介護と虐待の問題
記事公開日:2015/06/09、 最終更新日:2019/02/25
目次
介護の場での虐待が増えています
介護施設での入居者への虐待というニュースが近頃増えて生きているようです。
つい先日も介護施設に入居している認知症の女性に対して職員3人が暴行を加え、さらにはその様子を動画で撮影し、インターネット上にアップロードしたとまで報道されていました。
このような施設職員による高齢者虐待件数は年々増加傾向にあります。
2013年度は介護職員による虐待は221件発生し、過去最多となっています。被害者となった方は認知症の方が85%を占めていたとのことです。
問題の原因
このような虐待の背景として考えられる原因はいくつか挙げることができます。
まず、認知症の人への理解が薄いことから発生してしまうということです。倫理観や相手を尊重する気持ちがかけており、人として扱うことができなくなってしまったためこのような問題が発生してしまいます。
こういった人をそもそも雇うのがおかしいと考える人もいるかもしれませんが、介護施設の人手不足という問題もあるのです。
人出が不足している施設では介護の知識がない人、能力が低い人でも採用せざるを得ないといった状況になってしまっています。
新卒の学生が介護業界を受けるといったことはほとんどなくなっています。どこも採用されなかった学生などが採用されやすそうという理由で介護業界を受けることが増えているそうです。
そういった知識や経験のない職員がいきなり現場で認知症の患者さんのケアをするというのはとてもむずかしいことです。職員はストレスを抱えますし、対処法もわからないままに、心理的に鬱屈して虐待に走ってしまうのではないかと考えられています。
家庭での虐待も
こういった虐待の問題は施設だけではなく家庭でも起こっています。
むしろ件数としては家庭での虐待の数のほうが多く、2013年度では1万6140人と全体の大半を占めています。
家庭での介護は長年にわたってひとりきりで抱え込むこともあります。ストレスの行き場がなくなり、家族に向かってしまうことがあるのです。
誰にも相談できない、認知症ケアの知識が薄いことなどが虐待につながってしまいます。
虐待を避けるために
虐待をしてしまうのは認知症が脳の病気だということがきちんと理解できていないことが原因の一つと考えられます。
ご本人にはなんの悪気もなく仕方のないことです。また、日によって調子がいい時もあれば悪い時もあります。
自分の限界を超えた介護をしていると虐待につながってしまうおそれがあります。
疲れているときなどに介護拒否や暴言、暴力を受けたりするとイライラしてしまい、爆発してしまいます。
虐待にならないようにするためには相手を怒鳴りつけて怒ったり、否定しないようにすることを心がけましょう。
これは自分のためでもあり、相手のケアのためでもあります。
認知症の状態では怒られても何が悪いかわかりません。ただ怖い思いを抱いてしまいます。否定されることも相手を不安にします。
怒られたりすると家にいたくなくなって外に勝手に出て徘徊したり、介護拒否が見られるようになります。
介護がつらくなったらその悩みを1人で抱え込まず、誰かに吐き出したり、助けてもらうようにしましょう。1人だけで介護するのではなく、家族に協力してもらうことが大切です。また、一日中つきっきりになるのではなく、気分転換したり、働きながら介護するなど別のことをする、余裕をもって介護に取り組むことなどが重要です。
認知症の介護での虐待
認知症高齢者の介護をめぐる虐待や事件は連日のように報道されます。
こういった事件が話題になっているのにどうして虐待はなくならないのでしょうか。施設や行政は対策をしているのでしょうか。様々な疑問が湧いています。
ストレスが原因
虐待をする一番の原因としては介護のストレスが考えられます。
認知症の介護は介護に関係のない人にとっては想像もつかないほどのストレスを与えます。
高齢者のおむつ交換で他人の便や尿に触れる。このことは仕事でやらなくてはならないこととはいえ、人間の生理に嫌悪感を与えるものです。さらに認知症の高齢者は徘徊をしたり、奇声をあげたり、プラスチックなど食べられないものを口に入れたりと常識から外れた行動をします。
こういった状況におかれた介護者は激しいストレス状態に置かれます。そのはけ口として高齢者に対して暴力という形で発露するのです。
このようなストレスはプロの介護職員でも当然感じてしまいます。
仕事に慣れている人やストレスをうまく発散している人、倫理観をきちんと身につけているスタッフであれば暴力といった行動を起こすことはありません。しかし、すべてのスタッフがそういう人とは限りません。最近は特に施設が人材不足のためにきちんと介護の教育を受けてこなかった人や経験の少ないスタッフでも採用することが増えているため、こうした虐待事件はなくならないのだと考えられます。
