胃ろうを知ろう
記事公開日:2015/06/02、 最終更新日:2019/11/08
胃ろうは身体機能の低下などにより口から食事を取ることが難しくなった人が胃から直接栄養を摂取するために取り付ける医療装置のことを言います。食事は生命を維持する為に欠かすことが出来ない行為であるとともに、人生を豊かにするために必要な生きがいや楽しみでもあります。食事が難しい状況になっても再び自分の口から食事が出来るようになることを願い、胃ろうを積極的に希望する人は少ないでしょう。しかし、場合によっては生命を維持していくため胃ろうを選択しなければならないケースもあります。
ここでは、胃ろうに関する基礎知識や介護する際の注意点、胃ろうがある方が老人ホームへの入所を考える際に注意すべき点などについて説明します。
目次
- 1 胃ろうとは
- 2 胃ろうが必要になるケース
- 3 胃ろうのメリット・デメリット
- 4 どんな手術が必要
- 5 介護するときの注意点
- 5.1 ①口腔ケアを徹底する
- 5.2 胃ろうにすると食事をしなくなるため口腔ケアは必要ないと考えがちですが、むしろ食事をしなくなることで入念な口腔ケアが必要になります。人間は食事の際に唾液が分泌されることによって口腔内をきれいに保つ自浄作用が働いています。口から食事をしなくなると自浄作用がなくなり、口腔内で細菌が繁殖しやすくなります。細菌を含んだ唾液は誤嚥性肺炎の原因となるため、胃ろうの方は適切な口腔ケアで口腔内を常に清潔に保つようにしなければなりません。 ②胃ろう周囲の観察と清潔の維持
- 5.3 胃ろうをしていても普通に入浴することが可能です。定期的な入浴で胃ろう周囲の清潔を保つように心がけましょう。胃ろう周囲の観察は毎日おこなうようにし、皮膚の発赤や腫れがある場合は炎症のサインのため、早めに医師に相談するようにします。 ③本人の状態にあった栄養剤を選択する
- 5.4 ④胃ろうが抜けてしまったときの対応を確認しておく
- 6 胃ろうを望まない人も
- 7 「自分らしく」の線引きはどこに
- 8 一度取り付けた胃ろうは外せない?
- 9 介護現場での胃ろうの扱いは?
- 10 いざという時どうするか
- 11 胃ろうのトラブル、どんなものがあるのか
- 12 胃ろうの方でも誤嚥性肺炎になる
- 13 胃ろうを導入する際の費用はどれくらいかかるのか
- 14 限度額認定証について
- 15 薬か食事か
- 16 交換時の費用
- 17 胃ろうトラブルは頻繁に起きている
- 18 胃ろうの方が老人ホームを探すときの注意点
- 19 老人ホームが知りたい情報
- 20 胃ろうがあっても老人ホームに入所することができるのか
- 21 施設を効率よく探すには?
