ALSの方でも老人ホームに入所することができるのか
記事公開日:2016/02/29、 最終更新日:2019/02/20
目次
ALSという病気
一般的にはあまり知られていない病名ですが、ALSという病気があります。
ALSは脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える働きをしている運動ニューロンが侵される病気で、正式には筋萎縮性側索硬化症といいます。
ALSは難病に指定されており、日本には現在8300人前後の患者がいます。
ALSの症状についてさらに具体的に紹介します。
ALSになると筋肉を動かしづらくなり、筋肉が次第にやせ細ります。歩いたり、物を持ち上げたりといった簡単な運動から、飲み込んだりといった日常的な動作もできなくなってしまいます。
知覚神経や自律神経とは別
ALSは運動ニューロンが侵される病気ですから、知覚神経や自律神経には障害があらわれません。
しかし、なにか痛みを感じた時に手を引っ込めたりといった動作はできなくなります。
随意運動という自分の思い通りに手や足を動かす運動ができなくなってしまうのです。
心臓や消火器も筋肉でできていますが、こちらは随意筋ではありません。
心臓や胃や腸の働きといった部分は自律神経が支配しています。これらの働きに関しては影響がありません。
消化に関しては問題がないのですが、呼吸は自律神経と随意筋である呼吸筋の両方を使っているので、ALSで運動ニューロンが侵されてしまうと呼吸の筋肉が徐々に弱まり、やがて呼吸も困難になってしまいます。
こんな症状があらわれる
ALSになる人は最初に手足の動きがおかしいと感じて病院に相談に来る人が多いそうです。
これまで普通にできていた動作ができなくなる。例えば箸を持つ、重いものを運ぶといったことができなくなってしまうのです。
やがて手足があがらなくなり、走りにくい、疲れやすい、筋肉がぴくぴくする、痛みやつっぱりのような感じがあるといった自覚症状があらわれます。
これらの症状がALSによく現れる自覚症状です。
手足が麻痺してきて運動ができなくなってくるのです。
このような症状があらわれると次第に手や足の筋肉がやせ細ってきます。
球麻痺の症状
手足だけではなく舌やのどの筋肉が弱まってくるといった障害もあらわれます。これを球麻痺といいます。
ALSの患者さんのうち4人に1人はこのような症状が最初に出てきます。
舌や喉が動かなくなってくるとコミュニケーションに支障が生じます。しゃべることばが不明瞭になり、ラ行やパ行の発音がしづらくなります。
食べ物や唾液を飲み込むのが困難になってきます。飲み込もうとしてむせたりすることが増えます。
このようなALSの症状が現れてくるのは50代から70代で、とくに65~69歳の人に多く現れます。男女ともに患者さんがいますが、少しだけ男性の発症が多いそうです。生活環境等に関係なく起こりえる病気です。
ALSの方でも老人ホームに入所することができるのか
ALSとは、筋萎縮性側索硬化症という病気であり、難病に指定されています。日本には9000人ほどいます。徐々に筋肉が委縮していき、最終的に呼吸する筋肉すら低下して亡くなってしまうという病気です。ALSの方は老人ホームに入所することができるのでしょうか?
