あなたは決して一人ではありません。-介護ニュース
記事公開日:2016/06/01、
昨日行われた清原和博被告の判決公判。裁判官は説諭で「あなたは決して一人ではありません」と語りかけました。
警察庁によると、身元が確認できない遺体は2015年に1,298人。その背景には、高齢者の独り暮らしの増加があります。内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の単身世帯の高齢者は約480万人もいます。
出典:スポニチアネックス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160601-00000067-spnannex-base
清原和博被告の判決公判が行われました、5月31日。社会的に影響力のある強打者の判決であり、初公判と同様、多くの傍聴希望者が訪れ、一般向けに用意された21席に対し、1,713人が集まりました。
覚醒剤事犯は再犯率が高いことで知られ、年齢が高くなるほど再犯率が高くなる傾向にあります。警察庁によると、2015年の再犯者は7147人、このうち40代の再犯率は72.2%、50歳以上は83.1%にも上昇します。
高齢になるほど、孤独感や喪失感などから再び…という人が多いのが現状です。
裁判官による説諭は、48歳の清原被告が覚醒剤に再び手を染めることがないよう語られたものでした。
説諭とは、裁判官が判決後、被告に判決の重みや今後への期待などを語りかけるもので、裁判官の個性が強く表れます。義務ではないため、何も述べない場合もあります。
普段は説諭を言わない吉戒裁判官が、3分間と異例の長さとなる説諭を行いました。
「覚醒剤をやめることは容易ではありません。ただ、あなたは決して一人ではありません」と強調。もし心が折れそうになったら、初公判の際に弁護人に手紙を託した父親、情状証人として出廷した野球評論家の佐々木主浩さん、支援者と相談してみるのもよいと助言しました。
独りで断ち切るのが難しい、薬物。清原被告の場合は社会的制裁もあり、有名人がゆえの苦しみがあるでしょう。しかし、更生のために家族や友達、支援者など多くの人がサポートしてくれるって、幸せな人だと思いました。
日本は高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。内閣府の「高齢社会白書」によると、65歳以上の単身世帯の高齢者は1980年の約88万人から2010年には約480万人に増加。独り暮らしであっても、別居の家族や地域との交流があればいいのですが、天涯孤独な人が増えているのは悲しい現実です。
警察庁によると、身元が確認できない遺体は2015年に1,298人。その背景には、高齢者の独り暮らしの増加があります。
事件や事故で身元不明遺体が見つかった場合、独り暮らしの高齢者は身寄りが見つかりにくく、身元の特定が難しくなっています。家族が見つかっても「関わりたくない」との理由で協力を拒否されることもあるそうです。
学校に通っていたり、仕事をしていれば、意図しなくても誰かと関わることになります。しかし、定年を迎えると仕事関係のつながりは一気に薄くなり、年を重ねるほどに同年代の数は減っていきます。
いま、若い世代を中心にSNSが多用されています。友達の友達まで含めると、100人、200人とつながっている人もいるでしょう。会わなくても相手の様子がわかり、自分の様子に誰かが反応してくれ、いつもつながっている気がします。
その中の1人が更新をしなくなって、何人の人が心配するのでしょうか。
そもそも、更新がなくなったことに、何人の人が気づくのでしょうか。
もしも、覚醒剤をやめようと更生を誓ったとき、何人の人がサポートしてくれるのでしょう。
孤独は、いまや高齢者だけの問題ではありません。
人と人とのつながり、その大切さを考えさせられる、清原被告の説諭でした。