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脳卒中の介護は大変?

記事公開日:2016/01/08、 最終更新日:2019/02/21


脳卒中の介護は大変?

脳卒中とは総称です

脳卒中とは、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血の総称です。出血や梗塞により、かなり広範囲に脳の機能を障害され、四肢麻痺や言語障害、嚥下障害など重度の後遺症が出るケースが多くあります。脳のどの部分を障害されたかにより、後遺症の種類が異なります。

脳卒中は、脳の半分近くが障害されるケースが多いため、複数の後遺症を重複して持つ傾向があります。そのため、たとえば食事介助をするにも、嚥下障害は当然のこと、運動機能障害と言語障害も加味した介護が必要になります。

 

脳卒中は突然起こる

くも膜下出血や脳出血は、徐々に進行する認知症とは違い、ある日突然倒れて救急搬送されるケースがほとんどです。本人の意識が戻った時には重度の麻痺や障害があり、生還した喜びから一転、この先どうしたらいいのかと途方に暮れて戸惑ってしまいます。

本人も家族も戸惑っているのに、周囲の状況がついていけない早さで移ってしまうのも原因のひとつです。救急搬送された病院は、意識が戻った時点で退院を勧めてきますし、次に移ったリハビリ病院でも、ようやく軌道に乗りそうな時期になると自宅退院の話を切り出されます。

一度にいろいろな事が起こっててんやわんやのうちに自宅退院するので、介護に対する覚悟や知識が不足したまま介護生活に突入してしまいます。そうならないように、どこかの時点できちんと気持ちの整理をすることが大切です。リハビリ病院から老健を経て自宅退院をする方がよいでしょう。老健入所中に、施設職員がゆっくりと相談に乗ってくれるので、ゆとりを取り戻すことができます。

 
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脳卒中の介護は大変?

脳卒中でも認知症でもその他の病気でも、介護する内容にほとんど違いはありません。それぞれの病気の特性から、介護の方法やアプローチが少しずつ異なることはありますが、基本的なスタンスは変わりません。それでも脳卒中の介護が、他よりも大変に思えるのは、健康だった人がある日突然重介護になるケースが多くあるからでしょう。

 

脳卒中の介護の留意点

脳卒中は、重度の後遺症によって、日常生活にさまざまな不自由を来たします。ひとりで生活できないケースの方が多く、介護の重要性が高い病気です。しかし介護とは、単に本人の動作を手伝えば良いというものではありません。それでは、脳卒中の後遺症により介護が必要な場合、どのような点に留意したらよいでしょうか。

 

①リハビリを兼ねて、出来る範囲は自分で

脳卒中の場合、運動機能回復のためのリハビリは欠かせません。ところで、リハビリは病院でしかできないものではなく、日常生活の中でも積極的に動くことで、運動機能は回復します。とくに、日常生活動作というのは、普段あたりまえのようにする動作ですから、リハビリ室で器具を使うよりもずっと生活に即したリハビリと言えます。

手足に麻痺がある場合、動きを取り戻すには、かなりの時間と忍耐と努力が必要です。介護者としては、本人に任せると時間がかかってしょうがないので、ついつい手を出してしまいがちですが、服を着たり箸を持ったりするのは、おぼつかなくても本人自身の力で出来るようにしましょう。

 

②体の自由が利かなくなることによるうつに注意

脳卒中は、ある日を境に突然、体の自由がきかなくなります。リハビリは大変で、努力をしても先が見えない絶望感にさいなまれることもあります。食事から排泄まで、人の手を借りないと出来ない事に一番みじめな思いをしているのは本人だということを、常に念頭に置いておくことが重要です。介護は大変ですが、それを本人にぶつけることだけは禁忌だと戒めてください。うつ状態になると、食欲も気力も落ちて、ちょっとしたきっかけで重大な事故や過失を招きかねません。リハビリも大切ですが、発破をかけすぎてストレスになる危険性も孕んでいます。

本人の表情や態度にも注意を向けて、ひとりよがりな介護にならないよう常に本人と二人三脚で進めていくことが重要です。
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③介護は複数で行い、安全を確保する

