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機械浴とは

記事公開日:2016/01/18、 最終更新日:2019/11/08


機械浴とは

サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど介護施設への入所を考える際に注目して欲しい設備に入浴設備があります。介護施設の入浴設備にはいくつかの種類があり、どのような入浴設備が導入されているかによってどれくらいの身体レベルの高齢者を受け入れることが出来るのか、利用者にどれだけ安全な入浴サービスが提供できるのかは違ってきます。

ここでは介護が必要な方を対象にした入浴設備「機械浴」について説明します。

機械浴とは

機械浴とは入浴動作や座位の保持が出来ない方、寝たきりの方でも安全に入浴できるように、寝たままや座ったままの状態で入浴できる特殊な機能がついた浴槽のことを言います。ストレッチャーから担架をスライドさせてそのまま入浴できる機能や、専用の椅子に座ったまま入浴できる機能、リフトを使って入浴できる機能、浴槽が昇降する機能などがついており、寝たきりの方でも安全な入浴がおこなえます。老人保健施設や特別養護老人ホームといった要介護度が高い方を受け入れる介護施設には必ず設置されている設備です。
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入浴設備の種類

①一般浴

歩行可能で入浴動作可能な方を対象にした入浴設備を一般浴と言います。大きな介護施設では銭湯や温泉にあるような大きな浴槽があり、複数の人が一緒に入浴できるようにしています。もちろん、手すりが各所に設置されており利用者は手すりを利用して安全に入浴がおこなえるようになっています。

グループホームや小規模な老人ホームなどでは家庭的な小さな浴室が設置されています。このような浴室も一般浴であることにかわりはありませんが、一人ひとり入浴をおこなう場合には「個浴」と言われます。個浴は一人ひとり入浴するためプライバシーの確保がしやすく、裸になることに抵抗がある方でも利用しやすいというメリットがあります。

②機械浴

介護が必要な方が寝たままや座ったままの状態で入浴できる機能がついた浴槽を機械浴といいます。施設によっては特殊浴と表現されていることもあります。幅広い要介護者に対応できるためストレッチャーから担架部分をスライドさせて寝たまま入浴できるストレッチャー浴が最も多く、体を洗う介護もストレッチャーに寝た状態でおこなうことが出来ます。

専用の椅子に座った状態で入浴する機械浴をチェアー浴と言います。浴槽の壁が開き椅子ごと入浴する仕組みとなっており、椅子が上下しないため安定感があり利用者は安心して入浴できます。足を上げるなどの入浴動作は出来ないものの、椅子での座位が安定している方に向いている機械浴です。

リフトを使った機械浴のことをリフト浴と言います。リフトの座部に腰かけ、リフトを昇降することで入浴します。チェアー浴と同じく入浴動作はむずかしいものの座位が安定している方が利用対象になります。リフトには一般的なよくそうに後付けできるタイプのものもあり、ご自宅に住宅改修で取り付けている方もいます。

機械浴のメーカーと代表製品

機械浴を販売しているメーカーはたくさんありますが、導入している施設が多い代表的な3社を紹介します。

①オージー技研

リハビリ機器や物理療法機器、介護入浴機器を主力販売している医療機器メーカーです。機械浴の代表製品はGiust(ジュスト)という製品で寝たまま入れる豊富な機能を搭載しながらも3m×3mというコンパクトなサイズで設置しやすくなっています。180cmくらいの人までなら足を伸ばした状態で入浴でき、介護者も腰をかがめることなく介護することが出来ます。ちなみに価格は税抜きで1261万9000円とのことです。

②酒井医療

介護浴槽やリハビリ機器に力を入れているメーカーでスポーツサポートにも力を入れているメーカーです。機械浴の主力製品にストレッチャー浴の「ロベリアプラス」があり、入浴介助の労力を大幅に軽減してくれるストレッチャーのオートスライド機能や、操作しやすい操作ボタンやリモコン機能、介助しやすい浴槽フォルムが特徴となっています。

③アマノ

昭和41年にそれまでなかった「天野式特殊浴槽」を発売し、日本の介護バスの歴史を築いてきた歴史ある介護バスメーカーです。機械浴の代表製品に「マリンコートリモ」があります。コンパクトサイズのハイスペック浴槽となっており、シャワーチェアーとストレッチャーの両方に対応しています。浴槽が30cm上昇、担架が15cm下降するダブルアクションシステムとなっており、浴槽が介護者が介護しやすい93cmの高さになるように設計されています。

機械浴のメリット・デメリット

①メリット

機械浴の一番のメリットは寝たきりの方や座位が取れない方でも安全な入浴が可能となるということです。不衛生な状態は感染症や褥瘡の原因となりますし、べたつきやかゆみといった不快感で生活の質を大きく低下させます。機械浴で入浴することにより介護度が高い方でも清潔を維持することができます。

介護者にとっても大きなメリットがあります。入浴動作が難しい方を無理して一般浴で入浴させようとすると大きな介助量が必要になります。また、充分な安全を確保することが難しく手が滑るなどのトラブルで大事故につながる可能性もあります。介護者の介護量を軽減できるという意味でも機械浴は有効です。

②デメリット

機械浴のデメリットは介護される方に恐怖や不安を与えてしまう可能性があると言うことです。体が自由に動かせない状態でお湯の中に入れられると言う行為は恐さを感じるものです。介護者はその点を理解し、丁寧な声かけやゆっくりとした操作で要介護者に恐怖や不安を与えないように介護しなければなりません。

機械浴を利用される方は基本的に全介助のため、プライバシーへの配慮がおろそかになりがちです。他の方の目に触れることがないようにシャワーカーテンをしめたり、タオルで裸を隠すようにするなど要介護者の尊厳に配慮する必要があります。

機械浴を利用する方の中には声を出せない方や感覚麻痺がある方もいます。そのため、お湯の温度に関しては厳しい管理が必要です。温度計を確認するのはもちろん、介護者が直接手をつけて温度を確認することが必要です。

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機械浴を利用する際の注意点

①機械や操作に関する注意点

機械浴を使用する場合には事前に機械の動作確認をし、ストレッチャーなど付属の物品に破損や故障はないか、きちんと清掃されているかなどを確認しましょう。

②介助方法に関する注意点

先ほども説明したように利用者へのプライバシーへの配慮は大丈夫か、お湯の温度に問題はないかを確認しましょう。要介護者の表情には常に気を配り不安や恐怖を与えない介助を心がけましょう。

③要介護者の身体状況に関しての注意点

入浴は寝たきりの方にとって負担がかかる行為です。入浴前の健康チェックをしっかりとおこない、必要に応じて看護師の指導をあおぐようにしましょう。入浴時には皮膚状態を確認し褥瘡がないかを確認します。骨が出ている部分などに皮膚の発赤を見つけたら褥瘡のサインです。褥瘡は早期発見し早期に治療を開始することで悪化を予防できます。また、入浴中の無理な体勢は皮膚を傷つけたり関節を痛める原因となるので注意しましょう

 

入浴することは体を清潔に保つとともに精神面にも良い影響をもたらします。機械浴を使えば体が不自由な状態になっても入浴が行えます。介護施設を選ぶ際には老人ホームにどのような機械浴が設置されているのかにも注目してみてください。
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