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死生観を問う広告に、止まらない反響。-介護ニュース


記事公開日:2016/03/04、

死生観を問う広告に、止まらない反響

1月に新聞掲載された宝島社の企業広告、みなさんはご覧になったでしょうか。

「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という強烈なキャッチコピー。そして、ビジュアルは水面に浮かぶ樹木希林さん。

掲載から月日が経っても、老若男女を問わず大きな反響を呼んでいます。

出典:Withnews

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160227-00000001-withnews-ent

 

話題の広告は、ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」がモチーフです。シェークスピアの悲劇「ハムレット」に構想を得て、恋人ハムレットに父を殺され、気がふれたオフィーリアが川に落ち沈んでいく場面を描いたとされています。

 

50~70代からの反響が大きく、「とても共感できた」「生き方や終活を考えるきっかけとなった」など、肯定的なコメントが寄せられています。若い世代の間では、インパクトあるビジュアルがSNSで話題に…。テレビや雑誌で死生観を問う特集が組まれるようになりました。

 

宝島社の担当者によると、日本の平均寿命は世界一であり、いかに長く生きるかばかり考え、いかに死ぬかという視点が抜け落ちていると感じて今回のテーマに選んだとか。いかに死ぬかは、いかに生きるかと同じ。個人の考え方や死生観がもっと尊重されていいのではないか、という視点から問いかけているそうです。

 

日本人は、思っていること、考えていることを、なかなか口に出さない民族です。自分の意見を求められて困るテーマは、そもそも話題にしません。

代表的なのが、政治と宗教とセックス。外国人ならフランクに話すようなテーマですが、 日本人は暗黙の了解なのか、タブーであるという感覚をもっている人が多いようです。

 

「死」も同じです。

「生」と同様、とても大切なことですが、自ら語る人はほとんどいません。

 

小学校や中学校の授業でも、「将来の夢」について作文を書くことはありましたが、「死」について向き合った記憶はありません。

最近は平均寿命がのびていることもあって、子どもの頃におじいちゃんやおばあちゃんのお葬式に参列することがなくなってきました。家族が元気であることはうれしいことですが、身近で「死」を感じる、「死」を考える機会が減っているのが実情です。

 

簡単にリセットできるゲームのような感覚で、人間の生死を考える犯罪者がいる世の中。今回の広告をきっかけに若い世代も死生観を考えることで、自分のこれからの人生について、おじいちゃんやおばあちゃんに対する思いにも変化が生まれるのではないでしょうか

 

これまでタブーとされてきたテーマも、「広告」について話すという大義名分があれば、日本人も「話すときぐらい好きにさせてよ」、ですね。