老健施設でインフル集団感染、104歳女性死亡。-介護ニュース
記事公開日:2016/04/04、
全国的にはピークを過ぎたインフルエンザですが、高齢者施設で季節外れの猛威をふるいました。
京都府の介護老人保健施設で、入居者と職員計8人がインフルエンザに集団感染。入居者の104歳の女性が呼吸不全のため救急搬送され、入院先の病院で死亡しました。
出典:京都新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160402-00000032-kyt-hlth
京都府綾部市の介護老人保健施設「綾部さくらホーム」で、86~104歳の入居者7人と20歳の職員1人、計8人がインフルエンザに集団感染。3月25日から4月2日にかけて発症、全員にインフルエンザB型の感染が確認されました。
104歳の女性は、31日に発熱や咳などの症状が出て、1日に感染が判明。呼吸不全のため救急搬送され、入院先の病院で2日に亡くなりました。
府中丹東保健所は、施設にマスク着用の徹底や換気などの感染拡大防止策を指導。
現在、発症者の病状は治まりつつあるとのことです。
インフルエンザの感染力は強く、集団生活の中ではすぐに広がります。今回、発症した入居者は全員、3階に入居していました。1人の感染者から、近くにいる入居者へ次々に感染していったと考えられます。
保健所が指導しているように、感染の拡大防止には、マスク着用や換気が大切です。
しかし、どんなに職員が意識していても、高齢者施設の場合は対応が遅れやすい、対応が難しいという性質もあります。
一般にインフルエンザは、発症すると高熱が出ます。しかし、高熱が出なくても感染が確認された例は多々あります。しかも、高齢者の特徴として、症状がはっきりと出にくいことがあるのです。
また、感染してから症状が出るまでの潜伏期間、症状が出てから検査結果で陽性と確認されるまでの期間に、感染が広がる場合があります。亡くなった女性は、症状が出てから感染の判明まで1日経過しています。
最初の感染者が確認されてからの対応では、すでに遅いのです。
さらに、感染が判明してからの対応の難しさです。
小学校や中学校であれば、感染拡大を防止する策として学級閉鎖があります。しかし、高齢者施設の場合、そこで暮らしているわけですから、閉鎖するわけにはいきません。
たとえば、感染者が他の入居者に感染を広げないよう、隔離という形をとろうとしても、増えていく感染者すべてに食事、排泄、入浴など隔離体制で介護を行うのは困難です。
学校や職場で感染が広がったとしても、学校や職場が責められることは幾多にありません。しかし、介護施設や病院となると、世間から責められ、ニュースにもなります。
同じ集団生活での感染であっても立場の違いで気の毒な気もしますが、仕方ありません。感染についての知識をもった専門職なのですから。
施設を責めることは簡単です。しかし、現在の医学ではインフルエンザウイルスをこの世から抹殺することはできません。人と人とが関わる以上、感染のリスクはあります。ですから、いかに感染のリスクを減らすか、予防の視点が大事です。
どんなに施設内でマスク着用を徹底しようとしても、マスクを嫌がるおじいちゃん、マスクを外してしまうおばあちゃんはいます。しかも、職員は激務ですから、マスク着用だけに注意を払うわけにいきません。
入居者を見守るのは職員の責務ですが、面会に訪れる家族、施設に出入りする介護関係の業者など、入居者のまわりにいる人々は、自身の意識向上が必要でしょう。
感染拡大の防止には、マスクを着用すれば安心できます。
着用すべき場所で着用しないと、安村さんみたいに安心できません。不倫発覚のニュースは、すぐに拡大しますからね。