避難生活で心配高まる、震災関連死。-介護ニュース
記事公開日:2016/04/22、
熊本地震による避難生活の長期化に伴い、災害関連死(震災関連死)への心配が高まっています。震災関連死と見られるのは、少なくても10人。
強い余震の頻発によるストレス、車中泊が多いことが背景にあると指摘されています。医療面、精神面の早急なケアが必要です。
出典:毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160422-00000006-mai-soci
地震発生から1週間が経過し、余震がつづいて不安が募る中、追いうちをかけるように大粒の雨や冷たい風が襲う被災地。
いつまでつづくか先が見えない避難生活は心身ともに大きな負担となり、震災関連死が増えています。
避難生活で起こりやすい健康障害は、エコノミークラス症候群です。
長時間、同じ姿勢をしていると、脚の静脈血の流れが悪くなるために血栓(血の塊)が発生。その血栓が肺まで流れて肺の血管が詰まると深部静脈血栓症となり、命に関わります。
過去の震災から、避難生活におけるエコノミークラス症候群の危険性が知られるようになりました。今回の地震発生後、国やメディアによって予防策が周知され、予防に効果的な弾性ストキングも支援物資として届けられています。
しかし残念なことに、50人以上が同症候群や同症候群の疑いと診断され、亡くなった方もいます。
エコノミークラス症候群のリスクが高いのは、高齢者や糖尿病など持病のある人です。特に女性は、トイレを我慢して動かない、トイレに行かないように水分を控えることでリスクが高くなると言われます。
逆に、トイレが近く、我慢できずに夜中にトイレに行く高齢者は、それが意図せず運動となり、予防につながります。
また、被災者が発症しやすい病気として、たこつぼ心筋症が心配されています。
高齢女性に多く、心臓の一部が収縮しなくなり、左心室がたこつぼのように見えることから名前がついた病気です。突然、胸の痛みや息苦しさ、全身のだるさなどの症状が出ます。
持病がなくても発症するのが、この病気。発症の仕組みはわかっていませんが、精神的なストレスが影響していると言われます。
もしも症状を自覚したら、医師の診察を受けることが大切です。
以下に、避難生活で気をつけてほしいことをまとめました。
▼避難生活で気をつけてほしいこと
●水分をしっかり摂りましょう。
●横になって睡眠をとりましょう。
●適度に運動をしましょう。
●食事前やトイレ後の手洗いを徹底しましょう。
●薬の内服をつづけましょう。
●咳、くしゃみ、発熱などの症状があればマスクをしましょう。
●不調があれば医師、看護師などに相談しましょう。
すでに、何度も耳にされていることかもしれません。
復興に向けて動きはじめましたが、いま避難されている方が全員、自分の家に帰ったり、仮設住宅へ移るにはもう少し時間がかかります。
多数の人が接触する避難所では、感染症のリスクがあります。
高血圧の薬を飲んでいた人は、飲まなければ血圧が高くなり、糖尿病の薬を飲んでいた人は、飲まなければ血糖が高くなります。
避難のときには、薬や健康保険証を持ちだす余裕なんてなかったでしょう。
今回は熊本県内全45市町村に災害救助法が適用されています。健康保険証やお金を持っていなくても医療機関や薬局を利用できるため、活用してほしいと思います。
現在、DMAT(災害時派遣医療チーム)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)、AMAT(全日本病院協会災害時医療支援活動班)、DMORT(災害時遺族支援チーム)など専門家が現地で活動しています。警視庁からは、心のケアができるようにと女性警察官が派遣されました。
熊本地震で甚大な被害が出た熊本県益城町の町社会福祉協議会は21日、ボランティアの受け入れ窓口となる町災害ボランティアセンターを開設。受け付け開始時には、雨の中、県内外から集まった志願者が約100人も列をつくりました。
介護にも、困っている人のために何かをしたい、そんな気持ちが大切ですね。
「大丈夫ですか」という問いかけに、きっと大半の被災者は「大丈夫」と答えるでしょう。被災者は自分だけじゃない、全国のみんなにこんなに支援してもらっているから、などと遠慮をして本音を口にできないと思います。
温かいものが食べたい、好きなものが食べたい、ベッドでゆっくり眠りたい、家族だけで過ごしたい、毎日お風呂に入りたい、好きな洋服を着たい…欲求はいろいろあって当然です。みんな被災者という共有意識が、言葉を閉じこめてしまうことがあります。
すぐに叶えることは無理であっても、いまの思いを言葉にすることで心が楽になることがあります。
被災地での活動は大変だと思いますが、被災者の言葉にならない思いをくみとり、自身が無理することのない参加を期待します。