帰宅願望が強い高齢者の対応
記事公開日:2015/12/11、 最終更新日:2019/02/21
目次
帰宅願望が強い認知症の方の対応方法
認知症で施設に入所している人は、人によっては帰宅願望が強い人もいます。帰宅願望が強くなってしまいますと周りの利用者も不安に思う人も多いですし、何よりもご本人もつらくなります。
①帰宅するということを否定しない
帰宅願望がある方は何らかの理由があって帰宅したいと思っています。女性であれば家族の為に食事を作らないといけない、男性であれば会社に行かないといけないなどなんらかの理由があります。
それを真正面から否定するのは、余計に症状を悪化させてしまうので止めておきましょう。まず、理由を聞いてその理由に合わして対応します。食事や家事をする為に帰宅したいという人であれば、食事は外で食べてくると言っていましたよ、今日は他の方が食事を作ってくれていましたよなどという声かけが有効です。
会社に行きたいという人であれば、今日は会社はお休みですよ、仕事は大丈夫と連絡がありましたと声かけするようにしましょう。
決して否定はしないということがポイントになります。
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②今は帰宅しないと声をかける
声かけのもう一つのポイントとしては、今は帰宅しないが、後々は帰宅するということを認知症の方に説明するようにしましょう。
例えば入所の人であれば帰宅することは難しくても、帰れないということを伝えてしまいますと余計に帰宅願望が強くなってしまいます。
声かけの例としては、今車を手配していますのでもうしばらく待ってください。食事を食べてから帰りましょう。などというように声をかけましょう。
認知症の程度にもよりますが、帰れる期待をもたしたからといってもそれをずっと覚えていることは少ないですし、落ち着くことが多いです。
③付き添ってみると何か発見があるかも
帰宅願望があまりに強い場合は、一度行動を本人に任して職員が後ろから付き添うようにしましょう。そうすることによって、高齢者をある程度は納得することができますし、新たな反応を見せることもあります。一概に帰宅願望を抑えるのではなく、様々な方向からアプローチしてみることも大切なことです。
帰宅願望が強い人へのケアプランの作り方
帰宅願望が強い人へのケアプランはどのようにして作成していけばよいのでしょうか。
①ニーズは本人の話していることを記載する
ケアプランにはニーズを書く欄があります。ケアプランとしてはここが一番の起点であり、このニーズをもとにサービス内容を作成していきます。
そのため、このニーズは非常に大切なものですので、きちんと対象高齢者の希望を入れるようにしましょう。
おそらく自宅に帰りたい、家族に会いたいというのがニーズになることが多いです。
②どうなりたいのか、高齢者に確認していく
ケアプランには必ず長期目標、短期目標が必要です。また、これはニーズに基づいたものになりますので、帰宅願望に合した長期目標、短期目標が必要になってきます。
しかし、実情として自宅に帰りたい希望があったとしても、それを目標にすること、実現させることは非常に難しいと思います。また、本人が帰りたいと思っていても家族がそれを拒否する可能性があります。
そういったことを考慮して長期目標、短期目標を決めていくことが重要なことになります。
長期目標短期目標は精神的な落ち着きを記載するとスムーズに書くことができます。
③サービス内容やその他の注意点も記載していく
サービス内容としては、どのようにしたら落ち着いて過ごしてもらえるのか、工夫の仕方を書くようにしましょう。
例えば、将棋が好きで、将棋をしている間は落ち着くのであれば「将棋をしてもらう」と記載、料理が好きで料理をしている間であれば集中できるのであれば「料理の声掛けを行う」といったように記載していきましょう。
また、ケアプランにはその方の注意点も書くようにしましょう。
夕方になれば帰宅願望が強くなる、家族が来た後は帰宅願望がつよくなるなどの特徴があれば記載するようにしましょう。
事例からみる帰宅願望の対応
軽度および中等度の認知症患者の周辺症状のひとつに、帰宅願望というのがあります。施設に入所していたり、デイサービスに通所中のこともありますが、自宅にいても「帰りたい」と言い出すことがあります。こんな時、どう対応したらいいのかを事例から探ってみましょう。
