外国人介護福祉士、訪問介護へ。-介護ニュース
記事公開日:2016/02/29、 最終更新日:2016/09/02
2008年度に始まった、経済連携協定(EPA)による外国人介護人材の受け入れ。これまでにインドネシア、フィリピン、ベトナムから2,000人以上が来日し、2014年度までに約320人が合格しています。
現在、EPAで来日した外国人の介護福祉士が働く場は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった施設に限定されています。厚生労働省は、2017年度にも施設だけでなく訪問介護にも広げる方針を決めました。
出典:朝日新聞デジタル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160226-00000053-asahi-soci
日本は、日・インドネシア経済連携協定、日・フィリピン経済連携協定、日・ベトナム経済連携協定に基づき、外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れを実施しています。
厚生労働省は、「これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施するもの」だそうです。
相手国からの強い要望であって、日本における介護現場の人手不足を和らげたいわけではない、と。
EPAによって入国した外国人介護福祉士候補者は、介護福祉士国家試験を受けて合格すれば働き続けられます。しかし、就労・研修する滞在期間は、協定で4年間と決められているのです。
昨年3月に発表された第27回介護福祉士国家試験結果の合格者数は、93,760人(合格率61.0%)。EPAに基づく候補者の合格者は、78人(合格率44.8%)でした。
候補者への学習支援として、日本語研修が訪日前と訪日後に各6ヶ月間、計1年間設けられています。しかし、日本語だけでなく、働きながら日本の介護について専門的な知識や技術を学ばなければいけません。介護福祉士は、高齢者の心身の状況に応じて日常生活の介護を行うわけですから、日本特有の文化についても学ぶ必要があります。
中学で3年、高校で3年、さらに大学で4年、合計10年間も学んでも、英語を話せない人はたくさんいますよね。海外旅行に行って、その国の文化の違いに驚いたことがある人も多いでしょう。
自国でも優秀な人材が候補者として来日しますが、国家試験の合格への道は厳しいものです。
そこで、候補者には、介護福祉士国家試験において配慮があります。すべての漢字へのふりがな付記、疾病名などへの英語併記、試験時間の延長(1.5倍)などです。
これは、介護分野の労働力不足への対応ではなく、経済活動の連携の強化に対する配慮なのでしょうか。
たしかに候補者は、日本人に比べて国家試験に不利ですが、合格して有資格者となれば、介護現場では他の有資格者と同じです。
現場では、日本語のすべてにふりがなは付いていません。
日本語が話せたとしても、コミュニケーションが必要です。高齢者との関係はもちろん、同僚との関係構築も大切です。
高齢者の状態を知るために介護記録を読み、その情報をふまえて個々の身体面・精神面を観察、自分が行った介護を記録して介護目標・計画を立案、次の勤務者へ正しく簡潔に伝えるという能力も求められます。
これまで、外国人の介護福祉士が訪問介護の現場で認められなかったのは、利用者宅で1対1になる場面が多いため、双方の安全面が懸念されたからです。
今回の解禁は、国家試験合格者であり、介護の知識と技術が十分あることが条件づけられています。しかし、人手不足だからと目先の業務に追われて判断が甘くなり、安全が置き去りにならないか心配です。
そのしわ寄せは、最終的に訪問介護を利用する高齢者にくることになります。
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