胃ろうとは
胃ろうは内視鏡を使ってお腹に栄養を摂取するための小さな口を造る手術のことで、英語ではPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy : 経皮内視鏡的胃瘻造設術)と言います。具体的には胃に穴を開け、専用のカテーテルを挿入して胃の内側とお腹の外側からカテーテルを固定します。カテーテルからは胃に直接栄養を流し込むことができ、食事が出来ない人でも安定して栄養を摂取することが出来ます。
胃ろうは欧米で多く利用されている実績があり、長期栄養管理が必要な高齢者に適した治療法です。鼻に通したチューブから栄養を流し込む経鼻経管栄養と比較して患者の不快感や苦痛が少なく、喉にチューブが通っていないため嚥下リハビリや言語訓練を希望する方にも適しています。
また、シャワーはもちろん、湯船に浸かることもできます。
絆創膏など貼る必要もありません。そのまま入浴し、石鹸で身体を綺麗にして清潔に保つことが重要です。
リハビリも続けていくことができますし、運動も可能です。
口から栄養をとれるようになった胃ろうは不要になり、取り除くことができます。除去したら胃の粘膜は3時間ほどで修復されます。傷跡もほとんど目立たなくなります。取り除いたその日から食事をすることができます。
胃ろうが必要になるケース
胃ろうは口からの食事が難しく長期的な栄養管理が必要な場合に選択されます。寝たきりで食事を行なうことが出来ず身体機能が維持できない場合や、誤嚥による誤嚥性肺炎を何度も繰り返している場合、施設や自宅で介護するに当たり経鼻経管栄養や点滴管理では栄養管理がおこなえない場合などがその例です。
胃ろう導入につながることが多いパターンは以下の2つです。
①脳卒中による後遺症による嚥下障害
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を引き起こすと口や喉の筋肉に麻痺が出たり、嚥下反射が働かなくなることで誤嚥しやすくなります。何度も誤嚥性肺炎を繰り返す場合には胃ろうを造ることが検討されます。
②認知症の進行や老衰により寝たきりとなったケース
80歳以上の高齢者に多く見られるケースで、認知症の進行や加齢による老衰で寝たきりとなり食事が取れなくなるケースです。本人に食事を取る意思がないことがほとんどで、生命維持のために胃ろうが検討されます。
胃ろうのメリット・デメリット
胃ろうには以下のようなメリット・デメリットがあります。
①メリット
- 経鼻経管栄養よりも患者の負担が少なく、胃や腸などの機能を維持することが出来る。
- 誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる。
- 洋服を着れば見た目には胃ろうかどうかわからない。
- 口からの食事も可能。嚥下リハビリが可能なほか、口からの食事と胃ろうの併用も出来る。
- 入浴も可能。カテーテルの保護など特別な処置が必要なく普通に入浴できる。
- 口からの栄養が可能となれば抜くことができ、抜いた後の穴も1日程度でふさがり傷もすぐに目立たなくなる。
②デメリット
- 穴を開けるための手術が必要。
- 穴を開けた部分の皮膚トラブルを予防するため衛生管理が必要。
- 半年に一回カテーテルの交換が必要。
- 認知症がある場合は自分でカテーテルを抜いてしまうリスクがある。
- 過去に胃の手術を受けたことがある方や極度な肥満の方、腹膜透析をしている方など胃ろうを造れない場合がある。
メリットとデメリットを比較した場合、メリットの方が大きいと言えるでしょう。胃ろうに関する正しい知識を持てば、自分や家族に胃ろうが必要になったときに受け入れがしやすくなるかも知れません。
どんな手術が必要
現在の胃ろう手術は内視鏡手術が基本です。内視鏡を口から胃まで挿入し、空気を送り込んで胃を膨らませ腹壁と胃を密着させます。続いて体外から腹部に局所麻酔をし針を胃の中まで刺します。内視鏡と糸状のワイヤーを使って胃の内部からストッパー付きのチューブを体外に出し、体外に出たチューブ固定して手術は終了となります。
内視鏡手術のため患者への身体的な負担は少なく、手術時間はわずか15分~20分程度です。点滴麻酔と腹部への局所麻酔をおこなうため、患者に強い苦痛や痛みはありません。
介護するときの注意点
胃ろうの方を家族が介護する際には以下のような点に注意する必要があります。
①口腔ケアを徹底する
