低周波音で不眠に…相談200件以上。-介護ニュース
記事公開日:2016/03/02、
日本人の5人に1人、60歳以上では3人に1人が睡眠問題を抱えていると言われます。その原因はさまざまで、原因に応じた対処が必要です。
不眠原因のひとつとして、苦情が増えているのが「低周波音」。不眠や食欲低下などの健康被害を受けたとして、年間200件を超える相談が全国の自治体に寄せられています。20年前の5倍以上という相談件数です。
出典:読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160228-00010001-yomidr-soci&p=1
私たちの耳に聞こえる周波数は、20~20000Hz(ヘルツ)です。その中で感度が良い、つまり、よく聞こえるのは2000~5000Hz。周波数が高ければ高い音、低ければ低い音として聞こえます。
日本では、1~100Hzの音を低周波音と呼びます。バスやトラックなどのエンジン音、滝の水が滝つぼに落ちる音などに、低周波音が多く含まれます。
低周波音の影響は、大きく分けて2つあります。
1つは、心身にかかわる影響。不快感や圧迫感などの人への影響です。
もう1つは、物的な影響。窓や戸の揺れ、がたつきなど建具への影響です。
環境省によると、低周波音への苦情は2000年代に急増。これは家庭への省エネ用機器普及の動きと重なります。低周波音はエアコンの室外機なども出ますが、夜間に長時間稼働する省エネ用機器は苦情につながりやすいようです。
睡眠に対する低周波音の影響について、こんな実験結果があります。
眠りが浅いときには、10Hzで100dB、20Hzで95dB以上になると目が覚めることがある、と。
睡眠の深さによっても、同じ周波数でも音の大きさによって、人への影響は異なるんですね。
高齢者は、加齢変化によって若年者よりも眠りが浅くなります。深い眠りのノンレム睡眠が減り、浅い眠りのレム睡眠が増えるからです。このため、尿意や小さな物音で夜中に何度も目を覚ましてしまいます。同居している家族でも、低周波音の影響を受けやすいのは高齢者と言えるでしょう。
不眠症の原因は、たくさんあります。
病気によるものであれば、循環器疾患による胸苦しさ、呼吸器疾患による咳や発作、前立腺肥大による頻尿、関節リウマチによる痛み、アレルギー疾患によるかゆみ…。治療薬の成分により、不眠をもたらすこともあります。
日常生活の中でも、コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン、タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります。寝室の温度や湿度が適切でないために眠れないこともあります。
不眠への対処法は、不眠の原因を特定し、それを取り除くこと、そこにアプローチしていくことです。ただし、原因は1つとは限りません。
現在の不眠治療は薬物療法が中心で、睡眠薬は副作用が少なく安心して使えます。しかし、睡眠薬では効果が期待できない原因もあります。
不眠の原因が低周波音にある場合は、発生源を特定して除去することです。しかし、機器の種類によって、また隣家の機器であれば簡単にはできません。
大がかりな対策の前にできること、それは寝る向きや寝る部屋をかえてみることです。