①特養での受け入れは難しい
ALSはその方の状態によっても異なりますが、筋力の低下によって胃ろうが必要であったり、吸引が必要であったり、人工呼吸が必要な場合があります。
その人によって状態が違うので一概にはいえませんが、特養への入所は難しい場合が多いです。胃ろうや吸引程度の処置で良いなら対応をしてくれますが、人工呼吸器をつけないといけない場合は高度な医療的な処置が必要になりますので、看護師が少ない特養では対応がしきれない場合もあるのです。
また、現在は対応が可能でも将来的に対応が難しくなる可能性がありますので、もし入所できてもある程度の進行が来たら退所をしないといけない覚書を書く必要がある可能性もあります。
②有料老人ホームでは対応をしてくれる可能性もある
有料老人ホームには様々な種類がありますが、医療系に強い有料老人ホームもあります。医療系に強いというのは常時看護師が配置されている、医療的な機器がそろっている、病院と併設をされているなどです。
そういったところは医療的な面が強いというのが売りになっていますので、パンフレットなどで確認をすることができます。
③介護療養型医療施設は対応可能
介護療養型医療施設は病院に併設されており、常勤の医師もいますし、看護師の数も病院並みに配置されています。そのため、医療的なニーズが強い場合も対応は可能ですし、医療的な理由で老人ホームへの入所を断られた場合に、最期に入る施設だと言われています。
しかし、介護療養型医療施設は廃止される傾向にありますので、新規の受け入れを断っている可能性もありますので、事前に確認をしておきましょう。
ALS高齢者が老人ホームに入居する際の注意点
ALSとは、国が指定している難病であり、徐々に体が動かなくなります。そのため、ALS患者によっては、1年で介護が必要な状態となる人もいます。また、介護が必要となった時、家族が在宅で介護を行う事には限界が生じてしまいます。さらに、ALS高齢者は、痰の自己喀出ができなくなることが多く、24時間介護が必要な状態となることが多いです。
ALS高齢者が、老人ホームに入居する際の注意点について、ご紹介いたします。
①医療措置がある老人ホームへ入居
ALSは、医療が必要であり、医療措置を行うことができる老人ホームに入居することが重要となります。特に、痰の吸引が定期的に必要であるため、介護士も痰の吸引ができる施設に入居することが重要となります。
しかし、家族はどの施設が、介護士が痰の吸引できるかはわかりません。そのため、ケアマネージャーや施設の社会福祉士などと相談を行い、痰を定期的に吸引することができる老人ホームを選ぶことが重要となります。
②リハビリの専門スタッフがいるか
ALSは、国が指定している難病であるように、医療措置が常に必要な状態となります。また、少しでも今の状態を維持できるよう、専門的なリハビリも必要となります。しかし、老人ホームでは、リハビリを行うための専門スタッフがいないこともあります。
また、老人ホームのよっては、ただ車椅子に座っているだけの生活を強いられてしまう事もあり、ALSの症状がただ悪化していくだけの事もあります。そのため、老人ホームを探す際には、専門的なリハビリスタッフがいるかどうかという事を確認し、入所することをお勧めします。
③ALSは体の病気で脳の病気ではない
ALSの高齢者は、身体が不自由でも、脳の病気ではないため、全ての状況を理解しています。そのため、徐々に進行していく自身の身体に対し、不安を抱えている状況となります。
また、今までできてきたことが徐々にできなくなってくることに対し、介護をしてもらう事に対しても抵抗感を持つことも多いです。そのため、ALS高齢者が自尊心を損なわず、安心して介護を受けられる老人ホームを探し、ALSを理解している老人ホームに入居することが重要となります。
ALSの治療方法について
ALSとは筋萎縮性側索硬化症と呼ばれる病気であり、日本では難病指定にされています。難病に指定されているので、基本的に完治はない病気だと認識されており、治療するのは非常に困難です。しかし、症状を緩和させたり、進行を遅らせたりなどの治療はある程度確立されています。
①医療面からのアプローチ
ALS患者には基本的に医療面からのアプローチは必須です。医師から様々な治療方法を提案されます。
一番ポピュラーなのは服薬治療です。完全に治る薬はまだ開発段階ですので、症状の進行を遅らす、症状の緩和をするなどを目的として薬を服用していきます。
しかし、服薬治療に関してはまだまだ未知な部分が多いですので、人によって合う、合わないというのはありますので、様子を見ながら進めていくようにしましょう。
また、ALSによって引き起こされる身体の機能低下などに対しても医療面から対処してもらいます。
②リハビリ的アプローチ
ALSは全身の動きが徐々に悪くなってしまう病気ですので、治療に際してもっとも重要だとされているのは、リハビリ的なアプローチです。これは医師の指示に基づいて行うものであり、作業療法士や理学療法士などのリハビリ専門職が実施をします。
身体の固まりをほぐしたり、移動訓練などを行っていきます。
③精神面でのアプローチ