胃ろうにすると食事をしなくなるため口腔ケアは必要ないと考えがちですが、むしろ食事をしなくなることで入念な口腔ケアが必要になります。人間は食事の際に唾液が分泌されることによって口腔内をきれいに保つ自浄作用が働いています。口から食事をしなくなると自浄作用がなくなり、口腔内で細菌が繁殖しやすくなります。細菌を含んだ唾液は誤嚥性肺炎の原因となるため、胃ろうの方は適切な口腔ケアで口腔内を常に清潔に保つようにしなければなりません。
②胃ろう周囲の観察と清潔の維持
胃ろうをしていても普通に入浴することが可能です。定期的な入浴で胃ろう周囲の清潔を保つように心がけましょう。胃ろう周囲の観察は毎日おこなうようにし、皮膚の発赤や腫れがある場合は炎症のサインのため、早めに医師に相談するようにします。
③本人の状態にあった栄養剤を選択する
胃ろうに使用する栄養剤には、タンパク質があらかじめ分解されている「消化態栄養剤」と、たんぱく質が分解されていない「半消化態栄養剤」の2種類があります。本人の消化吸収能力に合わせた選択が必要です。
また、栄養剤の形状には「粉末タイプ」「液状タイプ」「ゼリータイプ」の3種類があります。それぞれ保管しやすい、水に溶かす手間なくそのまま使える、逆流しにくいなどの特徴があるので、適切な形状のものを利用しましょう。
④胃ろうが抜けてしまったときの対応を確認しておく
胃ろうが日常生活の中で抜けることはまずありません。しかし、認知症の方が自分で無理やり引き抜いてしまうケースなどは考えられます。胃ろうが抜けてしまった場合には胃ろう部分の衛生面に注意するとともに、手術によって開けた穴がふさがらないようにすぐに医療機関を受診することが必要です。受診する医療機関の情報は事前にしっかりと把握しておき、緊急時にあわてることがないよう備えておくようにしましょう。
胃ろうを望まない人も
このように胃ろうのことを知っていくとなんの不自由もないもののように思えます。
しかし、「胃ろうまでして生きたくない」とかんがえる人も多くいます。
延命治療をするのであれば尊厳死、自然死のほうがいいと考える人が最近は増えているようです。
厚生労働省が行った調査によると胃ろうを望まない人が70%ほどいるということがわかりました。
例えば、「末期がんで食事や呼吸が不自由であるが痛みはなく、意識や判断力は健康なときと同様の場合」胃ろうを望む人が7.9%。望まない人が71.9%。わからないが18.3%で無回答が1.9%という結果でした。
認知症が進行して身の回りの手助けが必要で衰弱も進んでいる場合での胃ろうは望まないという人が76.8%にものぼっています。
「自分らしく」の線引きはどこに
高齢者施設の入居条件を見ていると、ひんぱんに「胃ろうの方でも入居が可能」あるいは「胃ろうの方など高度な医療ケアが必要な方は応相談」といった表現を目にします。胃ろうは、気管切開と並ぶ延命治療の代表格であり、そのイメージから「胃ろうをしてまで生きるのは……」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そもそも、胃ろうとはなんなのかを整理してみましょう。マスメディアや介護業界では「胃ろう」と書かれる場合が多くなっていますが、漢字では「胃瘻」という難しい字を書きます。病状の進行や外傷などによって自分の力で栄養補給ができなくなってしまった方を対象にして、胃につないだチューブから栄養を送り込むことを胃ろうと呼びます。類似する医療行為としては、同じく経管栄養にあたる腸ろう(腸に栄養補給のチューブをつなぐ)や経鼻(鼻から栄養を補給する)などがあります。
自分で栄養補給ができない状態で生きることがはたして生物として正しいのか――。胃ろうに対するネガティブなイメージはすべてこうした考えに起因するものでしょう。正直なところ、この問いに関しての答えに正解はなく、本人やご家族の意思、すなわち「望んだもの」が正しい答えであるとしかいいようがありません。ただ、高齢者の方だけでなく、いま若くて元気な世代にとってもいつか死は訪れるものです。また、認知症や重篤な病状により必ずしも死の直前にあって本当に自分が望む答えを出せるわけでもありません。「まだ、先のこと」と後回しにせずに、「もし、終末期を迎えたらどのようにしたい(されたい)」かを一度ご家族で話し合っておくのもいいかもしれません。
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一度取り付けた胃ろうは外せない?
