「スクラップ・アンド・ビルド」を読んで
記事公開日:2015/12/11、 最終更新日:2018/07/12
健斗の介護でじいちゃんはどうなる??
華々しくマスコミに取り上げられた「火花」の陰で、芥川賞を同時受賞した「スクラップ・アンド・ビルド」。読みやすく、興味深い作品です。
28歳の健斗の家に引き取られてきたじいちゃんは87歳。母は仕事を抱えていて忙しく、じいちゃんへの対応はなかなか手厳しく……。あちこち体の不調を訴え、背中を丸めて「早う迎えにきてほしか」とつぶやく祖父のセリフは、耳にタコ。最初は祖父の訴えに同情し、あちこち病院を走り回っていた健斗も、致命的な病は何もないと知り辟易します。そして健斗は真剣に筋トレに励んで強靭な肉体をつくり、再就職活動中であるにもかかわらず甲斐甲斐しくじいちゃんの世話をはじめます。じいちゃんが体を使う機会を奪い、弱ったじいちゃんが待ち望んでいる尊厳死を迎えることを目指すのです。
じいちゃんから筋肉を鍛える機会を奪おうと徹底的に世話した結果、やがて健斗はじいちゃんの本心に気付いていきます。「死にたくはない。生きたいのだ」と…。
とてもユーモラスな筆致で描かれていますが、じいちゃんの言葉や行動はまさにお年寄りの一つの典型。健斗の行き過ぎた介護は、お年寄りから生きるための筋肉や力を奪うものだと気づかされます。自らを苛め抜いて筋肉を鍛え上げる健斗と、じいちゃんの弱々しい身体は対極にあります。
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不調の訴えや「早く死にたい」という言葉は振り向いてほしいから、決して本心ではありません。「じいちゃんのことは気にせずがんばれ!」、真剣にじいちゃんの介護と向き合った健斗は成長し、新たな仕事に向かって旅立っていきます。介護にいま関わっている人、これからの介護を控える人、あるいは若い世代。誰にとっても考えさせられるものがある作品だと感じます。
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