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失禁尿を吸収する下着に相談多数。-介護ニュース


記事公開日:2016/06/17、 最終更新日:2016/06/16

失禁尿を吸収する下着に相談多数。

高齢になると排泄に関するトラブルを抱える人が増えてきます。そのトラブルに対処する商品の一つで、尿失禁に悩む人に利用されているのが、失禁尿を吸収する布製の下着。しかし、表示よりも少量しか吸収しないという相談が多く、国民生活センターがテストを実施したところ、表示吸収量よりも少量でしみ出す下着があることがわかりました。

出典:国民生活センター

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160519_1.html

 

加齢に伴う変化により、尿失禁の可能性が高くなります。

 

女性は、尿道の位置の変形や骨盤底の筋肉群の機能低下が起こりやすく、咳やくしゃみなど腹圧がかかった時に尿もれを生じる人が多くいます。また、尿意を感じてからトイレまで我慢ができず尿もれを起こす人もいます。

 

男性の場合は、尿道がたるみ、折れ曲がった尿道球部のところに尿が残り、排尿後に無意識に尿もれすることがあります。

 

失禁症状のある人は、尿によって衣服が濡れるのではないか、臭いによって周囲の人に気づかれないかという不安があります。このため、精神面への影響や外出を控えるなど行動の制約を受けてしまうことがあるのです。

 

そのネガティブな気持ちをポジティブに変えてくれるのが、失禁尿を吸収する布製の下着(以下、「失禁パンツ」)だったわけです。しかし、実際に使用した人からは、「吸収が悪い」「表示量より少ない尿の量で外にしみ出す」といった吸収性に関するクレームが多数。

 

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2011年度から2016年3月末日までに、失禁パンツに関する相談が156件も寄せられました。

 

国民生活センターでテストを実施したところ、広告などで表示されている吸収量よりも大幅に少ない量や、中には5ml程度の量で股の部分からしみ出すなど、上に着用している衣服までしみ出す可能性がありました。

 

1回の排尿量が150mlとして、5mlであれば約3%。表示が「少量」と具体的な数値を示していなくても、わずか5mlでしみ出すって、失禁パンツの機能を果たしていないですよね。

 

では、消費者は何を基準に失禁パンツを選べばいいのでしょうか?

下着ですから試してみるわけにいかないため、まずは少数枚の購入で自分の尿漏れに対応したタイプを確認することがいいようです。その際、サイズは自分に合ったものを選びましょう。小さいと部位をカバーできない、大きいと身体と下着の隙間から漏れる可能性があります。

 

失禁パンツに加えて、尿とりパッドを活用することも一つの方法です。1回分の尿量をカバーできるので安心して過ごせます。

パッドは大きくてかさばるため、尿漏れ量が50ml以下なら、月経用のナプキンでも十分です。

 

人を疑うのは悲しいことですが、広告や表示を鵜呑みにせず、自分の症状に合った下着やパッドを選ぶことが大切ですね。ただ、失禁パンツにしてもパッド類にしても、尿漏れが起こった場合に使うアイテムです。

もしも、尿漏れが起こる前に排尿を感知できるサインがあったら、下着を汚す心配はないですよね。

 

そこで注目したいのが、トリプル・ダブリュー・ジャパンが開発する、排泄予知ウェアラブル「DFree(ディーフリー)」です。

 

「DFree」は、超音波で直腸や膀胱に貯まった便や尿の量を検知するデバイスです。下腹部に名刺サイズほどのデバイスを装着すると、超音波で内臓の変化を捉えて排泄までのタイミングをスマートフォンに教えてくれるという画期的なモノなんです。

 

たとえば施設で、介護スタッフが3時間おきに排泄チェックの巡回に回ることがありますが、離れていても排泄のタイミングがわかれば不要な巡回やオムツの開閉を減らすことになり、業務を効率化できます。入居者にとっても、無駄にオムツを開けられることがありません。

 

トリプル・ダブリュー・ジャパンでは、排尿を予知する機能を搭載した「DFree(β版)」を用い、介護施設でトライアルを実施中。この結果に基づいて量産を行い、近く介護施設向けの排泄ケアパッケージサービスとして販売開始が予定されています。

 

現在は排尿予知の技術が先行していますが、排便予知についても開発が進められています。

「DFree」は、超音波を使って腸内の便の大きさを計測し、便意を感じる仙骨が刺激されるまでの時間を予測してくれるそうです。

 

これが実用化されれば、衣類の着脱に時間がかかる人やトイレ介助が必要な人は、便失禁の心配から解放されます。

「排便まで、あと○分」と事前情報があれば、電車の中で青ざめて、イヤ~な汗を流して、人知れず何度もWAVEを乗りこえることはなくなりますよね。

 

早く実用化されて、排泄トラブルに悩む人、介護をする人をたくさん救ってほしいものです。

「今夏、あなたは運命の人と出会うでしょう」なんていう期待だけさせて崖から突き落とすような予知よりも、排泄予知の方が実現性が高そうですね。