胃ろうのイメージとして、「一度手術をして取り付けてしまうと、死ぬまで外せない」というのも多くの人が抱いているではないでしょうか。確かに、手術後は死ぬまで胃ろうを利用しながら暮らす人も多いものの、一方で適切なリハビリテーションや口腔機能の向上訓練によって、再び口からの栄養摂取が可能になる方もいます。「胃ろう」=「死の一歩手前」とネガティブなイメージばかりで捉えるのではなく、再び日常生活に戻るための選択肢にもなりうるという点も、判断時の材料にしましょう。
介護現場での胃ろうの扱いは?
では、実際の介護現場での胃瘻の扱いはどうでしょうか? 胃ろうは医療行為にあたるため、看護師など医療ケアを提供できるスタッフが必要となります。介護スタッフであっても、一定の研修を受けた後にサービスを担当することはできますが、「事故のリスク」「対応が出来ても給与に反映されない」「ひとりだけではなく、常時対応できるスタッフがいないと無意味」などの理由から、介護スタッフのみでの胃ろう対応ができる施設はほとんどないのが現実です。むしろ、「胃ろうとなった時点で体制の整った他施設への転居」を契約時に明記している施設もあります。単純な介護度の高低による入居難易度の違い以上に、胃ろう患者さんの場合は、施設の選択肢が狭くなることは理解しておきましょう。
いざという時どうするか
もし自分が介護を必要とした場合にどのようにして欲しいかについて「事前指示書」を用意しておくことも推奨されています。しかし、元気なときと衰弱したり年をとったときとではまた考え方も変わってきます。いざ胃ろうが必要となった場合に考え方を変えて胃ろう手術を受ける人も多いそうです。
胃ろうを取り付けても一生外せないわけてはなく、適切なケアをうけ、リハビリを頑張ればまた再び自分の口でご飯が食べられるようになるのです。
元気な時に自分の死を明確にイメージ出来る人というのはまずいないでしょう。病気になったら「胃ろうしても生きたい」という気持ちに変わるかもしれません。
事前指示書ももちろん大切ですが、その時その時の気持ちを家族や身の回りの人に伝えておくことも大切です。
胃ろうのトラブル、どんなものがあるのか
胃ろうをしていると様々なトラブルがあります。ここでは代表的なものをご紹介していきますので、胃ろうの方を介助する場合は、覚えておきましょう。
また、最近では胃ろうの方の処置を条件つきで介護士がおこなえるようになりましたので、これを機会に胃ろうのトラブルを把握しておき、対処方法も知っておきましょう。
①胃ろう部分の炎症、出血
胃ろうをしている人で最も多いトラブルとは、胃ろう部分の炎症です。特に皮膚の部分に炎症が起きやすいです。汗でかぶれたり、栄養剤が漏れることによってかぶれたりします。
予防しにくい部分ですが、一度かぶれてしまうと中々治りにくい部分でもあります。
常に清潔にしておくことが大切ですし、汗や栄養剤がつかないようにガーゼなどで保護することも対策として有効です。
また、肥満気味の人は胃ろうを部分が腹部で圧迫されやすいので、余計にかぶれやすくなります。栄養剤を調整するなどの対策を取りましょう。
②嘔吐、下痢が頻繁になる
胃ろうをしている人は、嘔吐をすること、常に下痢になることがあります。嘔吐に関しては栄養剤を入れるチューブの中に空気が入っていた、栄養剤の量が多い、入れるスピードが速いなどの時に起きます。
また、胃ろう後は最低でも30分以上は上体を起こした状態にしないと、逆流して嘔吐する可能性がありますので十分時間を置いてから、寝かすようにしましょう。
胃ろうの方は固形物を食べないので、常に下痢のような状態ですが、水のような下痢をすることがあります。そういった場合は主に水分の取りすぎですので、水分量を調整するようにしましょう。
胃ろうをしている場合は、体重が増加しやすい傾向にあります。それは主に運動不足の割に高栄養のものを摂取しているからです。体重が非常に増えやすい環境にいるのが胃ろうの方ですので、栄養量を十分に調整をして、体重増加に注意しましょう。
胃ろうの方でも誤嚥性肺炎になる