ALSでは日々病状が進行すると言われています。昨日出来た事が今日出来ないといったことはよくありますし、それに伴って精神的な落ち込みもかなり強くなってくると言われています。
初期段階では自殺をする方もいますので、精神面でのアプローチが必要になってきます。心理士などによるカウンセリングなどが有効であり、他のALSとの方との交流も精神面を安定させるためには必要なものであると言えます。
また、介護をする家族へのケアも本人の治療の継続のためにはかかせないものです。
このようにALSの治療には主に3つの方向から治療を進めて行きます。
ALSの原因と関連する症状について
ALSの原因については、はっきりとは解明されていませんが運動ニューロンに関係していることがわかっています。運動ニューロンは脊髄にあり、手、足、口腔内、呼吸に関係する全身の随意筋を動かしています。どの部分の運動ニューロンが侵され、どの筋肉が弱くなるかによって、発生する症状が異なります。
筋力の低下
ALS発症時に多くの人が感じる症状として、手足の動かしにくさがあります。
箸が持ちにくい、重いものを持ち上げられない、走るときに足が動きにくいなどの症状が見られます。これは、手足を動かす運動ニューロンが侵され、麻痺を生じることによって起こります。また、病気が進行していくと、筋力の低下により手足が痩せ細っていきます。それに伴って、関節が動かなくなるなどの筋肉の萎縮も見られます。
筋力の低下は全身に及び、寝たきりになって介助が必要となることもあります。
口腔内の症状
口腔内の筋肉に関する運動ニューロンが侵されると、話すときにろれつが回らない、言葉を上手く発音できない、食べ物が飲み込みにくいなどの症状が見られます。
特に食べ物の飲み込みにくさはむせを引き起こしてしまい、誤嚥性の肺炎を発症することもあるので注意が必要です。
呼吸のしにくさ
筋力の低下にともなって呼吸筋も低下するため、息がし辛くなります。仰向けで寝ることが出来なくなり、横を向いたり角度をつけなければ息を吸えないという症状が見られます。更に悪化すると、呼吸補助装置や人工呼吸器を装着することになります。
発生しにくい症状
視覚、聴覚などの感覚は最後まで阻害されません。目も動かすことが出来るので、手が動かなくなった際に利用できる、まばたきや目の動きを利用するコンピューターも開発されています。コミュニケーションを取る際にも役立ちます。
寝たきりになった場合に起こりやすくなる褥そうには、なぜかなりにくいといわれています。これは、患者さんの皮膚に変化が起こるためと言われています。
また、筋力の低下はリハビリで進行を遅らせることができます。発症後は筋力トレーニングを意識的に行うことが大事です。
ALSの原因とは
ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気をご存知でしょうか。一時期、「アイス・バケツ・チャレンジ」といって氷水の入ったバケツを頭からかぶる、というパフォーマンスを多くの有名人が行っていたことにより知った方も多いでしょう。ALS協会への寄付を募ることと病気の認知度を上げる目的で始まったそうですが、これには賛否両論あったようです。
ALSは筋肉の運動を司る神経が侵されてしまう病気で、発症すると筋肉を思うように動かせないなどの症状があり、難病にも指定されています。原因ははっきりと解明されてはいませんが、いくつかの説が考えられています。
グルタミン酸過剰説
人間が体を動かす際、脳から運動ニューロンという神経細胞を次々につなぎながら筋肉へ命令が伝わります。つなぎ目はシナプスと呼ばれており、隣の運動ニューロンへグルタミン酸などの神経伝達物質を出して情報を伝えています。ALSの患者さんの運動ニューロンは、シナプスから出てくるグルタミン酸を再び取り込む機能が障害されており、神経細胞の外に出て行ってしまうと考えられています。その為、グルタミン酸が過剰になって神経細胞が死滅するのではないか、という説があります。
環境説
世界で見ると、グアム島や西ニューギニアに並んで、日本の和歌山県、奈良県、三重県にまたがる紀伊半島にも発症者が多いと言われています。
環境に起因する何かの物質が原因ではないかとのことですが、はっきりしたことはわかっていません。
神経栄養因子欠乏説
神経を成長させたり、傷ついた細胞を回復させたりするのに必要な栄養成分が欠乏することによって、運動ニューロンが壊されるのではないかという説があります。
遺伝、家族性説
ALSは約90~95%が遺伝と関係なく発生し、家族性のALSと言われているものは約5~10%といわれています。更にその中の約20%のALS患者さんの一部に、活性酸素を解毒する酵素をつくる遺伝子の突然変異が発見され、これが運動ニューロンを死滅させる原因の一つではないかと考えられています。遺伝子の変異は家族性ALSの患者さんにしか見つかっていませんが、それ以外のALS患者さんの運動ニューロンも、活性酸素により死滅しているのではないかという説もあります。
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