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認知症対策を前進、「太郎」さん、天国へ。-介護ニュース


記事公開日:2016/02/23、

認知症対策を前進、「太郎」さん、天国へ

市役所の記入見本にありそうな名前、「西淀太郎」さん。それもそのはず、大阪市西淀川区の路上で保護されたものの重い認知症のため身元が判明せず、仮でつけられた名前だからです。2年以上も仮名で暮らし、毎日新聞の報道によって家族と再会することができました。

行政や警察による認知症高齢者らの行方不明・身元不明者対策を進めるきっかけをつくるという大役を果たし、75歳で天国へ旅立ちました。

出典:毎日新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160219-00000079-mai-soci

 

認知症高齢者の行方不明者は、年間1万人以上になります。厚生労働省の推計データによると、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、全国の認知症高齢者数が700万人以上。行方不明者はさらに増えることが予想されます。

 

認知症の症状で行方不明に影響するのは、記憶障害、見当識障害、徘徊などです。

記憶障害は、物忘れとは違い、忘れたことさえ忘れてしまいます。昔のことは思い出せても、新しいことを記憶できずに、先ほど聞いたことさえ思い出せません。

見当識障害は、今日が何月何日で、自分の名前や年齢、自分がどこにいるかなどがわからなくなります。進行すれば、近所でも、自宅の中でも迷子になります。

徘徊は、それ自体が症状というよりも、記憶障害や見当識障害が原因となって起こる症状。思い出せないから、わからないから、ふらりとどこかへ行ったり、自宅に帰ってこられなくなるのです。

 

「西淀太郎」さんの自宅は兵庫県内で、外出先で行方不明になり保護されたそうです。彼の存在によって認知症高齢者の行方不明・身元不明者の問題が顕著となり、行政や警察が認知症の問題に取り組むようになりました。

厚生労働省は、行方不明となった認知症高齢者が、身元が不明のまま各市町村で保護されている場合があるため、「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」と題した特設サイトを開設しています。

 

認知症に対応したサービスやグッズも多彩に展開されています。

たとえば、GPSを通じて居場所を高精度で検知できる機器。緊急の際には要請に応じてガードマンが駆けつけるサービスもあります。しかし、機器の携帯を嫌がる高齢者がいるので、ストラッップを見えない位置にしたり、ポケットの中に入れて縫ったりと、高齢者の気持ちに配慮した家族の工夫が必要です。

同じくGPSを活用したグッズで、かかと部分にGPSが内蔵されている靴も商品化されています。これなら高齢者が嫌がることは少ないかもしれません。ただし、GPS内蔵の靴を履く、靴を履いて出かけるのが前提になります。

 

家族の一瞬の隙をついて高齢者が外出し、GPSで居場所を特定、警察に保護されれば、「太郎」さんのように家族と再会できるかもしれません。しかし、この寒空の下、薄着で出かけて何日もさまよっていたらどうでしょう。

あなたがほろ酔い気分で帰宅中、この季節には似合わない服装でふらふらと歩いているおじいちゃんを見かけたら、どうしますか。

 

24時間、家族だけで認知症を患った高齢者を見守ることは不可能でしょう。だからこそ、地域の人の見守りが大切なのです。

こうした背景もあり、2005年度にスタートした「認知症サポーター」の数が増えています。認知症の症状、接するときの心構え、介護者の気持ちの理解、サポーターにできることなど、約90分の養成講座を受けた人をサポーターと認定。ボランティアなどの活動に参加する義務はありません。

 

もしも、認知症という疾患名しか知らなかったら…。目の前にいる知らないおじいちゃんが突然、暴れたり、叫んだりすれば、戸惑って当然です。

どうしてそんな症状が起こるのか、どのように接するべきかを知ること、それが「認知症サポーター」の大きな役割です。認知症の理解を深めることは、心のバリアフリーなのです。

 

認知症で困っている人を見かけたら声をかける、声をかけられなくても警察や自治体に連絡することで、身元不明にならず家族と再会できる可能性が高くなります。介護の苦労を他人が理解するには計り知れませんが、家族の気持ちを理解しようと歩み寄るだけでも、家族だけで抱えてきた重圧を取り除くことにつながります。

認知症を理解することは、命だけでなく心を救うことにもなるのです。