薬の適正化に向け「日本老年薬学会」設立。-介護ニュース
記事公開日:2016/02/05、
高齢者の多くは慢性疾患を抱え、複数の診療科目を受診しています。それぞれで薬が処方され、飲み残し、飲み間違え、副作用といった問題が起きています。このため、高齢者への薬物治療が適切に行われるように「日本老年薬学会」が設立されました。研究や啓発に取り組むのは医師、薬剤師、薬学研究者らで、2017年に最初の学会が開かれます。
出典:産経ニュース、高齢者住宅新聞第383号
http://www.sankei.com/life/news/160203/lif1602030008-n1.html
服用する予定はないけれど捨てられない…そんな薬が自宅に眠っていませんか。
飲み忘れや自己判断で中断してしまい、薬が大量にたまる「残薬」。厚生労働省によると、潜在的な「残薬」は年間500億円分にもなるそうです。まるで高度成長期の日本、大量生産・大量消費・大量廃棄社会のようですが、過去の話ではありません。医療費の増加が問題となっている、現在の日本の話です。しかし、薬剤師の管理や指導によって8割は改善できると推計されています。
実際、宮古島の北東にある人口28人の大神島では、訪問薬剤師の活躍で「残薬」が減っています。薬剤師は薬の説明だけでなく、患者さんの生活状況に応じた服薬方法の工夫を行い、問題があれば医師と処方内容について検討します。たとえば、高齢者の飲み間違えを予防するため、1回分に飲む薬を1つの袋にまとめる「1包化」という方法。その「1包化」に、自宅にたまっている「残薬」を使っているそうです。
大切なのは、そもそも薬は誰のためのものなのか? ということ。医師が処方箋を発行するためでも、製薬会社が薬をたくさん売るためでも、ましてやタンスの肥やしにするためでもありません。その人に必要な効能、その人が飲める形状、その人ができる管理など、ひとりひとりに向き合うことが正しい服薬の第一歩ではないでしょうか。