熊本地震、広がる支援の一方で…。-介護ニュース
記事公開日:2016/04/20、
震度7の地震から7日目、熊本では余震がつづき、行方不明者の捜索がつづいています。
日本財団は、日本三大名城「熊本城」再建支援金30億円など計93億円の支援金を用意。企業、個人を問わず支援の輪が広がる一方で、取材車のガソリンスタンド割り込み、取材アナが弁当画像をツイッターに投稿、「タイミングがいい」発言など人間性を疑う行動に批判が相次いでいます。
出典:デイリースポーツ
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6198422
日本財団が城に支援するのは、今回が初。文化財に対しての金額として最大規模です。
熊本城は日本の重要な文化財の一つであり、被災者に希望をもってもらえる支援として、熊本城の再建を呼びかけるために30億円を用意しました。
30億円のほか、要援護者に対する支援として緊急対策支援金3億円、ボランティア活動支援に10億円、家屋損壊などに対する見舞金20億円、住宅・事業再建のための融資制度の創設に30億円を用意し、合計93億円となっています。
東日本大震災で被災し熊本市に在住する16歳の少年は、1人で募金活動を開始。
二股騒動イメージが強い俳優の塩谷瞬さんは、東京から15時間かけて熊本入りし、ボランティア活動。
熊本県出身で大ヒット漫画「ONE PIECE」の作者、漫画家の尾田栄一郎さんは、熊本地震の被災地に向けた直筆メッセージをワンピースの公式サイトで公開しました。
全国各地で、自分のできる支援が、自分ができる方法で行われています。
被災地の映像を見て心を痛め、被災地ではあんなに大変なのに、私たちは学校へ行って、会社へ行って、いつもどおりの生活でいいのか歯がゆい思いをしている人も多いと思います。
その一方で、関西テレビの取材中継車が、ガソリンスタンドで給油待ちの車列に割り込んで給油。
Webサイトにお詫びを掲載し、同日夕のニュース番組でも謝罪しました。
さらに、モラルを指摘するツイッターへの投稿について、関連会社の社員が関西テレビを擁護する虚偽のツイートしていたことが発覚。
仙台放送はwebサイトで謝罪し、社員・スタッフへの教育を徹底すると発表しました。
現地取材をしていた毎日放送の山中真アナウンサーは、自身のツイッターに被災地で調達した弁当の画像を投稿。
被災者の食料確保が困難を極めている状況下、批判する書き込みがネット上にあふれツイッターで謝罪し、投稿を削除しました。
また、おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は、熊本地震に関して「政局の動向に影響を加えることは確かだ。たいへんタイミングのいい地震だ」と発言。
被災者感情を逆なですると、発言を撤回しました。
いずれも、影響力のある人の発言や行動です。影響力のある人だからこそ、批判が大きくなるのも当然です。しかも、被災地のために尽力すべき立場の方々です。
批判を受けたら、「謝罪」「削除」「撤回」。
表面上、過去の言葉や行動は消せても、被災者が受けた不快な思いは心から消せません。
関西テレビはwebサイトのお詫びの中で、「今後、このようなことのなきよう、取材にあたる社員・スタッフへの教育を、改めて徹底してまいります。」と掲載しています。
今後、このようなことがないよう、たしかに徹底した教育は大切です。しかし、「行列には割り込みせず並びましょう!」と、小学生の遠足からやり直すのでしょうか。
電車を待つ行列、トイレの空きを待つ行列、コンビニのレジを待つ行列など、社会では当たり前のルールです。そんなルールも守れない人が伝える情報は、どんな真実なのでしょうか。
伝える、ということは難しいことです。
被災者を応援したいと思って伝えた「がんばってください」という言葉が、相手に不快な思いをさせることもあります。
いま限界までがんばっているのに、これ以上どうがんばればいいのか、という感情…。被災地で、また介護の現場などで、そんな感情を抱く人がいると思います。
頭では応援してくれているとわかっていても、心身ともに限界にある身にとっては、相手の好意すら素直に受けとれないことがあるのです。
伝える、ということは難しいことです。
伝える内容だけでなく、その伝え方も、です。
弁当画像のツイッター投稿、「タイミングがいい」発言など、その伝え方が違っていれば、批判の大きさは違っていたかもしれません。
現在のネット社会は、誰でも世界に向けてメッセージを発信することができます。内容が過激であれば、閲覧者が多ければ、与える影響は大きくなります。
しかし、たとえ相手が1人であっても、私たちは影響を与え、影響を受けます。影響を受ける人が少なければ、炎上しなければいいという問題ではないはずです。
ネットの世界でもリアルの世界でも、相手の気持ちになって伝えることが大切ですね。