認知症男性の列車事故裁判、家族の責任は?-介護ニュース
記事公開日:2016/02/04、
2月2日、介護のあり方を考える裁判がありました。2007年、愛知県で要介護4の認定を受けた認知症の男性が1人で外出し、列車にはねられ死亡。事故をめぐり、JR東海が遺族に損害賠償を求めた訴訟の上告審です。今回の訴訟で争点となっているのは、認知症の人を介護する家族の監督義務の有無。注目の判決は3月1日です。
出典:毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160203-00000009-mai-spo
認知症の男性は、事故当時91歳。家族内で介護方針を決めていた長男は別居、妻と同居していました。
2007年の冬、事故は家族が目を離したすきに発生。JR側は遺族に対し、「列車が遅れて損害を受けた」などと訴えました。1審は長男と妻の2人に損害賠償の支払いを命じ、2審では同居していた妻のみに損害賠償の支払いを命じました。これに対し、JR側と遺族側の双方が不服として上告。3月1日、認知症の人が第三者に与えた損害に対して家族がどのように責任を負うのか、司法の判断が示されます。
男性が認定を受けていたのは、要介護4。介護保険法で定められた5段階の要介護状態区分のなかで、高い方から2番目になります。介護なしでは日常生活を営むことが困難な状態です。つまり、ほぼ終日、介護が必要な状態でした。
当時、介護サービスをどれくらい利用していたかはわかりません。しかし、男性の年齢からすると、同居していた妻もかなりの高齢であったと思われます。料理や洗濯などの家事をこなしながら男性の介護をするのは、私たちが想像する以上に大変だったでしょう。1分1秒も目を離さずに男性を見守ることなんてできたのでしょうか。
事故で、妻は夫を失い、長男は父親を失いました。大切な家族を失った悲しみに加えて、夫や父親を守れなかった、列車事故によって多くの人に迷惑をかけた、と自責の念にかられたことでしょう。遺族は自らを責め、さらに法律からも責められなければならないのでしょうか。