介護におけるキーパーソンの役割
記事公開日:2016/01/19、 最終更新日:2019/11/08
ケアマネや介護施設において新しくケアプランを作成する際、必ず確認されるのがキーパーソンです。利用者は高齢で自分自身ですべてのことをおこなうことは難しく、契約手続きや緊急対応、方針の決定、料金の支払いなどにおいてキーパーソンの存在が重要となるからです。
ここではケアマネや介護施設が円滑にサービスを提供する際にかかすことが出来ないキーパーソンについて考えてみます。
目次
キーパーソンとは
キーパーソンには「問題解決の鍵を握っている人」「物事の鍵を握る中心人物」と言う意味があります。介護分野においては利用者の意思決定の確認をしたり、緊急時に連絡を取ったり、要介護者の介護方針を決める際に相談する重要人物のことを指します。
ほとんどのケースでは家族や親族の中から選択されます。以前は娘や嫁など女性が多かったですが、近年では息子など男性がキーパーソンとなるケースも増えてきています。
キーパーソンは介護をしなくてはいけない?
では、キーパーソンに選ばれると介護をしなければならないという義務が発生するのでしょうか。
キーパーソンは先ほども説明した通り、利用者本人に意思決定能力がない場合に家族の代表として意思決定の確認をしたり、緊急時に連絡を取ったり、治療方針を決める際に相談する相手のことです。キーパーソンに法的な義務は何もないので、介護を提供しなければならないことはありません。また、利用者本人にトラブルがあったからといってキーパーソンが保証をしなればならないということはありません。
そもそもキーパーソンは連帯保証人のような書類を交わして契約するものではありません。ケアマネや介護施設側が利用者に最適なサービスをスムーズに提供するため、連絡が取りやすく相談しやすい相手を便宜上キーパーソンとしている設定している場合も多く、キーパーソン本人が自分がキーパーソンだと認識していないケースもあります。介護を提供するのは介護施設の仕事であり、キーパーソンだからといって何か義務が生じることはありません。
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キーパーソンの役割
①事務的な手続きや利用料金の支払い
介護サービスを利用する際には各種の契約書類への記入や料金の支払いが必要です。介護施設などでは基本的にキーパーソンに書類への記入や料金の支払いをお願いすることが多いです。
②緊急時の連絡
高齢者には急な体調不良や転倒による事故など緊急事態が起こりえます。緊急時にはキーパーソンに連絡を取り状況を説明したり、入院が必要な場合には必要な手続きをすぐにおこなってもらえるようお願いします。
③ケア方針の決定
施設ではケアプランを作成しケアプランにそった介護を提供します。利用者本人に説明するのはもちろんですが、高齢者の場合には認知症がある場合も多いので家族を代表してキーパーソンにもケアプランの説明をおこないます。トラブルを防ぐためにも納得してもらった上で介護サービスを提供します。
④利用者本人や他の家族との仲介
利用者に問題行為などがある場合、介護スタッフがお願いしても聞き入れてもらえないケースがあります。そのようなとき家族であるキーパーソンに説得をお願いするとスムーズに問題解決できる場合があります。
利用者に多くの家族がいる場合、介護施設側が全ての家族にケア方針の説明などをするわけにはいきません。キーパーソンに代表して説明し、家族間の連絡はキーパーソンにお願いをします。
キーパーソンに適している人
①施設への訪問が多く連絡が取りやすい
面会など施設への訪問が多い家族とは連絡が取りやすく、スタッフとの信頼関係がきずきやすいためキーパーソンに向いています。また、実際の現場の状況をよく知っているため説明を理解してもらいやすく、相談やお願いをした際にもスムーズに話が進みます。まったく訪問がない方は状況を把握できていない場合も多く、キーパーソンには不向きです。
②利用者本人や他の家族との関係が良好
キーパーソンには利用者本人や他の家族との橋渡しの役割を期待しています。この方に説明すれば利用者本人や他の家族にも話が通るという方がキーパーソンに向いています。
③施設を退所した場合にその後の在宅介護を担当する人
老人保健施設などの生活リハビリを提供する施設では、在宅復帰を前提として入所されるケースが多いです。そのような場合には在宅復帰後に実際に介護をする家族をキーパーソンにしておくと退所手続きや退所にあたっての在宅サービスの調整などがスムーズに進みます。介護方法などのアドバイスも効率的におこなえます。
身寄りがない場合はどうなる?
