銭湯のデイサービスで、気持ちいい音楽療法。-介護ニュース
記事公開日:2016/03/17、
デイサービスで行われるレクリエーションは、施設によってさまざま。
東京都品川区にある「デイサービスセンター・湯~亀」では、営業前の銭湯を利用した「銭湯デイ」を実施。広い湯船にゆったりとつかり、昼食を食べたあと、男女の脱衣所をつないだ広間でレクリエーションが行われています。
出典:レクリエ
http://recrea.jp/reading/archives/2070
デイサービス(通所介護)は、送迎バスで通い、食事や入浴といった生活援助サービスを利用したり、レクリエーションに参加できる施設。介護保険サービスの中でも人気が高く、自宅に引きこもりがちな高齢者が外出し、家族以外の人と交流する機会として活用されています。
身体機能の向上や脳の活性化を目指して行われる、デイサービスのレクリエーション。よく実施されるのは、ゲーム、体操、手芸、折り紙、料理といったものでしょう。利用者の特性にもよりますが、レクリエーションは施設によって違います。違うからこそ、そこに施設の特長が出ます。
営業前の銭湯を利用した「デイサービスセンター・湯~亀」の音楽レクには、施設の特長が大きく出ています。とはいえ、音楽療法は珍しいものではありません。場所に銭湯を選んだ点、音楽と銭湯を組み合わせた点が素晴らしいのです。
音楽レク「歌声喫茶湯~亀」は、週3回、30分間のプログラム。参加者のリクエストや個性をふまえて、音楽療法士が企画。誰もが知っている昭和歌謡のほか、楽器、リズム運動、クイズを取り入れ、認知症を患っていても楽しめるよう工夫しているそうです。
音楽療法は、音楽を通じて脳を活性化させるリハビリテーション法のひとつ。
音楽は、記憶の扉を開けるカギとも言われています。子どものときに歌った歌や若い頃に流行した曲が、扉を開けるカギの役割を果たすわけです。
音楽だけでなく、場所の要素も加われば、重たい扉も開きそうです。
洗い髪が芯まで冷えて小さな石けんがカタカタと鳴った、若かったあの頃とか…。
銭湯で行われる音楽レクでは、最初は無表情だった人も、終わる頃には気持ちがほぐれ、やわらかな笑顔になるそうです。無理に歌わなくても、うまく演奏できなくても、楽しい気分や美しい音色を共有することで感情が揺さぶられる、と音楽療法士も言っています。
そもそも、なぜ銭湯でレクリエーションを行うことになったのでしょうか。
管理者によると、高齢者にはお風呂と歌が大好きな人が多いから、湯あがりに脱衣所で歌えたら気持ちがいいだろうなと思ったのが発端だそうです。
そうですよね。お風呂で歌を歌うと、エコーがかかって自分の歌が上手に聞こえます。立ちこめる湯気が演出効果を発揮して、歌手にでもなった気分です。錯覚だとわかってはいるものの、気持ちいいものです。
同じレクリエーションであっても、利用者の気持ちを尊重した企画は、その効果も大きいですよね。
「銭湯」で歌うなら、やっぱり「先頭」で歌うのが気持ちいいでしょうか。