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がんと向き合って、自分らしく生きるためのケア

記事公開日:2015/12/24、 最終更新日:2018/07/12


がんと向き合って、自分らしく生きるためのケア

がんと向き合って、自分らしく生きるためのケア

 

医療が発展し、救える命が増えた反面、長期間の治療による痛みや自分の今後に対する不安を感じる患者さんが増えてきました。病気の治療がうまく行っていても、苦痛があると日常生活を楽しく過ごすことはなかなか難しいでしょう。病気そのものの治療はもちろんですが、病気を持ったその人自身と向き合う医療があります。

 

①がんと診断されたときからはじまるケア

がんと診断されたときに、がんの治療と共にはじまるな緩和ケアというものがあります。これは、がんに対する治療だけではなく、がんに伴って起こる様々な苦痛を和らげるためのケアです。

がん患者さんは、治療による吐き気や倦怠感、痛みなどの身体的な苦痛、落ち込んだり悲観的になってしまう精神的な苦痛、迫りくる死への恐怖、家族に対する思いや自分自身の生き方に対する思いや迷い、金銭的な問題、宗教や霊的な不安や問題など、痛みだけではなく人それぞれ様々な苦しさを感じています。その苦しさに対して様々な方向からケアや支援を行うことで、生活の質を向上させて自分らしく過ごせることを目的としています。

 

②緩和ケアに関わる多職種

最近では、院内に緩和ケアチームを設けている病院が多くあります。このチームには原因疾患に携わる医師をはじめ、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどの職種が在籍しています。それぞれがその専門性を発揮して様々な方向から患者さんのケア、支援を行います。

そして、患者さん、その家族も緩和ケアチームの一員なのです。これだけの多職種が集まっても、一方的な関わりでは患者さんにとって必要なケア、支援を提供することができません。患者さんが感じている苦しさや不安、思いを伝えることで、初めて専門的な知識や技術が活かされるのです。

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③死を迎えるただけのケアではない

緩和ケアというと、これ以上の治療ができないため死に向かうまでの終末期におけるケアであると思いがちです。そのため、がんと診断されても緩和ケアを避ける患者さんがいます。しかし、緩和ケアは終末期に限らず、がんの治療で現れる症状などの苦痛を緩和することを目的としており、がんと診断された時点から行われるべきケアなのです。

がんは日本人の死因でもっとも多く、治療が成功した後も再発、転移の心配があり、何年かかけて経過観察をしていく必要があります。患者さんはその間ずっと何らかの苦痛を感じながら生活していかなければなりません。その苦痛に寄り添い、少しでも苦痛のない状態で、自分らしい生活が送れるように支援するのが緩和ケアの役割です。再発の不安、薬の副作用の心配、ときには家庭に起こったよくある問題など、どんなことでも緩和ケアのスタッフに伝えていきましょう。病気だけをみるのではなく患者さん自身と向き合っていくのが緩和ケアなのです。

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