施設での虐待問題は介護施設での給与水準が低いことや労働条件が厳しいことなどといった問題につながっているのだといえます。
行き過ぎたしつけ
ストレスの他には高齢者に対する行き過ぎたしつけも考えられます。子どもに対する虐待とも通じるものですが、言うことを聞かない高齢者に対して暴力という形でしつけようとしてしまうのです。
行き過ぎたしつけによる事件としてこのような例もあります。
認知症のため徘徊癖がある母親を息子は首輪とロープをつかって動けないように固定して会社に出かけたのです。すると息子がいない間に火事があり、家が全焼。逃げられなかった母親も焼死してしまったのです。
極端な例ですが、このような行き過ぎたしつけをすると客観的には虐待と思われてもおかしくはありません。
外に出られると困るからと鍵のかかった部屋に閉じ込めるのも虐待に近い介護といえるでしょう。
被介護者側の要因
認知症患者であるということも虐待を引き起こす要因として考えられます。認知症という病気の特性上、言動の混乱や身体の自立度の低さといったことがあります。そのことから、介護者が多少手荒にしてもわからない、痛みを感じないなどと思ってしまうことがあるのです。
介護者は認知症に対する正しい知識と倫理観を持って向き合う必要があります。また、ストレスをためないこと、息抜きをすることも虐待につながらない介護をしていくためには必要なポイントです。
老人ホームにおける虐待問題
報道でも高齢者虐待をとりあげられる事が多くなってきました。なぜ弱い立場にある人を助けるという福祉の現場で虐待はおきてしまうのでしょうか。
高齢者への虐待の原因
職員による高齢者虐待と確認された件数は多くなっています。要因は職員の知識や技術不足、ストレスとされています。被害者のほとんどは認知症の方だといわれています。介護職の求人は常に多くあり、資格を必要としない所もあるため未経験者であっても就きやすい仕事になっています。介護職は基本的に人のお世話をする仕事であり、特別な資格がなくてもできる仕事です。人は生活をしていく為に仕事をします。介護職に対して重く考えないままに仕事を選択している方も多いのではないでしょうか。人には向き不向きがあります。虐待をした人は介護職には向いていないようです。
どんな理由があっても人に言葉や力で危害を加えるようなことがあってはなりません。介護の現場は常に人員不足で応募があれば即採用といった流れになっています。人員確保も大事ですが、面接時に介護職の大変さや難しさを十分に伝えて、本人の人柄や考えなどをしっかりと検討した上での採用でなければならないのではないでしょうか。
介護現場の実情と問題
介護知識もなく未経験で就いている方も多くみられます。研修期間を設けていても実際は人員不足を補うため、指示を受けすぐに仕事を同じようにこなすことになります。オリエンテーションや勉強会の時間をとることも難しくなっているのではないでしょうか。施設には認知症の方も多く、介護者の思うように仕事は進まない事がほとんどです。
スタッフ1人にかかる負担も大きくなるため肉体的にハードになります。暴言を吐かれる事もあり、精神的にもストレスになる事も多いでしょう。そういったストレスやイライラした感情を入居者の方に向けてしまい状況を悪化させているのではないでしょうか。
介護現場の改善に求められるもの
施設側は職員の採用を判断する場合は、しっかりとした面接を行い採用してからもオリエンテーションや勉強会の時間を設けて、知識や技術の教育を行っていく必要があります。そして職員が入居者の対応など困ったこと、悩んでいることがあればすぐに相談できるようなみんなで問題を解決していけるような職場環境をつくることも重要になります。
介護職に就く方の心構えや向上心も大切なことです。ストレスというのは、どの仕事に就いてもあるものでしょう。プライベートを充実させるなどして、上手につきあっていく必要もあります。大変な事やつらい事があってもまた、新たな気持ちで業務に入れるように自己管理することも必要です。なかなか難しい大変な仕事ではありますが、感謝されることも多くやりがいのある仕事ではないでしょうか。
施設を効率よく探すには?
家族のことを大切に思うなら在宅介護だけではなく老人ホームという選択肢についても考えてみることをおすすめします。老人ホーム入居のお悩みはこちらから無料で相談しましょう。家族と一緒に暮らすのではなく離れて暮らすからこそ大切にできるという場合もありますよ。悩んでることを専任のお住まい相談員になんでも伝えてみましょう。
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