歯周病で認知症になる?-介護ニュース
記事公開日:2016/06/15、
厚生労働省が発表した2014年度の介護保険事業状況報告によると、介護給付費は8兆9005億円となり過去最高を更新しました。
高齢者人口の増加に伴い、介護を必要とする高齢者は増える一方、介護給付費も増える一方。要介護の要因2位の認知症は、身近な病気、歯周病と関係があるそうです。
出典:時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160613-00000129-jij-pol
13日、厚生労働省は2014年度の介護保険事業状況報告を発表しました。
利用者負担を除いた介護給付費は、前年度比4.6%増の8兆9005億円となり過去最高を更新。65歳以上の高齢者(第1号被保険者)1人当たりの給付費も過去最高を更新、27万円でした。
都道府県別では、1人当たりの給付費は19万7,000円の埼玉県が最低、最高となる沖縄県の31万6,000円とは1.6倍もの格差が生じています。
介護保険制度による介護給付費は、1割の自己負担の他、国や地方自治体による公費と40歳以上の人が支払う保険料で賄っています。
介護給付費は増える一方、支える側の負担も増すばかり。日本の未来はどうなるんでしょうか。
人口動態から推測すれば、高齢者人口は確実に増えていきます。高齢者人口が増えても、介護を必要とする人が現在のペースで増えなければ介護給付費は抑えられますよね。そのヒントになりそうなのが、認知症と歯周病の関係です。
認知症の原因は、脳の炎症です。活性酸素や老廃物によって、脳の神経細胞に慢性的な炎症が起こっています。慢性的に長く続く小さな炎症の代表例が歯周病で、小さな炎症を放置すると脳へも影響を与えるのです。
歯周病とは、歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨で構成される歯周組織が、口の中の細菌感染によって破壊される慢性炎症性疾患。歯を失う原因となる病気で、40歳前後で多く発症します。
65歳以上の日本人4,425人を4年間追跡した研究によると、20本以上自分の歯がある人と比べて、歯がほとんどなく義歯未使用の方は認知症発症の危険が平均1.85倍高まる結果が出ています。一方、自分の歯は失っても義歯などを入れている場合は、リスクに大きな差は認められません。
歯と口の状態を良く保つことは、認知症の予防につながります。厚労省の「平成25年国民生活基礎調査」によれば、要介護になる原因は脳卒中が18.5%で1位、認知症は15.8%で2位です。認知症を患う人が少なくなれば、介護を必要とする人も少なくなりますね。
厚労省の研究班によれば、65歳以上の高齢者の認知症は2012年時点で推計462万人。さらに、数年内に認知症になる確率が高いMCI(軽度認知障害)の認知症予備軍を合わせると800万人以上になります。
歯周病は、自覚症状が少なく、自分で見つけるのが難しい病気です。歯と口の状態を良く保つには、毎日の歯磨きで口腔内を清潔に維持、歯科での定期的な受診、自分の歯を失ったときは放置せず義歯などで補うことが大切です。
かかりつけの歯科医院がない人は、定期検診を受けている人と比べて平均1.44倍も認知症になりやすい傾向があるというデータもあります。
最近、いつ歯科に行ったか覚えていますか。
歯ブラシや食べものの刺激で出血しませんか。
口臭が気になると言われたことはありませんか。
気になることがあれば、すぐに歯科へ行きましょう。