誤嚥性肺炎とは肺の中に食物が入って起こる肺炎であり、高齢者が良くかかる病気として知られています。また、胃ろうは食事が口から食べられない人に行うものであり、胃に直接チューブを通して口を通らずに直接胃に栄養を運ぶというものです。
一見関連性がない2つに見えますが、胃ろうの方でも誤嚥性肺炎になることもあります。
①唾液が肺に流れる
胃ろうの方は口から物を食べることがありませんので、誤嚥性肺炎にかからないと思いがちですが、実際に誤嚥性肺炎にかかることがります。その理由としては唾液などが肺に流れる為に誤嚥性肺炎にかかってしまうということがあります。
口からものが入らないので自然と嚥下機能が低下して、自分の唾液でさえきちんと嚥下できにくくなります。また、口腔ケアの際に使用するガーゼに含まれる水分などで誤嚥する可能性もありますので、口腔ケアを行う場合は通常の高齢者以上に気を使わなければいけません。
②胃から逆流してくるものが肺に入る
胃ろうの方は胃と食道の間にある弁の働きが悪い場合があります。この弁は通常、胃から食道に逆流しないようにありますが、弁の機能が低下してしまいますと逆流して喉まで上がってくることがあります。
逆流してきたものが入って、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうのです。胃ろうをするスピードが速い、量が多い、胃ろう後すぐに寝かせてしまうといった場合に逆流は良く起こりますので注意しておきましょう。
③自分で訴えることができない方は特に注意
胃ろうの方は自分で自分の状態を伝えることができない場合が多いです。その為、逆流しているのか、気管に入って苦しいのか伝えることができません。
観察をすることが大切であり、むせてはいないか、苦しそうでないかなど状態を良く見ることが必要になってきます。
また肺炎を引き起こしている場合は熱が高くなったり、微熱が長期間続いたりしますので早めに受診をして対処するようにしましょう。
胃ろうを導入する際の費用はどれくらいかかるのか
食事が上手く飲み込めずむせてばかりいる、むせて何度も肺炎を繰り返している…そのような状態から、入院中に胃ろうを薦められることがあります。
胃ろうとは、胃に穴を空ける手術を行い、食事を直接注入出来るようにする方法です。胃ろうにしたからといって全く口から食事ができなくなるという訳ではありません。飲み込むための練習である、嚥下訓練というリハビリを行って回復する方もいます。
また、胃ろうの手術に特別な費用がかかるという訳ではないので安心してください。
限度額認定証について
先に医療費を支払って後で返還されるという高額療養費の制度がありますが、手術による入院などで数十万とかかった場合、一時的な負担がとても大きいものになります。そこで、最初に限度額認定証というものを申請し医療機関へ提出することによって、自己負担限度額のみの支払いで可能という制度があります。病院へ入院する際に作成したことのある方もいるかと思います。
限度額認定証は自分が加入している保険機関への申請が必要となります。国民健康保険へ加入している方は役所の窓口ですが、社会保険へ加入している場合は事業所への申請が必要となります。
後期高齢者医療証をお持ちの場合は申請をしなくても限度額が決まっています。しかし、非課税世帯に該当する場合は限度額が引き下げられるので申請が必要となります。該当するかどうかわからない方は役所へ確認してみましょう。
自己負担限度額が決まっていると、支払いの負担がとても軽くなります。例えば1か月の限度額が44,000円と決まっている場合は、胃ろうを作るための入院、手術費用が約10万程度かかったとしても限度額の44,000円以上の医療費の支払いが求められることはありません。その他入院中の食事代など保険外の部分はプラスされます。
自己負担限度額は個人によって異なるのでしっかり確認しておきましょう。
薬か食事か
胃ろうの高カロリー輸液を医薬品としてとらえるか、食事としてとらえるかということによっても費用は大きく異なってきます。