近年は1人暮らしの高齢者が増えており、家族や親族といった身寄りがいないケースは多いです。さらに、家族関係が希薄となっているケースも多く、本人が家族の支援を希望しないケースや家族が協力を拒否するケースもあります。このようなケースでは説明したような役割を担ってくれるキーパーソンを決めることは簡単ではありません。
そのようなときはスタッフの中にキーパーソンの役割をする人を作る場合があります。もちろん、契約や金銭的な手続きを代理しておこなうことはできませんが、利用者と信頼関係があるスタッフをキーパーソンとしてサービスを提供することで、利用者は安心して介護サービスを利用できます。
また、ケアマネと利用者の間に信頼関係がある場合にはケアマネをキーパーソンとして活用する場合もあります。ケアマネとの連絡をしっかりととっておくことで、急な入院が必要となった場合や退所する場合に必要な手続きや新たなサービス調整がスムーズにおこなえます。
キーパーソンがいなくても施設に入れる?
ほとんどの老人ホームでは身元保証人(身元引取人)が契約時に必要となっています。介護付き有料老人ホームでは約9割、住宅型有料老人ホームでも8割以上の施設が身元保証人が必要と回答しています。法的な義務がある身元保証人とそうではないキーパーソンとはもちろん異なりますが、身元引受人とキーパーソンは同じ人物が引き受ける場合が多いですし、キーパーソンがいない状況では、身元引受人を見つけることは簡単ではなく、施設入所は難しいということになります。
介護施設で身元引受人やキーパーソンが必要とされるのには以下のような理由があります。
①利用料などの支払いの経済的な保証
介護施設に入所すれば必ず利用料が発生します。利用者本人は高齢ですし、身体機能が低下し歩くことが難しくなったり、認知症の症状が出れば自分で支払いをすることは出来ません。確実に利用料を支払ってもらう為にも身元引受人は必要になります。
②施設内で事故や病気、亡くなる事があった場合の連絡先
施設内では介護スタッフが見守りをしているものの、どうしても事故や急病により入院が必要になるケース、心臓に持病がある方や終末期を過ごしている方の場合は急に亡くなるケースもあります。そのようなときの連絡先として身元引受人やキーパーソンは必要です。
③死亡後の手続きや身柄の引き取り
介護施設で利用者が死亡した場合には役所への手続きや葬式の手配、身柄の引き取りなどが必要になります。また、施設との契約が終了となるため荷物の片付けや利用料金の精算をおこなってもらわなければなりません。
成年後見人と身元保証人は異なる
施設によっては成年後見人がいれば入所できるところもあります。しかし、基本的に成年後見人と身元保証人は違います。成年後見人の一番の仕事は利用者本人の財産を管理することです。利用者の財産から利用料を支払う手続きはおこないますが、本人に支払い能力がない場合に代わりに支払いを保証する義務はありませんし、死亡と同時に後見は終了するため死亡後の手続きをおこなってもらうことは出来ません。
キーパーソンがいないときの対処法
では身元保証人となってくれるキーパーソンがいない場合にはどうすればよいのでしょうか。近年は未婚の方も多いですし、離婚した方や配偶者と死別した方、家族や親族に頼れない方も多いです。キーパーソンがいない場合の対処法には次のような方法があります。
①身元保証人が必要ない施設を探す
ほとんどの施設が身元保証人を必要としているものの、すべての施設がそうなわけではありません。近年の高齢者向け賃貸住宅などでは保証人不要の賃貸契約保証制度を導入しているところも増えてきています。
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施設によっては入居の際に保証人の代行支援をしている企業や団体を紹介してくれるケースもありますし、高齢者住宅財団が実施している高齢者家賃債務保証制度が利用できる場合があります。
②身元引受人サービスや保証会社を利用する
民間企業の中には家族に代わって身元引受人や保証人を代理で引き受けてくれるサービスをおこなっているところがあります。入居時の手続きをサポートしてくれるほか、入院が必要な際の手続き、財産管理などをおこなってくれます。もちろん有料ですし、サポート内容は会社によって異なるため元気なうちに内容をしっかりと確認して契約しておかなければなりません。
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