、トイレで排泄するという一連の流れができますが、認知症になると尿意や便意を感じる事が出来なくなり、出てしまってから衣服が濡れている事の不快感で気づくといった場合があります。
そうした場合は、定期的に介助者がトイレへの声掛けや誘導をおこなう事で解消される場合があります。
朝起きた時、食事の前後、おやつの時間、寝る前等、その方の尿量やタイミングに合わせ、トイレ誘導を行います。又、お通じのお薬や利尿剤を飲んでおられる等、服薬の状態によっても変わってきますので注意が必要です。
本人から「トイレに行きたい」という訴えがなくても、落ち着きが無かったり、苛立ちがみられる時がトイレのサインの場合もあります。よく観察し、適切なタイミングでおこないましょう。
又就寝中に関しては、本人や介助者の負担軽減の為にも、リハビリパンツやオムツの着用を検討しても良いかも知れません。
疾患によるもの
前立腺や尿道等に疾患がある等、様々な病気に起因し失禁が起こる場合があります。そのような場合は受診し、疾患を治療する事で失禁が改善される場合があります。上記にあげた2点以外の場合や、上記の方法を試しても改善されない場合は受診を検討してもいいかもしれません。
機能性尿失禁は排尿機能に障害がある
尿失禁には様々な症状があります。お腹に力が入ると漏らしてしまう腹圧性尿失禁、尿意を我慢できずに漏らしてしまう切迫性尿失禁、常に少量ずつ漏らしてしまう溢流性尿失禁、排泄の行動が上手く行かずに漏らしてしまう機能性尿失禁の大きく4種類に分類されます。複数の症状が重なることもありますが、今回は機能性尿失禁について詳しく説明します。
機能性尿失禁の症状
排尿したいという意思があっても、足の動きが追い付かずにトイレまで行けなくて排尿が間に合わなかったり、どこで排尿するのか、どうやってズボンをおろすのかなどの排尿に至るまでの動作がわからずに間に合わないという症状が見られます。
機能性尿失禁の原因
高齢に伴う運動機能の低下、リウマチなどの病気や事故によって体が自由に動かせなくなるなどの身体的な原因と、認知症や精神疾患、知的障害などによって排尿の意思が伝えられない、判断ができないという意識的な原因があります。
身体的な原因は特に本人の意思があるのにも関わらず行くことができないので、本人の負担は大きいものになります。
対処法は周りがサポートする
医師や専門家と相談の上、生活環境や生活習慣を見直し、本人の負担を減らしながら排泄できる方法を考えることが大切です。
一つは排泄環境を整えることです。まずは移動しやすいように、トイレや廊下などに手すりをつけましょう。そして、足が動きにくくて間に合わないこともあるので、トイレに近い場所を主な生活環境にすることも良いと思います。ベッドの横にポータブルトイレを置いて使用する方法もありますが、日中は抵抗があるという方は夜間のみ利用するというのもいいかもしれません。トイレについても自動でふたが開くタイプのものがあります。これも負担を減らす一つの方法です。
認知症の方の場合は自分で排泄を訴えられないこともあるので、排泄間隔に合わせてトイレに誘導するといいでしょう。人によってはトイレの前に歩き回るなどの兆候が見られたりもするので、普段から利用者さんをよく観察することも大切です。
老人ホームでよくある、高齢者の失禁
トイレが近い、くしゃみなど力を入れると漏れてしまうという経験をしたことがある方も多いと思います。その原因は骨盤底筋群の筋力低下によるものなのです。
そのため、出産後や筋力の弱い高齢者に多く見られます。
尿失禁の種類
尿漏れと一般的にいわれているものは、尿失禁といいその症状によって5つのタイプに分けられます。その中でも高齢者に多く見られるのが、くしゃみなどの腹圧がかかることで失禁してしまう腹圧性尿失禁、急に尿意が強くなり我慢できずに失禁してしまう切迫性尿失禁、この2つの症状がある混合型尿失禁、トイレまでの移動が困難なために間に合わずに失禁してしまう機能性尿失禁です。
最も多い尿失禁は腹圧性尿失禁で、これは骨盤底筋群の筋力低下が原因で起こるため、お腹まわりの筋力をつけることで解決する場合があります。次に多いのは機能性尿失禁で、下肢の筋力が低下していたり障害があるために、トイレに行く動作に時間がかかってしまいます。また認知症などで、トイレに行くという行動や感覚を忘れてしまい、自ら尿意と共にトイレに行くことが難しいという場合もあります。この場合、トイレの時間を決めて誘導したり、早めに声をかけるといった対処法がありますが、確実に失禁を防ぐためには24時間の介護が大切になります。
介護負担の増加
誰でも失禁やおしもの世話をしてもらうことは辛いことだと思います。また、加齢に伴い、膀胱で尿を溜める機能も低下することでトイレの回数も多くなるため、その都度誰かに助けてもらうのは申し訳ないと思い、遠慮してしまうこともあるでしょう。
在宅療養をしている要介護者は、家族が主の介護者である場合がほとんどですが、24時間いつでも頼れるという訳ではありません。遠慮してしまい、その結果失禁してしまうのです。それを防ぐために、家族は時間は関係なくトイレ誘導やおしもの世話をします。要介護者本人も辛いことですが、時間帯など関係なく介護をする家族も辛いのです。仕事をしている家庭であれば、誰か1人に介護負担がかかります。それでも何とか嫌な思いをしないよう介護をするからこそ、生活スタイルが乱れ、体調を崩すなど、要介護者の失禁が原因となり老人ホームへの入所を考える家族は多いのです。
老人ホームでの対応
老人ホームでは、在宅で家族が1人で介護をしている状態を数人のスタッフが交代で行うことができます。そのため、利用者のトイレ間隔やタイミングを見計らって誘導したり、夜間でもトイレの際は付き添ったり、ポータブルトイレを用意するなどスムーズにトイレへ行けるよう介護します。それにより、利用者が自信を失ったり、自尊心が傷つかないよう最大の配慮をしているのです。また、もしも失禁してしまっても、その都度担当のスタッフが24時間関係なく対応します。
利用者の中には、家族にお願いするのは遠慮してしまうけど、プロであるスタッフだと安心してお願いできるという方もいます。尿失禁は老人ホームに入所するきっかけになることもあるほど、加齢に伴い多くの方が経験し付き合っていかなければならないものです。そのため、遠慮せず介護を頼める環境が大切なのです。
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