医薬品の場合は医療費に含まれるので、上記に挙げた自己負担限度額の対象となります。退院後の費用にも関わってくることです。医薬品として出す病院がほとんどですが、異なる場合もあるので、導入前に病院へ確認してください。医療費の場合は月約30,000円で、自己負担限度額が適用されます。
交換時の費用
胃ろうの種類によって異なりますが、バルーン型は2~3か月に1回、バンパー型は6ヵ月に1回の交換が必要となります。バルーン型は約8,000円、バンパー型は約20,000円です。
バルーン型であればベッドサイドでの交換も可能です。バンパー型は病院での交換となりますが、入院の必要はありません。どちらの型が適しているかは個人の状態によって変わります。導入時には疑問が多くあると思うので、しっかりと担当医に確認して、不安のないようにしましょう。
胃ろうトラブルは頻繁に起きている
胃ろうは口から食事を摂取できない方に対して用いられるものですが、胃ろうを行うと様々なトラブルが起きる可能性がありますので、介護者としては十分注意しておきましょう。また、最近では介護士も胃ろうが条件付きで認められていますので、トラブルについては理解しておきましょう。
①胃ろう部の炎症
胃ろうをしている部分を常に清潔にしておきませんと、炎症が起きる可能性があります。炎症が起きてしまいますと、一時的に胃ろうを外さないといけない場合もありますのでこまめな処置が必要です。
特に自分で触るような人は、触ったことによって傷がつき、そこから炎症を起こすこともありますのでガーゼで保護を行うなど十分注意しておきましょう。
②場合によってはおう吐をする可能性がある
胃ろうは強制的に胃に直接栄養剤や水分を注入しますので、場合によってはおう吐をしてしまうこともあります。胃ろうをしている方がおう吐をしてしまいますと、呼吸困難になった最悪の場合死亡する可能性があります。
胃ろう時は必ず上体を起こしてから行う、胃ろう後は30分以上は起こした状態を保っておくなど逆流しないように注意しましょう。
また、注入を行う際のスピードも極力ゆっくりすることが、おう吐を防ぐポイントになりますし、特に水分を注入する際はスピードに気をつけることが必要です。
③体重増加による病気へのリスク
胃ろうは口から摂取しませんので、体重が増えることはないと思われがちですが、胃ろうでの栄養剤は高カロリーのものが多いので体重増加には十分注意しましょう。
体重が増加するとあらゆる病気に対してのリスクが高まります。
栄養剤の量などを決めているのは医師ですので、医師や看護師を通して調整してもらうようにしましょう。
また、胃ろうの方は自分で動けないことが多いですので、体重が一度増加してしまうと運動による減少は期待できませんので、体重を増やすことを止めるのが一番の方法です。
胃ろうの方が老人ホームを探すときの注意点
胃ろうケアは医療行為にあたるため、胃ろうの方が入所できる老人ホームは限られます。しかし、2012年の法律改正により指定の研修を受けた介護スタッフであれば胃ろうケアが可能となり、以前よりも胃ろう方が入所できる老人ホームは増加している状況です。胃ろうケアが必要な方が老人ホームを選ぶ際に注意すべき点には以下のようなことがあげられます。
①胃ろう管理が可能なスタッフの配置状況や知識・スキル
研修を受けた介護スタッフによる胃ろうケアは法的に可能となったものの、胃ろうケアが医療行為であることには変わりありません。医療的な知識やスキルを備えた看護師などの配置が充実しているか、医療機関によるサポートはしっかりとしているかといった点は入所の際に確認しておきたいところです。24時間看護師が配置されている老人ホームであれば緊急時対応も安心でしょう。
③痰吸引に対応しているかどうか
胃ろうが必要な方は痰が出やすい場合が多いです。将来的なことも考え痰吸引が出来る設備がしっかりと備わっているか、痰吸引が出来るスタッフが24時間体制で配置されているか確認しましょう。痰吸引についても胃ろうケアと同様に指定の研修を受ければ介護スタッフでも実施が可能となりました。施設によってスタッフの知識やスキルには差があるので入所前にしっかりとチェックするようにしましょう。
③認知症への対応
