福祉避難所の課題で静岡、DCAT創設へ。-介護ニュース
記事公開日:2016/04/27、
熊本地震で、課題が浮き彫りとなった「福祉避難所」。周知不足や施設の損壊、職員不足で受け入れ先としての機能を果たせませんでした。
このため、静岡県内で災害時に緊急かつ継続的な福祉支援を行う災害派遣福祉チーム(DCAT)を創設する動きが進んでいます。
出典:静岡新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160427-00000014-at_s-l22
「福祉避難所」とは、一般の避難所での生活が困難な高齢者や障害者ら災害弱者のために、自治体と協定を結んだ老人ホームなどに設置される避難所です。
地震前、熊本市が協定を結んでいた施設は176ヵ所で、約1,700人を受け入れられるはずでした。しかし、実際には建物が損壊して使えなくなったり、職員自身が被災して介護をできる状況ではなくなり、災害弱者を受け入れられない施設が続出。
熊本市によると、25日時点で避難者を受け入れているのは34施設、受け入れ人数は想定の1割以下となる129人でした。
市役所のwebサイトには利用可能な施設一覧すら掲載されず、協定を結ぶ福祉関係団体も全体の開設状況を把握できていなかったという、行政側の周知不足。「福祉避難所」の存在を知らない市民が多かったというわけです。
最近になり、保健師などを通じて希望が増えてきたそうです。
一市民ではなかなか入手できない情報も、介護に精通した専門家であれば入手しやすく、情報を必要としている人に、必要な情報を提供することができます。
今回の地震では、SNSを活用してスピーディーな情報収集、情報交換が行われていますが、SNSをあまり利用しない高齢者の場合、SNSにかわる情報提供が必要となります。
このような状況をふまえ、静岡県内では災害時に緊急かつ継続的な福祉支援を行う災害派遣福祉チーム(DCAT)を創設する動きが進んでいます。
「DCAT」とは、災害直後に救命活動をする医療チーム「DMAT」の福祉版。
介護福祉士や社会福祉士らが避難所などに入り、要支援者が避難所での生活が可能かを判断したり、福祉ニーズの掘り起こしや精神的ケアを行ったりします。活動の目安は、被災地域の福祉支援態勢が整い、引き継ぎができるまでです。
「DCAT」は、東日本大震災を契機に全国的に関心が高まりました。長引く避難生活のストレスなどから、高齢者を中心に震災関連死が相次いだからです。
避難所で迷惑をかけることを懸念して避難所に行かず車中で命を落としたり、生活環境の変化によるストレスで認知症が進行したりするケースがあります。
「福祉避難所」の必要性は、阪神大震災から指摘されていたのですが…。わかってはいても対岸の火事なんですよね。
自治体だけなく、私たち個人も同じです。
懐中電灯の電池は切れていませんか?
お水の賞味期限は大丈夫ですか?
家族と防災について話し合っていますか?
震度7の地震が起こったとき、ニュースは熊本一色でした。しかし、新しいニュースが次々に入り、特別番組はなくなり、トップニュースの座を譲るまでになりました。
どんなにニュースが上書きされても、被災者にとっては震災のニュースが毎日トップのはずなのに、当事者でない人々の関心は低くなっていきます。
4月25日、JR尼崎脱線事故から11年でした。
4月26日、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所の事故から30年でした。
年々、報道は小さくなっていくニュース、覚えていたでしょうか。
やはり誰でも自分のことが1番です。毎日自分の生活を何とかするのに精一杯で、他人のことまで考える余裕はないのかもしれません。
しかし、熊本ではいまだ5万人近くの方々が不自由な避難生活を余儀なくされています。たとえ2番でも、3番でも、被災地のために私たちにできることはないのか考え、行動したいですね。