ターミナルケアとは
記事公開日:2015/06/09、 最終更新日:2019/02/21
目次
ターミナルケアについて
ターミナルケアとは終末期の看護という意味です。死が予想される人の数週ないしは数ヶ月間に行うケアのことです。Cure(治療)ではなくcare(看護、ケア)を行うという医療のあり方のことをいいます。
このようなあり方が提言されるようになったのは最近のことです。
現代はいろいろな考えの人がいて一人ひとりの考え方が尊重される時代です。延命治療に対して疑問を持つ人もいます。ターミナルケアはそういった人に対して精神的・身体的な苦痛を伴わず自然に自分らしく最期を迎えるための選択肢です。
延命するかどうかは基本的には本人が決めることです。しかし、本人が意思を発することができない状態になってしまったら家族が代わりに決めます。
特に認知症になってしまった場合、本人の意思を確認するのは困難です。ターミナル近くになってきた場合には本人ではなく家族に延命の確認をとります。
ターミナルケアと看取り
最期を看取る看護のことを「看取り看護」といいます。これも肉体的・精神的な苦痛をできるだけ軽減して最期を迎えてもらうというものです。
ターミナルケアとほとんど同じ意味です。
「看取り」とは病人のそばで世話をすること、または死期まで見守ることをいいます。
ターミナルケアとの違いは最期を迎える場所だと言えるでしょう。
ターミナルケアは病院などの医療機関でのケアのことをいいます。一方看取り看護は施設でのケアのことを指すのが一般的です。
また、看取り看護とは「介護者の視点」であり、「看取られる側の視点」ではないとも言われています。
ターミナルケアの場所
ターミナルケアは病院や施設で最期を迎える場合に言われるものだと説明しましたが、最近では在宅でのターミナルケアという考え方もされるようになりました。
最期は自分の家で迎えたい、とかんがえる人がいるからです。
在宅でのターミナルケアの場合には医師や訪問看護師の協力を受ける必要があります。
ターミナルが近づいてきたら今まで以上に医師や訪問看護師と連絡を取り合っていく必要があります。
点滴や酸素吸入なその医療行為をとるのか、それとも全く自然に任せるのかといったことをよく相談しておく必要があります。
どういった処置をお願いするかによって訪問回数も決まってきます。
また、在宅でのケアにあたっては床ずれ(褥瘡)に注意してください。床ずれは数時間寝ているだけでも起きてしまいます。痛みが分かる人なら大変な苦痛です。身体の向きを数時間ごとに変えたり、クッションをあてがってあげる必要があります。
家族とともに過ごすこと
医療的なことは医師にお任せするとして、家族がしてあげられる一番大切なことは何より一緒に過ごしてあげることです。
意思疎通ができなくても耳が聞こえている場合があります。名前を呼んであげるだけで本人にとっては大きな安心感につながります。また、好きな音楽を流してあげたり、手や足をさすってあげるのもいいでしょう。
こうして不安をやわらげてあげることが何より大切な家族にできる介護なのです。
家族がターミナルケアを行う際、援助者としてできること
ほとんどが病院で最後を迎える人が多い中、自宅で家族に見守られながら最後を迎える人もいます。地域医療の発達、病院の退院措置などが進んできている現在、家族が高齢者のターミナルケアをすることが増えてきているのです。
介護従事者、援助者として私たちができることは何があるのでしょうか。
①家族との時間を大切にする
せっかく自宅に帰ってきても、介護がうまくいかないだろう、家族の負担を軽減させるために、ショートステイやデイサービスなどの外部のサービスを進めてしまう場合があります。
外部サービスを利用する場合は慎重に、家族やご本人と話し合うことが大切です。
本当に必要なサービスなのか、家族との過ごす時間はきちんと持てるのだろうかなど、援助者として考える必要がある部分です。
また、外部サービスを利用するときには、サービス利用中に亡くなる場合もあるということをしっかりと家族に伝えておきましょう
②医療従事者、医師が自宅に来る環境を作っておく
ターミナルケアは終末期の方をみるものです。介護者だけでは医療的な知識が不足ですし、病院に頻繁に通うことは本人にも負担がかかってしまいます。そのため、訪問看護や往診の医師を手配するようにしましょう。
特に医師が来るということは本人も、家族も安心できます。最近では往診をしてくれる医師も増えてきていますので、医者探しに困ることも少ないようです。
③安楽に過ごしてもらうように環境を整える
安楽に過ごしてもらうのはターミナルケアにとって非常に大切なことです。安心で楽な生活ということです。
これは私たち介護を知っている支援者が環境を整えたり、家族にアドバイスを行いましょう。
環境を整えるという点で大切なのはベッドです。ターミナルケアの人はほとんどベッドで過ごす人が多いですので、ベッド選びには神経を使いましょう。寝返りを打てない人であれば、自動で寝返りを打てるマットレスがあります。
また、家族へのアドバイスとしては、おむつ交換の行い方、移動の行い方など介護の基本を教えるとよいですね。
サ高住ではどんなターミナルケアを行っているのか
ターミナルケアとは終末期のケアのことをいいます。延命治療を行わず、身体的にも精神的にも苦痛を与えることのない介護や看護を行い、最期までその人らしく過ごさせてあげることをターミナルケアといいます。
昔は一部の病院でしかターミナルケアを行っていませんでしたが、最近ではサ高住でもターミナルケアを行っている施設が増えているようです。
ターミナル期に入ったらサ高住の居宅から病院に移るというケースもありますが、ターミナルケアを行っているサ高住なら最期まで自分の家で家族や知人友人に見守られながら過ごすことができます。
最近では既に余命宣告をうけ、ターミナル期に入った方でも入居できるサ高住も少しずつではありますが、増えてきています。