胃ろうを行っている間はベッド上で安静にしておく必要があります。認知症の症状があり、胃ろう中に動いてしまうなどのリスクがある場合には入所前に施設としっかりと話し合いをしておくことが必要です。入所後に思ったような対応が受けられない、入所後すぐに施設を変わらなくならなければならない状況になったなどのトラブルが起きないよう、入所前にしっかりと確認するようにしましょう。
老人ホームが知りたい情報
胃ろうを増設している人が老人ホームなどに入所する際、老人ホームが知りたい情報としては、以下のようなものになります。
・栄養剤の注入回数、量、時間
注入中は、胃ろうを持っている方の体勢や状況などを注意深く観察しなければなりません。体勢が崩れてしまうと、胃に注入した栄養剤が逆流してきてしまい、嘔吐してしまうこともあるからです。そのため、看護師や医療処置のできる職員がいる間にしたいと老人ホームなどは考えるのですが、それが、1日4回などになると、夜間や朝方にも医療処置のできる職員を配置しなければならなくなってしまいます。そのため、注入回数や1回量、時間などを老人ホームなどは知りたいのです。
・認知症の有無
認知症があると、注入時間の間に動いてしまったり、胃ろうのチューブを不快と感じ、自己抜去してしまう恐れがあるため、認知症の有無について老人ホームは知りたいのです。
・痰の吸引の有無
注入をすると胃や腸が動き消化活動が活発となります。それと同時に唾液の分泌が増え、痰の吸引が必要になってきます。注入による唾液や痰の増加は人によってそれぞれです。注入と同様に吸引も医療的ケアとなってくるため、吸引ができる職員がいる必要性があるため、老人ホームなどは知りたい情報となってきます。
胃ろうがあっても老人ホームに入所することができるのか
特養では医療的な体制が病院に比べても弱い部分があります(その分生活の質向上に力を入れています)。そのため、胃ろうをしている場合は入所を断られることがあると考える方も多いですが、実際のところはどうなのでしょうか?
①ほとんどの施設で受け入れが可能
昔は胃ろうをしている方を受け入れ出来ないという特養がありましたが、現在ではほとんどの特養で受け入れが可能だという対応を取っています。
今までは胃ろうは看護師しかできませんでしたが、近年では研修を受ければ介護士でもできるという流れになってきています。そのため、胃ろうを対応することができますので、胃ろうが理由で断ることはほとんどないといえます。
しかし、場所によっては原則的に胃ろうの方を受け入れることが出来ないという施設もありますので、念の為に事前に確認をしておくようにしましょう。
②条件がある場合も
施設によっては介護士による胃ろうの研修を終えていない場合もありますので、看護師が勤務している時間に合わせて胃ろうをする場合もありますので、注意が必要になります。
そのため、看護師が出勤をしている朝の9時から18時ごろに朝、昼、夜の胃ろうを完了せざるを得ないところもありますので、注意しましょう。
③胃ろうをする前に相談をしておきましょう
胃ろうを造設するのは病院です。病院にはソーシャルワーカーがいますので、ソーシャルワーカーに相談をするようにしましょう。
ソーシャルワーカーは病院から退院をする方の支援を行っておりますので、施設がどのような方であれば受け入れてくれるのかを知っている場合もあります。現在住んでいる地域はどのような対応の施設が多いのか、聞いておくと良いでしょう。
胃ろうをせざる得ない時は仕方がありませんが、胃ろうをするかどうか悩んでいる場合は、その地域で受け入れ出来る施設が多ければする方向で、しない施設が多い場合は胃ろうを見送るなどを検討しましょう。
施設を効率よく探すには?
胃ろうの高齢者を受け入れしてくれる老人ホームを探すにはこちらから無料で相談しましょう。胃ろうの方受け入れ可能な老人ホームを探すのは意外と大変です。自分で探すよりもまずプロに相談してみましょう。スムーズに入居先を見つけることができます。
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