夫婦や親子など2人暮らしの家庭や、子どもや親兄弟が同居していても配偶者に介護を任せっきりにすると、介護者が疲れ果ててしまいます。家族が遠方にいても、月に数回は顔を出して介護に参加するよう心掛けましょう。

家族が介護に対して共通の認識を持っていると思うだけでも、介護者にとって心強いものです。経過観察で受診の日などは、できるだけ複数で付き添って、医師の話をみなで聞くようにすると良いでしょう。

また、介護保険サービスを使って、介護が1人に集中しないようにプランを立てることも必要です。介護者の大丈夫という言葉を鵜呑みにせず、介護をきっかけに家族の在り方を見つめ直してみましょう

大変なのは、介護より受容

脳卒中になると、今まで何でも自分で出来ていたことが、ある日を境にまったくできなくなる、という事態に陥ります。介護される側も、する側も、なぜこんなことにという思いが先に立ってしまい、お互いにストレスを感じて状況が悪化しがちです。

いきなり重介護の家族が増えて今までとは生活が一変するので、介護に追われながら気持ちの整理ができずにわだかまってしまうことが、一番の問題です。

まずは「以前は出来たのに」という気持ちを捨て、現状と未来だけを見るように切り替え、昨日できなかったことが今日できるようになったことを喜ぶ気持ちを常に持つように心がけるとよいでしょう。

脳卒中で後遺症があるが、どんな介護施設がいいか

脳卒中を起こすのは、何も高齢者だけではありません。より重篤な症状になるのは、40代や50代の若年の方が多いかもしれません。

自宅だと老老介護になったり、働き盛りの配偶者と就学中の子どもだけの家庭だったりと、自宅介護が難しいケースも多々あります。介護施設への入居を検討しているけれど、どんな施設が合っているのでしょうか。

 

発症から半年以内ならリハビリ病院か老健

脳卒中による後遺症は、リハビリによって回復するケースが多々あります。発症してからリハビリ開始が早ければ早いほど、回復できる幅が広いといわれています。

著しい回復を見せるのが、だいたい3ヶ月ぐらいですが、その後も徐々に回復を見せ、2年ほどで症状が固定します。救急搬送された病院で命の危険を脱したら、リハビリ病院への転院を考え始めましょう。リハビリ病院は、発症から日が経っていない方が受け入れがスムーズですし、早くリハビリを開始した方が回復の見込みが高まります。

症状がリハビリ病院に該当しない場合、またはリハビリ病院での入院期間が終了した場合は、老健を探しましょう。老健は、生活が中心の施設ですが、自宅に退所するためのリハビリを行う施設でもあります。老健に入所するためには介護保険の申請が必須なので、入院中に早めに手続きをしておくことが重要です。

 

認知症専門病院または精神科病院

脳卒中の後遺症は、四肢麻痺や言語障害だけでなく、せん妄などの精神症状が強く出ることもあります。興奮して大声を出す、壁を叩く、うろうろと徘徊するといった症状がある場合、リハビリ病院・老健・介護付き有料ホームへの入居は困難であると同時に、リスクも高くなります。

というのも、興奮状態にある場合、精神科専門でない職員では対処の仕方がわからず、かえって興奮が強くなったり、抗精神薬の処方がうまくいかなかったりすると、他の利用者との重大なトラブルに発展したり、転倒して二次災害が起こったりします。

せん妄がある場合は、すみやかに精神科に入院し、適切な薬物治療を行いましょう。精神科の薬は、人によって効果の出方が異なります。3ヶ月から半年は薬の調整に時間がかかると考えておくとよいでしょう。

 

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症状がある程度固定したら介護付きホーム

リハビリも終了し、せん妄もなくなったら、ゆっくりと長期間過ごせる介護付きホームを検討するとよいでしょう。

歩行可能でも不可能でも対応できますし、食事や入浴など日常的な介護はもちろんのこと、散歩や屋外レクリエーションなどもできて自宅に近い環境で過ごせます。

歩行可能な場合はグループホームも考えられますが、グループホームはアルツハイマー型の認知症の方が多く、脳卒中の方とは生活のリズムや病気のタイプが異なりますので、少人数制の施設だと脳卒中の方が異質に見えるかもしれません。

脳卒中の方は、心臓疾患や高血圧など慢性疾患を抱えているケースが多いので、クリニックが併設されているような介護付きホームの方が、より安心できるでしょう。

脳卒中の後遺症、介護のポイントは?

