グルコサミンなどサプリ効果は?-介護ニュース
記事公開日:2016/07/04、
健康特集や通信販売などでよく目にする「グルコサミン」や「コンドロイチン」。膝の痛みにはこの成分、などと謳われ、サプリメントを愛用されている方もいるのではないでしょうか。しかし、その効果に医師の評価が分かれています。
出典:NEWS ポストセブン
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160703-00000016-pseven-life
要介護になりやすい関節疾患。
中高年から高齢者に多い膝の痛み。厚生労働省の2008年「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について」報告書によると、加齢による変形性膝関節症とその予備群は、約3000万人と推計されています。
変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減って痛みや腫れが起こり、それが続くと関節の変形をきたす病気です。
最初は動き始めなど限られたときに関節に痛みを感じるだけなので、受診しない人が多くいます。しかし、その間にも病気は進行、一度変形してしまった関節は元に戻りません。
厚労省の2010年国民生活基礎調査では、「介護が必要になる理由」として、脳卒中(全体の21.5%)、認知症(15.3%)、高齢による衰弱(13.7%)に続いて関節疾患が4位(10.9%)となっています。
「年だから、少しくらいの痛みは仕方ないだろう」「無理しなければ、大丈夫」などと、そのまま痛みを放置すると、近い将来、寝たきりになる可能性もあるのです。加齢はすべての人が同じ方向で進んでいくわけですから、自然治癒は望めません。
そこでよく登場する成分が、「コンドロイチン」と「グルコサミン」。ムコ多糖類と呼ばれ、粘性があり関節の動きをスムーズにする働きがあると言われ、サプリメントでおなじみの商品です。
サプリメントの効能効果。
商品のPRでは、広告表示のルールで直接的な効能効果を訴えることが難しいため、「膝に違和感がある方におすすめ」「歩きやすさをサポート」などの広告コピーや利用者の体験談で、効能効果を間接的に訴求しています。
1990年代の欧米の医療現場では、サプリメントが関節まで行き届くとされてきました。
2001年には、「グルコサミン1500mgを1日1回3年間内服した結果、変形性膝関節症の症状による『関節の縮み幅』を、服用していない人の5分の1に食い止められた」という報告が医学雑誌『ランセット』に掲載されたこともあります。
その一方で、アメリカ食品医薬品局(FDA)は「健康上の有効性を示す、または変形性膝関節症などの危険性を減らすほどの信頼できる根拠はない」と否定しています。
さて、「コンドロイチン」と「グルコサミン」、変形性膝関節症はこれらに効果があるのでしょうか。
ある医師は、こう言います。
「多量に摂取しても大部分は便や尿から排泄されてしまうとの報告がある」
それは、そうでしょう。体内で吸収できる量には限界があります。これはこの症状にいいと聞いて多量に摂取しても、すべて吸収されるわけではありません。
さらに医師は、
「その一方で欧州のリウマチ医の50%がこれらのサプリメントを推奨しているほか、米国の研究論文でもグルコサミンが血液の循環を高めて関節の炎症を抑える効果があるとも言われている」
ということで、効果の有無は微妙なところ。
関節疾患の予防と治療。
では、サプリメントに頼る前にできることはないでしょうか。
変形性膝関節症の予防には、関節に強い負担がかかることは避けるようにすること。
たとえば、長時間歩き続けたり、繰り返し階段を昇り降りすること、また太り気味の人は、減量を心がけることが大切です。
とはいえ、加齢によって病状が進行してしまった場合の治療には、薬物療法や運動療法、手術などがあります。
手術は、人工関節に置き換える手術(人工関節置換術)が行われています。正座など関節を深く曲げる動作は難しくなりますが、大半の人は関節の痛みがなくなり、歩くこともできるようになります。
私は実際、術前術後の患者さんを何人も見てきましたが、短期間で劇的にADLが回復していました。
また、驚いたのが手術を受ける患者さんの年齢。80代は当たり前、90代でも手術を受ける人は珍しくないんです。
同じ病名であっても、人それぞれ症状は違うし、自分がどうなりたいかも違います。痛みがとれればいい人もいれば、現在よりも歩けるようになってもっと活動したい人も…。
「コンドロイチン」と「グルコサミン」の効果は、専門家の医師でさえ評価が二分。
まず、予防を心がけて病院のお世話にならないことが一番ですが、サプリメントを飲めば大丈夫だろう、というサプリメント頼りは危険ですね。
ダイエットにしても、間食や飲酒を続けて運動もせず、サプリメントだけ飲めば痩せるって、そんな甘い話はありません。
サプリメントは選択肢の一つとして考えることは良しとしても、自分に合うかどうかを見極め、しっかりと生活を見直すことが大切です。
自分の生活はさておきサプリメント頼りで歩けなくなっても、サプリメントは助けてくれません。そもそもサプリメントの広告で「絶対、治る」なんて言っていませんから。