77歳のAさんの場合
Aさんは他県に住んでいる77歳の女性で、夫は3年前に他界して、その後一人暮らしをしていました。訪ねてみると様子がおかしいのを心配して、都心部に住む長男夫妻が自宅を改修して2年前から同居しはじめました。
長男は日中は仕事に出ているので、Aさんはおもにお嫁さんと過ごしています。もの忘れはかなりありましたが、最近になって「家に帰りたい」と言うようになりました。他県にある実家はすでに処分しており、今はここが家だと何度言っても聞く耳をもたず、夕方になると荷物をまとめて出て行こうとします。Aさんは歩行がおぼつかなくなっているので、危なくて目が離せません。
専門家の意見を聞く
Aさんは2年前からもの忘れ外来に通院していたので、主治医とケアマネージャーに相談しました。すると、帰りたい気持ちを否定せず、Aさんの訴えをきちんと聞いて、その上で話を変えて気をそらしたりしてみたらどうかとアドバイスを受けました。
そこで、Aさんが帰ると言い出したときに、どこへ帰りたいのかを聞いてみると、他県の実家ではなく、Aさんが生まれ育った故郷の話をはじめました。そこは数十年前になくなっている家でした。
帰宅願望の対応
お嫁さんは、Aさんが荷物をまとめて帰ると言い出したときに、「では気をつけて帰ってね」と言ってみました。Aさんは丁寧にあいさつをして玄関に向かったので、そこまで送ると言ってついて行ってみました。10分ほど歩くと、Aさんは「帰る」と言って家に戻ろうとします。
しばらく、このやりとりがルーチンとなり、そのうちAさんは「帰りたいけど寒い」「暗い」など外にでない口実を言い始めたので、現在はお茶を飲んで気を休めると落ち着くようになりました。このように、Aさんの訴えを聞いて、一緒に行動してみると、Aさん自身の気持ちがほぐれて、不安や焦燥感がなくなり落ち着きを取り戻します。家族がAさんにどうしてほしいか、ではなく、Aさんが何をしてほしいのかを、Aさんと一緒に考えることが、事態を好転させるひとつの方法とまりました。
帰宅願望の理由と対応
認知症の周辺症状で、身近な家族が手を焼く症状のひとつに帰宅願望があります。本人は「家に帰りたい」と訴えるのですが、デイサービスや外出先だけでなく、自宅にいても訴えることがあります。ほとんどは、夕方になって日が暮れる頃に始まります。夕時の忙しい時間帯に起こることが多いため、自宅介護をしている家族にとっては困り果ててしまいます。
帰宅願望の理由
帰りたい理由は人それぞれですが、根底にあるのは不安感です。デイサービスで、お昼時や夕方のお迎えの時間など、せわしなく人が動く時間帯には、どうしていいかわからなくなり落ち着かなくなります。自宅介護していても、急な来客や、普段と違って慌ただしくなると帰宅願望が出てきます。
どこに帰りたいのか聞いても本人にもわからず、ここは自宅だと言い聞かせても帰ると言い張ることがあります。本人が帰りたいのは、落ち着ける「家」であって、幼少期に両親と過ごした安心できる我が家のことかもしれません。10年以内に自宅改修していたり、新しく子ども夫婦が同居していたりすると、自分の居場所がなくて自宅ではないと思い込みます。
帰宅願望の対応
帰りたいと言ったら、否定せずに話を聞くとよいでしょう。本人の興味のある大好きな話題に話を振るのもひとつの方法です。
しかし、それでも「帰る」という発想から離れない場合は、15分ほど外を散歩してみると気が紛れるかもしれません。夕方になったら、暗くなる前にカーテンを引いて部屋を明るくするとよいでしょう。視力が落ちて、認識力も低下しているので、夕暮れ時は認知症患者にとって落ち着かない不安な時間になります。
帰宅願望の対策
まずは、安心できる居心地のいい場所を作ることが重要です。ごちゃごちゃと物が多くて、何をしていいのかわからなくなるような環境は避け、落ち着いてお茶を飲んだり横になれる空間を作りましょう。「ここにいていいのだ」と安心できれば、帰宅願望より別の事に興味が移っていきます。ケンカをしたり、本人の不安を煽るような言動は避けましょう。
施設を効率よく探すには?
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信頼できる施設のスタッフときちんと連携をとっているので、自宅への執着が強い方も安心しておまかせできますね。
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