脳卒中では、脳の広範囲に障害が及ぶため、さまざまな後遺症が出現します。症状はひとつだけでなく、大抵の場合は複数の症状が重複します。後遺症として多くある症状について、介護するときのポイントを考えてみましょう。

 

①後遺症その1 四肢麻痺

両手足すべてに麻痺が残るケースもありますが、多くは右か左かどちらか半身麻痺が残ります。右手と右足、または左手と左足といったふうに同じ側の手足が動かないので、まず歩行が困難になります。

たとえば足を骨折した場合は、松葉杖をついて歩けますが、杖を持つ手も麻痺があるため使えません。麻痺側を人が支えて介助するか、歩行器を使用するか、日常的には車椅子を使用するか、いずれかの介助が必要になります。片側に力が入らないので転びやすくなるのも注意すべき点です。

歩行だけでなく、日常の簡単なはずの動作もかなり大変になります。片手が完全に麻痺していると着替えにも介助が必要なので、朝晩の着替え以外にも排泄のたびに介護を要することになります。片手でも着やすい前開きの服に、ボタンをマジックテープに付け替えて、1人でも着替えられるような工夫も必要になります。

 

②後遺症その2 言語障害と嚥下障害

食事とコミュニケーションは、日常生活の中でも重要な位置を占めます。言語障害にはいくつか種類があり、脳の障害された部位によって後遺症が異なります。

ひとつは、声がうまく出せず、喋り出すのに3秒ぐらいかかり、呂律が回らないので何を言っているのか聞き取りにくいタイプです。

これは、本人は周囲の言葉をきちんと理解しており、自分の言いたい事もしっかりわかっているのに言葉が出ないので、本人が大変もどかしい思いをしています。このタイプは、焦らずゆっくり話を聞き、こういう事を言いたいのかと口を挟みながら会話をします。歌にするとスムーズに歌える場合があるので、喋らず言いたい事を歌ってみてと言うと会話できることもあります。

別のタイプでは、流暢に話すけれど言っている内容が支離滅裂になります。「ごはん」と言いたいのに「ふとん」と言っていたりするので、ジェスチャーやイラストなどを交えて会話すると、なんとなく話の繋がりが見えてきます。

どういう介護をしてほしいのか、本人がうまく言葉に出せないのですれ違ってしまいがちですが、障害の特徴を掴んで、うまくコミュニケーションをとる方法を考えるとよいでしょう。

嚥下障害は、お茶などですぐにむせて、気管に異物が入りやすくなっています。水っぽい食事を避け、とろみをつけたり、飲みこみやすいように一口大にするなど、食事の内容にも気を付けましょう。
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③後遺症が残っている場合の介助方法

どんな病気の介護もそうですが、まずは病気の特性を知ることです。できない事や、なぜそんな行為をするのかは、病気のどの部分がそうさせているかを知ることで、賢い対応や充分な対処ができるようになります。

CTやMRIの画像を見せてもらいながら、医師に説明してもらうと良いかもしれません。脳は複雑で、一度で理解できないこともあります。配偶者だけに任せず、子どもや兄弟なども集まって、みなで共通理解し合えると、気持ちの上でも随分と楽になります。介護は家族全員が一丸となって行うように心掛けましょう。

施設を効率よく探すには?

男性に多く、突然起こるかもしれない脳卒中。ある日突然介護を強いられる家族は大変です。老人ホームや介護施設への入居を検討するならこちらから無料で相談可能です。
リハビリの対応や要介護度、持病など様々な条件からピッタリの入居先をご提案可能です。

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