実家の見回り、墓地清掃が返礼品に。-介護ニュース
記事公開日:2016/06/27、
米や肉など地域の特産品が返礼されると注目の、ふるさと納税。面倒な確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が追い風となり、自治体は納税額を増やそうと返礼品を工夫しています。
北海道の十勝管内池田町がふるさと納税の返礼品として導入するのは、モノではなく、空き家となった実家の見回りや墓地の清掃代行です。
出典:北海道新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160626-00010000-doshin-hok
全国の自治体が受けた2015年度のふるさと納税額は、合計約1400億円。
山形県南陽市はコシヒカリ20kg、山形県天童市は種なしピオーネ2kgとおいしい特産品を用意。静岡県焼津市はプレミアムヱビスビール500ml×24本、茨城県石岡市は日本酒1.8L×3本など、酒飲みにうれしい返礼品もあります。
ふるさと納税はしてみたいけど手続きは面倒で…という人の納税を後押しするのが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」。条件を満たせば確定申告が不要になるため、自治体側は納税額を増やそうと返礼品を工夫しています。
とはいえ、食品は賞味期限がありますし、こんな経済状況ですから、人気が高いのは商品券型感謝券です。しかし、ネットで転売されたり、自治体と関係のないモノを買うことができるため、問題視されはじめました。
そこで、本来の趣旨に立ち返ろうと独自の返礼品を考えたのが、北海道の十勝管内池田町。
町企画財政課が「マチゆかりの人に応援してもらう、ふるさと納税の本来の趣旨に沿った返礼品を考えた。町の出身者に積極的に活用してもらえれば」と話す返礼品は、空き家となった実家の見回りや墓地の清掃代行です。
池田町の高齢化率は3月末現在、40%と十勝管内では最も高く、5人に2人が65歳以上。全国的に見てもかなり高い高齢率です。人口流出と高齢化により、このまま放置すれば環境に悪影響が出かねない空き家が100軒、家族らによる清掃などが行われていないお墓が100基ほどあるそうです。
池田町では所有者が遠隔地に住んでいるケースが多いため、ふるさと納税を活用して環境保全への協力を求めることにしました。
お墓の清掃代行は寄付額5,000円以上、空き家点検は寄付額3万円以上が対象で、清掃は年3回、点検は月1回実施。点検は、外部から建物に異常がないか、雑草の伸び具合などを見回り、写真を撮影して所有者に送られるとのこと。空き家周辺の草刈りサービスも返礼品に検討されています。
いまの高齢者が若い頃は、大阪から東京へ日帰りで出張するなんて考えられない時代でした。
いまの若者にとって、地元を離れることは珍しくないし、難しくない、それが現代です。
お墓の清掃代行や空き家点検は時代が求めるサービスですが、帰省しないことを肯定するようで、少し寂しい気がします。
自動車、新幹線、飛行機、夜行バス…交通手段が飛躍的に発達し、現代では日本全国、世界中、どこにでも簡単に移動ができます。たしかに簡単にはなりましたが、帰省にはお金も休みも必要です。お墓参りや実家を点検するために、何時間もかけて帰省するのは難しい人が大半でしょう。
地元に足を運ぶことだけでなく、いま、自分がいるところで故郷を想うこと、自分がご先祖様のおかげで存在することに感謝することが大切ではないでしょうか。
それを形にするサービスが、お墓の清掃代行や空き家点検といった返礼品なのでしょうね。