訪問介護の利用者宅に、ヘルパーが外から施錠。-介護ニュース
記事公開日:2016/03/28、
大阪府東大阪市の訪問介護事業者「ケアサポートロータス」の、利用者に対する虐待が発覚。認知症を患った女性の自宅の玄関ドアに、ヘルパーが外側から施錠、女性が約2ヵ月間、外出できないようにしていたのです。
女性宅を訪ねた知人が、外側に取りつけられた鍵に気づき、連絡を受けた市が監査、虐待と認定しました。
出典:毎日放送
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160325-00000042-mbsnewsv-soci
東大阪市によると、訪問介護事業者「ケアサポートロータス」のヘルパーが利用者の玄関ドアに外側から錠前をつけ、去年9月から約2ヵ月間、外出できないようにしたとのこと。利用者は女性で77歳、重い認知症を患っていたそうです。
去年11月、女性宅を訪ねた知人が、外側に鍵が取りつけられていることに気づいて市に通報。市は監査の結果、不必要な身体拘束で高齢者虐待にあたると認定しました。
事業者は市に対して、「女性が外出すると危険と思って施錠した。虐待するつもりはなかった」と説明。市は介護保険法に基づき、今月31日に事業所指定を取り消すと発表しています。
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)による虐待に該当する行為は、次の5つです。
身体的虐待
介護・世話の放棄、放任(ネグレクト)
心理的虐待
性的虐待
経済的虐待
今回のケースは、身体的虐待に該当します。
身体的虐待は、高齢者の身体に暴力を加えたり、外傷が生じなくても、外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為も含まれます。自宅に閉じこめられた女性が受けた苦痛を考えると、心理的虐待にも該当するでしょう。
虐待の発覚後、事業者が市に対して行った説明が気になります。
「女性が外出すると危険と思って施錠した。虐待するつもりはなかった」
施錠の理由は危険回避、虐待の意図なし、と主張しているのです。
これまでも、介護施設や介護事業での、職員による入居者や利用者への虐待はたびたび確認されています。
しかし、今回の場合は性質が異なる印象を受けます。なぜなら、過去の虐待の要因は、大半が職員の知識や介護技術の不足、ストレスだったのに対して、今回は介護の一環としてドアを施錠したと考えられるからです。
女性は重い認知症を患っていたとのことですから、徘徊して事故に遭わないように、行方不明にならないように、と危険を回避しようとしたかもしれません。
しかし、自宅のドアに外側から鍵を取りつけて施錠し、人を閉じこめるという行為は、虐待かどうかと問う以前に、人として正しい行為かどうかは小学生でもわかるでしょう。
この事業者、専門職としての責務を、自分たちに都合の良い特権として利用していたのではないでしょうか。
介護職でなければ問題になるようなことも、介護職であれば職務として関わります。
その人の家族構成や既往歴、収入など一般の人では知りえない個人情報を入手したり、排泄介助や入浴介助ではその人の裸を見ることも触れることも当然のこととして行われています。
一般の人が悪意をもって行えば、個人情報漏えい、わいせつ行為などの犯罪につながりかねません。
だからこそ、介護職は専門職としての知識や技術を習得して高齢者と関わっているのです。
「女性が外出すると危険…」という危険回避は女性に対してではなく、徘徊によって何かが起こって責められないようにする自分たちの危険回避ですね。