こうした方を受け入れる施設というのは緩和ケアの体制が整っているクリニック等と連携して、入居者を受け入れるサポート体制を整えています。
自宅で過ごさせてあげたいけど環境が万全ではない、自宅に来てくれるいいお医者さんがいないなどといった事情がある人にとってもこうしたサポートが整っているサ高住はとても頼りになります。
具体的になにをするのか
では、ターミナル期に入ると医師や介護スタッフは具体的に何をするのでしょうか。
入居者の身体が衰弱死、経口からの飲水や食物が摂れない状態になったら家族と医師、施設職員でターミナルケアの方向性を話し合います。そして家族の了承を得た上でターミナルケアを行っています。医師は経過観察と指導、助言などを行うのみにとどまります。そして、亡くなった時には死亡診断を行います。
特養でターミナルケアはどのようにして行われるのか
特養ではほとんどの場所でターミナルケアを実施しています。特養で行われるターミナルケアはどのような形で行われるのでしょうか。
①安楽に過ごしてもらうように対応する
ターミナルケアは余命が近づいた人に対して行われるものです。その為無理に食事をしたり、リハビリをしたりすることはしません。できるだけ安心して楽に過ごせるように支援をしていきます。
こういった取り組みは安楽と呼ばれており、特養でのターミナルケアは基本的に安楽に過ごしてもらうようにしていきます。
安楽とは具体的にはどういったことをいうのでしょうか。
②寝ていることを楽にする
ターミナルケアの場合は、起きることはもちろんですが寝ていることも人によっては負担に感じている場合があります。適切な寝方をしないと褥瘡に繋がったり、体の痛みにつながりますので、できるだけ楽な体勢で寝てもらいます。
クッションなどを多用して楽な姿勢を作り、ベッド上でも安心して過ごせるように支援をしていきます。
③看護師と連携を取りながら行う
特養には看護師が配置されていますので、看護師と連携をとって高齢者に対してケアをしていきます。看護師からは看護上注意しなければいけない点や、介護をする上で気をつけることなどを教えてもらいます。
また、介護士からは介護をしながら気づいた点や、状態の変化があればその都度看護師に報告をしていきます。
食事に関しては栄養士が関与していますので、食事についての報告などは栄養士に行います。
リハビリの専門職はあまり関わることが少ないのですが、高齢者に無理のかからない動作を指導してもらったりなどで関わっていきます。
こういったように高齢者のターミナルケアを行う場合は、介護士を中心とした様々な専門職が包括的に関わってくることが必要になってきます。近年では特養も看護師の配置を充実しているところもありますので、ターミナルケアを積極的に行う特養も増えてきています。
ターミナルケア加算とは
要介護認定を受けた方(要支援者を除く)が医療保険や介護保険を利用して在宅でターミナルケアを受けた場合、ターミナルケア加算が要介護度の支給限度額とは別に加算されます。しかしこれは保険上の問題で、気になるのは在宅で終末期を過ごす場合、ターミナルケア加算によってどんなケアが受けられるのかだと思います。
※介護保険は1割負担がほとんどだが、医療保険を利用した場合はその方の医療保険の負担割合で利用することになります。
- 訪問看護を週4回以上利用できる
要介護認定を受けている方が訪問看護を利用する場合、通常は介護保険を使用します。しかし、介護保険は介護度によって区分支給限度額が決まっているため、他のサービスも同時に利用した場合、すぐ区分支給限度額を越してしまい、訪問看護の回数を増やすことができません。そのため、医療保険を利用することで24時間体制で緊急時はすぐに対応できるようになっています。
- 病院で行っている医療的なケアが自宅で受けられます
訪問看護を多く利用できることで、看護師の処置が必要な医療行為を自宅で行うことも可能になります。自宅で安全に行うための準備が必要になる場合もありますが、点滴や注射、経管栄養などを行うことができます。
- 自宅で最期を迎える、看取ることができる
状態が悪化してきたとき、病院に搬送するのではなく、医師に自宅まで来てもらい自宅でそのまま看取ることができます。死を迎えるとき、目の前で何が起こるのか不安があると思います。しかし、在宅での看取りを選択した時点で医師や看護師からどんな経過をたどっていくのか十分な説明を受けます。それでもいざというときには落ち着かないでしょう。そんなときはいつでも連絡をして相談したり、訪問してもらうこともできます。
在宅でターミナルケアを受けるメリット
医師から終末期であることを告げられたら、まずどこで、どんな形で最期を迎えるのかを本人と家族で話し合い決めることから始まります。最近では病院や施設ではなく、在宅での最期を選ぶ方が増えています。人それぞれ考え方は違うかもしれませんが、住み慣れた自宅で、大切な家族と共に今までと変わりない生活をすることが何よりも幸せなことだと感じるのかもしれません。
また、病院や施設はたくさんの患者や入所者の看護ケアも平等に行う必要があるため、十分な時間を割いてもらうことが難しかったり、聞きたいことやお願いしたいことがあっても声を掛けづらいという経験をしたことがあるかと思います。しかし自宅に訪問してケアをしてもらうことで、訪問看護師や介護士等を身近な存在に感じることができ、悩みを打ち明けたり時には笑ったり、残りの大切な時間を共有することができます。特に在宅でのターミナルケアは、その人らしさを尊重した「その人らしいよい最期を迎えられる」ことを目標として、個別性にあった看護ケアを相談しながら提供してもらえます。こうしてほしいと思うのは、わがままではないのです。最期までよりよく生きるための希望なのです。
誰にでもいつかは訪れる最期のあり方について、今、考えてみることは大切なことなのかもしれません。
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