福岡の有料老人ホームで高齢者受け入れ。-介護ニュース
記事公開日:2016/04/28、
今日28日、熊本で最初に震度7を観測した地震から2週間が経ちました。ライフラインの復旧は進んでいますが、避難生活を送る人は3万6,000人以上。高齢者や障害者ら災害弱者への支援が課題となる中、福岡県は27日、被災した高齢者の受け入れができる有料老人ホーム96施設のリストを公表しました。
出典:毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160427-00000064-mai-soci
いまだ余震がつづく熊本。電気、ガス、水道、交通網などライフラインの復旧が進んでいますが、多くの人が避難所や車内で避難生活を強いられています。
27日午後1時半現在、492ヵ所に約3万6,800人が避難しています。
昨日のウチシルベニュースでも紹介しましたが、今回の地震では福祉避難所がうまく機能しませんでした。周知不足や施設の損壊、人手不足などの理由により、一般の避難所での生活が困難な高齢者や障害者ら災害弱者の受け入れが1割以下しかできなかったのです。
熊本県の蒲島郁夫知事は27日、仮設住宅2,100戸の建設などを進めるため、366億3,900万円の今年度一般会計補正予算を専決処分。民間賃貸住宅などの「みなし仮設住宅」2,100戸も含め、計4,200戸を確保します。
しかし、すぐに入居できるわけでなく、避難生活者3万6,000人以上に対して4,200戸。
「足をのばして寝たい」「まわりに気を使わず暮らしたい」という思いは日に日に強くなり、震災関連死も心配されます。
そんな中、同じ九州の福岡県が27日、熊本地震で被災した高齢者の受け入れができる福岡県内の有料老人ホーム96施設のリストを公表しました。26日現在で約460人分の空きがあるそうです。
施設のリストは福岡県のwebサイト「熊本地震の支援情報」内のリンクから閲覧でき、施設名、所在地、受け入れ可能な人数と期間、入居費用減免などの支援内容といった情報が掲載されています。
26日現在、北九州市内191人、福岡市内85人、久留米市内59人、その他の市町村124人となっています。
また、厚生労働省は、熊本地震の被災者のうち、自宅に大きな被害が出た人などについて、医療機関を利用した際の窓口負担や、介護保険サービスの利用料を免除する方針を決定。負担の免除は7月末まで継続する方針です。
避難所は、一時的に生活する場所です。食事は自分の歯や義歯ではかたくて食べづらかったり、味が合わなくて十分な栄養補給ができなかったり。トイレまで歩くには遠くて、順番待ちの列で待つのがつらくて水分を控えたり。周囲の物音が気になって質の良い睡眠がとれなかったり。震災前の普通の生活からは遠い毎日です。
アメリカの心理学者、アブハム・マズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成され、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲すると主張。
「生理的欲求」から「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」へと高次の階層へ進みます。
「生理的欲求」は、食べたい、寝たいなど、生きていくための本能的な欲求。
「安全欲求」は、危機を回避し、安全・安心に暮らすための欲求。
避難生活では、このような低次の階層の欲求を充たす段階であると言えるでしょう。
熊本から福岡…同じ九州内とはいえ、慣れ親しんだ土地を離れることは高齢者にとって大きな決断になると思います。周囲に知人がいなくなることは大きな不安です。
しかし、食事のこと、トイレのこと、薬のことなど心配や不安を少しでも消すことができれば、きっと次の高次の欲求へと進むことにつながるはずです。